ベトナム料理は見た目は素朴でも、丁寧な工程のものが多く、味わいはとても豊かです。南北に長い国のため、味の特徴も土地により変わります。料理を学ぶためにホーチミンで3年半暮らし、帰国後も現地の味を紹介している伊藤忍さんに、ベトナム母さんの究極に白い米を呼ぶ料理を習いました。
肉を調味料に漬け込むことでしっかりと味がしみ込みます。コクがありつつもすっきりとした甘さで、いくらでも食べられそう。味がしみしみのゆで卵がこれまたおいしい。
豚肩ロース肉*1 | 300g(塊) |
---|---|
ゆで卵 | 2個 |
A | |
・ 砂糖 | 大さじ2 |
・ 湯 | 大さじ4 |
B | |
・ ヌクマム | 大さじ2 |
・ 砂糖 | 大さじ2 |
・ 黒胡椒 | 小さじ1/2 |
・ にんにく | 2片分(つぶしたもの) |
ココナッツジュース*2 | 150ml |
赤唐辛子 | 1~2本 |
水 | 適量 |
ヌクマム | 大さじ1/2~ |
砂糖 | 大さじ1/2~ |
*1 豚肉は好みで、もも肉やバラ肉を使用してもよい。
*2 ココナッツジュースは市販のココナッツウォーターを使用。なければ水でもよい。
豚肉はキッチンペーパーで水気を拭き取り、5cm角に切る。
鍋にAの砂糖と半量の湯を入れて中火にかける。全体がカラメル色になったら火を止めて、残りの湯を入れ、熱いうちにBを入れて混ぜ合わせる。1を入れて全体にからめたら、ときどき上下を返しながら30分ほど漬ける。
2の鍋を中火にかけ、煮立ってきたら火を弱める。煮詰めながら、ときどき豚肉の上下を返し、煮汁をからめていく。煮汁がしっかりと煮詰まり、豚肉の表面が熱で固まってきたら、ココナッツジュースと赤唐辛子を加え、豚肉がかぶるほどの水を加える。
強火にかけ、沸騰したら弱火にしてアクを取る。蓋をして豚肉がやわらかくなるまで30~40分煮る。しばらく煮ると煮汁の表面に脂が浮いてくるので、気になるようならすくって取り除く。
煮汁の味見をし、ヌクマムと砂糖を加える。2でつくったカラメルの焦がし具合で味が変わるので、表記の量を目安に、ここで塩気と甘味のバランスをととのえるとよい。ゆで卵を加え、蓋はせずに中火で煮汁を煮詰めながら10分ほど煮て仕上げる。
フードコーディネーターを経てベトナム・ホーチミンへ移住。3年半の間、料理研究と旅行者向けの料理教室の運営などに携わる。帰国後はベトナム料理研究家として幅広く活動中。料理教室「アン コム」主宰。
文:鹿野真砂美 写真:宗田育子
この記事は四季dancyu「秋のキッチン」に掲載したものです。