夏こそ、おいしいビールを家で楽しみたい!スペイン・バスク地方でミシュラン三つ星の名店「アスルメンディ」のシェフ、エネコ・アチャ氏がオープンした「エネコ東京」の総料理長・磯島仁さんに教わるビールのつまみレシピ10選。毎日更新、5回シリーズの第1回は夏野菜。シンプル調理でトマト、レタス、パプリカなどが新しいおいしさに。よく冷えたビールと一緒にぜひ!
“夏のビールのつまみ”を1回2品、今日から5回連続で計10品のレシピを紹介していきます。1回目のテーマ食材は、今が旬の夏野菜です。
トマトにレタス、赤や黄色のパプリカ……。夏野菜の魅力はみずみずしさにあり、ご家庭ではサラダなどで食べるのが定番だと思います。
ただ、いつも同じメニューでは飽きてしまいますし、生野菜はビールとの相性が今ひとつ。そこで、あまり手間をかけずに野菜の個性を引き出して、素材そのものの味でビールを楽しめたらいいな、と思ったのが発想の原点です。
ポイントは最低限の調理、最小限の調味料です。
一口に夏野菜と言っても、それぞれに甘味や酸味、ほろ苦味などの個性がありますから、そのいいところを少ない調理で引き出すわけです。
また、調味料は控えめに。せっかく素材の味を引き出しても、味の強い調味料でまとめてしまうと調味料味の料理になってしまいます。
1品目の“夏野菜のオリーブオイル蒸し”は、5種類の野菜をオイル蒸しにすることで、個性を引き出します。調味料は、ほぼ塩だけ。食べる時、口に入る野菜の組み合わせによって味が変わるので、その変化がビールとのペアリングを楽しくしてくれます。
2品目の“スペイン風 レタス&トマト”では、レタスのゆで時間は3秒だけ。それでレタスの甘味を引き出し、シャキッとしたフレッシュ感と両立させます。
そして最後にアクセント。“夏野菜のオリーブオイル蒸し”は豆板醤のピリッとした刺激、“スペイン風 レタス&トマト”なら仕上げに散らした松の実の香ばしさとコクが、ビールとの相性をさらに高めてくれているはずです。
フライパンでオイル蒸しにしたパプリカ、ズッキーニ、トマト、玉ねぎは、旨味と甘味がたっぷり。野菜の組み合わせで味わいが変化し、最後まで食べ飽きません。さらに、のせた目玉焼き、生ハム、粉チーズもアクセント。豆板醤のピリッとした刺激がビールをそそります。
A 野菜 | |
---|---|
・ 玉ねぎ | 1/2個 |
・ 赤パプリカ | 1/2個 |
・ 緑パプリカ | 1/2個(ピーマンでも可) |
・ ズッキーニ | 1本 |
・ トマト | 1個 |
卵 | 1個 |
にんにく | 1片(みじん切り) |
オリーブオイル | 大さじ1と1/2(サラダ油でも可) |
豆板醤 | 適量 |
粉チーズ | 適量 |
生ハムスライス | 適量(なくても可) |
塩 | 適量 |
Aの野菜は、それぞれ約1.5cmの乱切りにする。
フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて中火にかけ、香りが出たら1の玉ねぎを入れ、塩少々(ほんの一つまみ)を加えて炒める。
玉ねぎに透明感が出たら、1の赤パプリカを入れて塩少々、緑パプリカを入れて塩少々、ズッキーニを入れて塩少々、さらにトマトを入れて塩少々をして炒め、水分を飛ばしながら味を凝縮させていく。
野菜から出た水分が飛び、野菜がオイルでコーティングされて艶やかな状態になったら、蓋をして約4分、蒸し煮にする。
野菜が煮えたら蓋を取り、豆板醤を入れてひと煮立ちさせる。ここで味見をし、塩味が足りなければ、塩で味を調えて器に盛りつける。
別のフライパンで焼いた目玉焼きを4にのせ、生ハムをちぎってのせ、粉チーズをふる。
レタスは3秒だけゆでることで甘味を引き出し、シャキッとしたみずみずしさと両立させます。その味を引き立てるのは、やはり生のフレッシュ感と加熱した甘味を合わせ持ったトマトのドレッシング。仕上げに松の実を散らし、香ばしさとコクをプラスします。
レタス | 1/2個 |
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A ドレッシング | |
・ トマト | 1個 |
・ にんにく | 1片(みじん切り) |
・ オリーブオイル | 大さじ5(75ml)(サラダ油でも可) |
イタリアンパセリの葉 | 5~6枚(みじん切り) |
松の実 | 10粒程度(ミックスナッツでも可) |
塩 | 適量 |
Aのトマトは湯むきして種を取り、約5mm角に切って小さめのボウルに入れ、にんにく、オリーブオイル、塩少々を加えて軽く混ぜ、ラップをかける。
鍋に多めの湯を沸かしたら弱火にし、1を浮かべて約10分温めたら、湯からボウルを外す。
2の鍋に塩を入れ(湯1Lに対して塩小さじ2弱=9g目安)、手で半分にちぎったレタスを入れて3秒ゆでたらすぐ引き上げ、水気をきる。
器に3をのせ、2のドレッシングをかけたら、松の実、イタリアンパセリを散らす。
1975年、秋田県生まれ。レストラン「クイーン・アリス」で料理人としてのキャリアをスタート、2006年には舞浜店の料理長に就任する。2014年「日比谷パレス」料理長。その後、スペイン・バスク地方のミシュラン三つ星レストラン「アスルメンディ」で4カ月間の研修を経て、2017年「エネコ東京」総料理長兼支配人。エネコ・アチャ氏より、絶大な信頼を受ける。
ENEKO Tokyo (エネコ東京)
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写真:牧田健太郎