食への愛が溢れるフランスの家庭料理
サクサク生地の本格派キッシュ"キッシュ・ロレーヌ"

サクサク生地の本格派キッシュ"キッシュ・ロレーヌ"

手間はかかりますが、生地から手づくりするとその美味しさもひとしおです。ぜひ、休日などにチャレンジしてみてください!フランスと深くかかわり、グランメゾンから家庭の料理まで広く精通しているサルボ恭子さんに、長く愛され続ける家庭料理を習いました。

“キッシュ・ロレーヌ”のつくり方

ベーコンとグリュイエールチーズが入るのがロレーヌ風。卵と生クリームだけの卵液で家庭的に仕上げます。バターたっぷり、サクサクの生地は、から焼きがポイント。ぜひ、生地づくりから挑戦を。

材料材料 (直径18cm×高さ3cmの耐熱容器1台分)

小麦粉120g
バター60g(食塩不使用)
60ml
ベーコン80g(塊)
グリュイエールチーズ30g(塊)
A
・ 卵3個
・ 生クリーム1/3カップ
・ 塩ふたつまみ
・ 胡椒適量

1下準備

バターは1cm角に切り、小麦粉、水、生地をつくるためのボウルとともに冷蔵庫に入れて、使う直前まで冷やしておく。オーブンペーパーを、型よりもふた回りほど大きく切っておく。ベーコンは短冊に切り、沸かした湯に入れて20秒ほど脂抜きをしてザルにあげ、水気をきる。グリュイエールチーズは1cmの角切りにする。

2生地をつくる

ボウルに小麦粉とバターを入れ、カードやパイカッター(またはフォークの背)で、バターが小さくなるまで切り込む。

生地をつくる

3バターをまぜる

バターの塊がこれ以上切り込めないくらいに小さくなったら手で粉とバターをすり合わせるようにして手早く砂状にする。

4冷水を加える

3に冷水を入れ、練らないようにカードでざっくりとまとめる。バターの温度や室温によっても状態が変わるので、ざっくりともまとまらない場合は冷水を数滴加えて調整する。

冷水を加える

5練る

4をボウルの中で半分に切り、重ねる。ボロボロと落ちた生地はくっつけるか上にのせる。ボウルを1/4回転させて生地の向きを90度変え、上から生地を押しつぶしてから再び生地を半分に切って重ね、押しつぶしてパイ生地の層のようなものをつくる。

練る

6休ませる

さらに同じ作業をもう一度ずつ繰り返したら、生地を薄めにしてラップで包み、冷蔵庫で最低1時間休ませる。ここまでを前日に作業するか、時間のあるときに仕込んで冷凍しておいてもよい(その場合、前日夜に冷蔵庫に移して解凍する)。

休ませる

7伸ばす

台の上にオーブンペーパーを敷き、6をのせて上からラップをかける。麺棒で、生地の中心から前方へ体重をかけながらのばす。向きを反対にして、また中心から前方へのばす作業を繰り返す。裏側からものばし、ラップやペーパーがよれたらはがして貼り直しながら厚さ2mmくらいまで手早くのばす。途中で生地がだれてきたら無理せず、冷凍庫で冷やしながら作業するとよい。

伸ばす

8型に入れる

型よりもやや大きめにのばしたら、型に敷き込む。型の上で麺棒を転がして、余分な生地を切り取る。残りの生地は丸めずに重ねてラップで包み、冷凍をしておけば再使用できる。

型に入れる

9から焼きする

フォークの先で生地の表面にまんべんなく穴をあけたら、オーブンペーパーを型内に敷き込んで、その上に重しとしてタルトストーンや乾燥豆を全体にのせる。ない場合は型よりもひと回り小さな器や鍋の蓋(ある程度重さがあるもの)をのせ、隙間にアルミホイルを棒状に固めるなどして詰める。180℃に予熱したオーブンで30分焼き、底と側面が乾いて少し色づいたら、重しとオーブンペーパーを取り除き、170℃でさらに10分から焼きする。

から焼きする

10卵液を加えて焼く

9の上にベーコンとチーズを散らし、よく混ぜておいたAの卵液をそっと流し入れる。卵液は、ある程度入れたら、こぼれないようオーブンにセットしてから生地の上部ギリギリまで入れるとよい。余ったらオムレツなどに利用を。180℃に予熱したオーブンで18分ほど、いい焼き色がつき、卵液が固まるまで焼く。

卵液を加えて焼く
完成

教える人

サルボ恭子 料理家

サルボ恭子 料理家

料理家の叔母に師事したのち、渡仏。パリの名門ホテル「オテル・ド・クリヨン」の厨房に勤務。現在は東京で料理教室を主宰。フランス家庭料理を軸に、さまざまなテーマで活動する。著書も多数。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

この記事は四季dancyu「春のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「春のキッチン」
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A4変型判(120頁)
2021年3月13日発売/1100円(税込み)
鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。