ささみをしっとりふんわり焼いて、紫玉ねぎのマリネを添えるだけの簡単なワインのおつまみ。京都の料理研究家・大原千鶴さんは、お酒に合う季節のおつまみをつくります。この連載はお酒を愛する大原さんがご自分でも「このあてでこんなお酒を飲みたい」と思う、季節のおつまみをご紹介します。
ささみは胸肉に隣接した部位で、牛肉で言うところのフィレ。脂肪がほとんどなく、高タンパクで、独特のおいしさがあります。火が入りすぎるとパサつくので蒸したり、ゆでたりすることが多いですが、焼くと旨味が増し、表面についた焼き色が食欲と酒欲を誘います。ふわっと上手に焼けたささみはそれだけでおいしく、塩、胡椒だけで大満足。よく冷やしたボジョレーやシャルドネが合います。
焼き方のポイントは、中火で八割方火を入れること。厚みを半分にすると火の通りが早く、全体に白くなって、うっすら焼き色がついたら完成です。これだけで十分おいしいのですが、今回はつくり置きした紫玉ねぎのマリネを添えました。見た目にきれいな上、甘酸っぱさが味のアクセントになります。多めにつくって常備しておくといろいろな料理のあしらいになり、冷蔵庫で保存すれば1週間は持ちます。
ささみ | 3本(120g) |
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塩 | 少々 |
胡椒 | 少々 |
すだち | 適量 |
★ 紫玉ねぎのマリネ | |
・ 紫玉ねぎ | 40g |
・ 砂糖 | 小さじ1 |
・ 米酢 | 小さじ1 |
・ 塩 | ふたつまみ |
保存容器に、5mm幅の縦に薄切りにした紫玉ねぎ、砂糖、米酢、塩を入れて混ぜ、冷蔵庫で一日以上置く。
ささみは厚みを半分に切って、筋を包丁で外し、塩、胡椒をふる。
表面加工したフライパンに②を並べ入れて中火にかけ、全体の8割が白くなったら上下を返し、30秒焼いて取り出す
器に③と①を盛り合わせ、すだちを添える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ