せっかく上等な食材を手に入れたなら、いつもよりちょっと高級なビールを選びたい。少し手の込んだ料理をつくり、冷えた缶をプシュッと開けるその音が、贅沢な家飲みの開始を告げる。今回はフレンチをベースにしたユニークな料理が人気の「BOLT」のオーナーシェフ・仲田高広さんが、簡単にサクサクの仕上がりとなるコーンフレークの衣をつかったビフカツを教えてくれた。ごちそうレシピと上質なビールで、さあ乾杯!
乾杯から締めまで「ずっとビール派」という「BOLT au crieur de vin」シェフの仲田高広さん。そんな仲田さんにとって最強のビールのお供は揚げ物という。「ちょっと高級なザ・プレミアム・モルツには、ビフカツですね。プレモルの深いコクが牛ヒレ肉の濃厚な旨味と引き合います」。
牛肉にまとわせるのはコーンフレーク衣。「油ぎれもいいし、何より食感が楽しい。それに牛の飼料にはコーンも含まれているので、味わいの相性もいい」と話す。そのビフカツには付け合わせを兼ねた野菜のサルサをたっぷり。BOLT流アイデア満載のごちそうだ。
さっそくプレモルで喉を潤す。ビフカツを頬張れば、コーンフレーク衣のザクッ、塩の粒のガリッという食感が脳を刺激する。やがて噛むほどに広がる牛肉の力強い旨味。万能サルサはビフカツと一緒はもちろん、それだけ食べても実に旨い。「これらがビールを誘う(笑)。サルサに効かせた、フルーツのほのかな酸味や甘味がプレモルの豊かな香りやほろ苦さを受け止め、味わいに奥行きが出ます」とご満悦。プレモルの家飲みは大人の至福である。
「サルサは付け合わせでもあるので、ザクザク切ります。後は牛肉を揚げるだけ」。その牛肉は下ごしらえが大事になる。まずは室温に置いておくこと。そして、肉の旨味を引き出す下味。肉の重量の1%の塩を満遍なくふるのだが、そのとき厚みに応じて的確にふることがポイントだ。「揚げ物は短時間調理なのに手をかけたように仕上がるのが魅力。特にビフカツは家庭向き」と仲田さん。レアで味わえる牛肉は火入れのストライクゾーンが広く、トンカツよりも簡単だという。熱々のビフカツを盛りつけてサルサを添える。食欲をそそる香りがプレモルを呼んでいる。
★ 万能サルサの材料 | |
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トマト | 1/4個(中) |
ミニトマト | 4個 |
すもも | 1個(プラム) |
塩らっきょう | 2個 |
ホットチリソース | 大さじ2 |
オリーブオイル | 大さじ1.5 |
ナンプラー | 小さじ2 |
★ ビフカツの材料 | |
牛ヒレ肉 | 200~250g(またはモモ肉(厚さ2~3cmがベスト)) |
塩 | 肉の重量の1%(下味用) |
胡椒 | 少々 |
薄力粉 | 適量 |
溶き卵 | 1個分 |
コーンフレーク | 適量(砕いたもの(プレーンタイプ)) |
揚げ油 | 適量 |
塩 | 少々(仕上げ用に粗めの海塩など) |
トマトは皮付きのまま1cm角くらいの角切り、ミニトマトは縦四つ割りにする。すももは皮をむいて種を除いて1cm角くらいの角切り、塩らっきょうは縦にスライスする。ボウルに合わせておく。トマトはどちらか1種類でもOK。塩らっきょうの代わりに玉ねぎでも。
食べる直前に、ホットチリソース、オリーブオイル、ナンプラーを加え、よく混ぜ合わせる。ナンプラーは塩分濃度が高いものもあるので、少なめに加えて味見し、調整するといい。
プレーンタイプのコーンフレークひとつかみをビニール袋に入れて麺棒などで叩くか、フードプロセッサーにかけて、細かく砕く。
牛肉は室温に15~30分置いておく。この一工程で衣がはがれにくくなる。牛肉の表面全体に塩を満遍なくふり、胡椒もふる。薄力粉、溶き卵、砕いたコーンフレークの順に衣をつける。
鍋に揚げ油を入れて中火にかけ、170℃になったら衣をつけた牛肉を入れる。ミディアムレアの揚げ時間は1分30秒~2分弱。ビフカツをバットに取り出し、油をきりながら30~40秒休ませる。「温度設定機能があるコンロの場合、牛肉を入れたら180℃に設定変更してください。間違いのない揚げ上がりになりますよ」とシェフ。
ビフカツを縦半分に切り、断面に仕上げの塩をふって器に盛る。万能サルサをたっぷりかける。
BOLT au crieur de vin
【住所】東京都新宿区箪笥町27 神楽坂佐藤ビル1階
【電話番号】03-5579-8740
【営業時間】17:00~24:00
【定休日】月曜 第2、4火曜
●予約は17:00~と20:00~。それ以降はフリースタイル。メニューはアラカルトのみ。※営業時間は状況により変更となる可能性があります。
文:斉藤由利子 写真:山出高士