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澤口知之さんのボロネーゼ|dancyuな人たちの偏愛レシピ⑦

澤口知之さんのボロネーゼ|dancyuな人たちの偏愛レシピ⑦

dancyu編集長の偏愛レシピはかつて六本木にあった名店「ラ・ゴーラ」のボロネーゼ。肉の旨味と香りが凝縮された飽きることのない王道の味だったといいます。dancyu1月号「おいしいレシピ100」で掲載した「dancyuな人たちの偏愛レシピ」。そこで登場した8品のレシピを1日ずつご紹介します!

20年前のレシピをすべて覚えている

六本木「ラ・ゴーラ」などで腕を振るった澤口知之さんは、豪傑なイメージがあったが、料理の組み立てを論理的に考える人だった。「ボロネーゼは、挽き肉にソフリット(みじん切りにした香味野菜を炒めたもの)、香辛料、オリーブオイル、ホールトマトが基本構成。俺はさらにベーコンとトマトペーストで旨味を引き出す」。ソフリットにトマトペーストを加えてなじませる。挽き肉は焼き色がつくまでかき混ぜない。焼き色がついてから塩をふる……すべて頭の中に入っていて、20年前に教えてもらって以来、いつもこの手順でつくる。澤口さんはもういないけれど、同じようにつくっている。

※現在「ラ・ゴーラ」は閉店

材料材料 (4人分)

合挽き肉300g(精肉店に頼んで牛6、豚4、ラード1の割合で挽いてもらう)
ベーコン約30g(合いびき肉の10~20%が目安。ボリューム感を出したければ多めに入れる。パンチェッタでもOK)
玉ねぎ1/2個
にんじん1/3本
セロリ1本
にんにく1片
ホールトマト2~3個
トマトペースト20g
白ワイン200mL
ローリエ2枚
ブロード適宜(なければホールトマト缶の汁)
オリーブオイル適宜(できれば仕上げ用にはバージンオリーブオイルを使う)
適宜
黒胡椒適宜
イタリアンパセリ適宜
バルサミコ酢適宜(できれば仕上げ用に使う)

1たっぷりのオリーブオイルで香味野菜をじっくり炒めて香りを引き出す

玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにく、ベーコンをみじん切りにする。香味野菜は炒めたときに香りが十分に出るように均一に細かく刻んでおく。深鍋にオリーブオイルをたっぷりひき、強火でベーコンを炒めて脂を引き出す。ベーコンに色がつき始めたらニンニク、玉ねぎ、にんじん、セロリを入れる。焦がさないように中火から弱火で20~30分じっくり炒める。これがソフリットの状態。十分に火が通ったらローリエを入れ、炒めながらさらに香りを引き出す。

たっぷりのオリーブオイルで香味野菜をじっくり炒めて香りを引き出す

2トマトペーストを足す

トマトペーストを入れる。この甘味が肉やワインの酸味を中和する。野菜の甘味とペーストの甘味がなじむように、満遍なく混ぜ合わせる。

トマトペーストを足す

3別鍋で素材の合挽き肉を炒める

別のフライパンで合挽き肉を焼く。オリーブオイルをたっぷりひき、強火で。温度を下げないように、焼き色がしっかりつくまではかき混ぜない。満遍なく焼き色がついたら塩、黒胡椒をふる。下味なので控えめに。下味をなじませ、脂が少し浮き出るくらいの状態になるまで火を通す。白ワインを注ぐ。濃度を出したければワインの前に薄力粉をふってもいい。

別鍋で素材の合挽き肉を炒める

4素材とソフリットを合わせて煮詰める

ワインのアルコールがとんだら、3の挽き肉をソフリットの深鍋に移す。肉とソフリットを十分に混ぜ合わせる。鍋の底に脂がしみ出るくらいの状態がいい。ブロードを肉が隠れるくらい入れる。トマト缶の汁1:水3の割合でもいい。アクを取りながら強火で煮込む。煮込み時間は全体で30~40分が目安。3分の1くらいまで煮詰まったらホールトマトを入れて、さらに煮込む。塩、黒胡椒で味を調える。仕上げにバルサミコ酢を数滴たらすことにより風味と香りを増す。

素材とソフリットを合わせて煮詰める

5ソースにゆで汁を少々。ソースとパスタをしっかり混ぜ合わせて、完成

沸騰したたっぷりのお湯にパスタを投入。コシを出すために塩は多めに。フライパンに取り分けたラグーに、パスタのゆで汁を少し加えてから和える。仕上げにバージンオリーブオイルと刻んだイタリアンパセリを加える。

ソースにゆで汁を少々。ソースとパスタをしっかり混ぜ合わせて、完成
完成
ラグーをパスタによくなじませてから盛りつける。細かい肉片それぞれに肉の旨味がしっかり凝縮されており、実に力強い味わい。

文:植野広生(編集部) 撮影:古市和義