黒麹仕込みの本格芋焼酎“黒ブーム”の先駆け、大口酒造「黒伊佐錦」。愛称“クロイサ”。一世を風靡したまろやかな甘さ、やわらかい香り、キレのある旨さは、鹿児島県民のスタンダードでもある。そんなクロイサを、鹿児島気分で陽気に楽しむべく、dancyu食いしん坊倶楽部メンバー3人と、鹿児島料理「バーオハナ」を訪ねることに。鹿児島ならではの焼酎の味わい方と、クロイサに相性抜群な郷土料理をご指南いただいた。
「黒麹の焼酎といえばクロイサ。黒麹仕込みの本格芋焼酎を全国区にした黒伊佐錦は、鹿児島の誇りです。焼酎は、鹿児島県民にとっては生活の一部のようなもの。仕事から帰ってお風呂を上がったら焼酎。途中うたた寝しても、お布団で眠るまで焼酎の瓶と一緒です」と弾けるような笑顔で話すのは、吉祥寺にある鹿児島料理「バーオハナ」の白橋美希さんだ。
焼酎の楽しみ方は人それぞれだが、料理を少しずつ食べながら焼酎の余韻をじっくり味わいたいなら、と美希ママお気に入りの黒伊佐錦の割り方を披露してくれた。
「料理と合わせるならソーダ割がおすすめ。口の中の脂感をさっぱり流してくれるから、食べたり飲んだりが長く楽しめるはず。地元ではお湯割りも多いわね。普段は焼酎ボトルとお湯の入ったポットをどーんと置いて、好みの比率で勝手に割って飲む感じです」と大らかに笑う。
焼酎が6で割りものが4のロクヨン、あるいは5対5で割ったり、体調に合わせて加減するなど飲み方は自在だ。このフリーダムさは焼酎ならではの特権でもある。そして、芋焼酎として造りの骨格がしっかりしているクロイサは、どんな飲み方をしても風格のある味わいが薄らぐことはない。これもまたクロイサが広く愛されている理由である。
美希ママが披露する鹿児島美食ワールドを体験すべく、「バーオハナ」に顔をそろえたのは、焼酎を愛してやまないというdancyu食いしん坊倶楽部メンバーの3人。
「美希ママ! 鹿児島流の焼酎と肴の組み合わせをおしえてください!」
待ってましたよ! と言わんばかりに、「バーオハナ」の大定番“豚角煮とんこつ”や、黒伊佐錦でじっくり煮込んだという“鯖の昆布巻き”など、美希ママが腕を振るった鹿児島料理の数々が倶楽部メンバーの前に並んだ。
「煮込む料理にはクロイサをたっぷり使っているから、焼酎と合わないわけありません。すっきりとしたキレを感じるから、食事も進みます。さ、さ、さ、どんどん食べてね」と美希ママ。
グラスを傾けながら“とんこつ”“昆布巻き”とともに味わう。うーーん、思わず頬がゆるむおいしさ! 料理にすーっと寄り添える風味を有するクロイサは、実は料理を選ばない。しかし、鹿児島料理とは、さらに美しいハーモニーを奏でるのだ。クロイサが手に入った週末は、腕まくりして鹿児島の肴も張り切って用意しちゃいますか!
スペアリブ | 約600g(ぶつ切り) |
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サラダ油 | 大さじ1~1と1/2 |
黒伊佐錦 | 1カップ |
麦味噌 | 200~250g |
黒砂糖 | 40~50g(または、きび砂糖) |
サラダ油をひいたフライパンを中火で熱し、スペアリブを焼きつける。表面全体にこんがりと焼き色がついたら黒伊佐錦を回しかけ、強火でアルコールをとばす。
鍋に①を汁ごと入れて熱湯をひたひたになるまで注ぎ、中火にかける。煮立ったらアクを取り、弱火で2~3時間煮る。途中、煮汁が減ったら、スペアリブが浸るように湯を適宜足す。
麦味噌と黒砂糖を②に加え、溶かし混ぜる。麦味噌によって塩分が異なるので、味が薄く感じたら、麦味噌を足して味を調える。鍋底が焦げ付かないように煮詰め、汁がとろりとして、味見をするとビリッと塩味と甘味を感じるようになったら出来上がり。一度冷ますと味がよくしみて美味。まとめづくりもお薦め。
2005年、33歳の時に「ひとりでも、おひたしやお味噌汁を食べられるお店が吉祥寺にあったらいいのになぁ」と「バーオハナ」を開店。友人と会うのが難しい働き盛りや共働き、自炊の息抜きをしたい人々を、鹿児島料理と薩摩焼酎で癒し、天性の接客力で明日の元気パワーも注入している。信条は茶色い料理とチーズは裏切らない。
文:斉藤由利子 写真:牧田健太郎