タルティーヌとは、スライスしたパンに食材をのせたフランス式のオープンサンドだ。人気料理研究家の平野由希子さんが教えてくれたのは、ワインと楽しみたいさまざまなタルティーヌ。たっぷりバターの冷製、アツアツを楽しむ温製、そして魚介と肉をふんだんにのせるご馳走タルティーヌまで、どれもワインに合うものばかり!ぜひつくってみてください。
スライスしたパンの上にバターやオリーブオイルを塗り、野菜や卵、ハム、チーズ、果物などさまざまな具材をのせた、お洒落なフランス式オープンサンド「タルティーヌ」。フランスの家庭やカフェでは、コーヒーやワインと一緒にごく日常的に親しまれている食べ物だ。「タルティーヌはサンドイッチと同じく、自由でいいんです。おいしいパンにおいしいバターを塗っただけでもタルティーヌ。組み合わせは無限大です」と言うのは、料理家の平野由希子さん。お酒に合うおつまみや料理の達人、平野さんにアペロ向きのタルティーヌを教わった。
「焼いて仕上げるタルティーヌは、前日のパンでつくることが多く、具材を支えるためにも少しかためのバゲットやパン・ド・カンパーニュがつくりやすいですね。特にカンパーニュは2~3日たったほうが味が落ち着きます。さらに、カリッとトーストすれば香ばしさとパンチが加わります」 春野菜とチーズをたっぷりのせた“春野菜のタルティーヌ”は、これだけで食卓が華やぐ一品。隠し味に加えたブルーチーズが野菜と渾然一体となって深い余韻をもたらす。焼きたてもいいが、冷めてもなおしっとりとおいしいのがうれしい。
もともと、タルティーヌとはフランス語の“タルティネ(塗る)”からきた言葉。バターやコンフィチュールを塗っただけのシンプルなおいしさもあれば、多種多彩な具材であっと驚かせることもある。だからこそ、彩りの美しさや具材の組み合わせの妙など、つくる人のセンスが問われる料理だともいえるだろう。平野さんいわく、家でつくるタルティーヌの醍醐味は具材の“こぼれ盛り”。ワインとともに、パンにたっぷり贅沢に具材をのせて頬張る幸せを、どうぞ。
バゲットやカンパーニュなど、しっかりめのパンがおすすめ。やわらかなパンはトーストして使用しても。切り方を変えるだけでも印象が変わる。
パン・ド・カンパーニュ | 2~3枚(幅1cmにスライスしたもの) |
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グリーンアスパラガス | 2本 |
ベーコン | 2枚 |
新玉ねぎ | 1/6個分(薄切り) |
キャベツ | 2~3枚分(ざく切り) |
グリーンピース | 30g |
オリーブオイル | 大さじ1 |
にんにく | 1/2片分(つぶしたもの) |
水 | 大さじ2 |
塩 | 少々 |
胡椒 | 少々 |
ブルーチーズ | 40g(ブルードーベルニュなど) |
シュレッドチーズ | 40g(エメンタールなど) |
アスパラは根元を切ってかたい皮をむき、斜め幅1cmに切る。ベーコンは幅1cmに切る。
鍋にオリーブオイル、にんにくを入れて熱し、香りが出てきたらベーコン、新玉ねぎ、キャベツ、グリーンピースを入れて炒め合わせ、水を加え、塩、胡椒をして蓋をし、2~3分蒸し煮にする。アスパラも加え、さらに1分加熱する。
パンの上に②を煮汁ごとのせ、ほぐしたブルーチーズ、シュレッドチーズをのせ、オーブントースターでこんがりとするまで焼く。
フレンチをベースに、ワインをはじめとするお酒とのペアリングのレシピを多岐にわたって提案している。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。料理教室「cuisine et vin」主宰。「ル・クルーゼ」シリーズなど著書多数。
文:瀬川慧 写真:公文美和
※この記事は技あり!dancyu「パン」に掲載したものです。