サルボ恭子さんのワインが進むフレンチつまみ
取り合わせが光る簡単オードブル"タルティーヌ2種"

取り合わせが光る簡単オードブル"タルティーヌ2種"

「アペリティフ」という言葉を知っていますか?食前酒という意味のフランス語なのですが、転じてちょっとしたおつまみでワインを飲むことを指します。そんなアペリティフにぴったりのフレンチつまみを料理家のサルボ恭子さんに教えてもらいました。

ゆるゆる楽しむアペリティフ

「今夜はうちでアペリティフしない?」。フランスへ旅して現地の友人や知人と過ごしていると、毎日のように耳にする言葉、アペリティフ。
簡単なおつまみでワインを楽しむ場を指し、リビングやテラスで、そのまま夜更けまでおしゃべりに興じるときもあれば、軽食をつまんだ後、きちんとテーブルについてディナーが始まることも。食前酒という単語だが、それだけではない柔軟で広い意味がある。
気負わず、手をかけすぎず、ササッとこしらえたおつまみで、ホストも一緒に会話とお酒を楽しむ。そんなフランス式おもてなしにぴったりのおつまみを教えてくれたのは、自宅でもよくアペリティフを楽しんでいるという料理家のサルボ恭子さん。
「気楽なおつまみなので、身近でなじみのある食材を使います。あくまで軽やかに、お腹に溜まるような仕上がりにしないことがポイントですね」
教わった6品は、パンに具をのせるだけだったり、卵やピーマンなど、使う食材も、ごくありふれたもの。手順もごくシンプルなのに、その取り合わせの妙とスタイリッシュな仕上がりに、ハッとさせられるものばかり。
秋の宵、アペリティフでゆるゆると、ワインに親しんでみませんか。

タルティーヌ2種のつくり方

材料材料 (4個分)

★ 生ハムとマッシュルームのタルティーヌ
パン・ド・カンパーニュ厚さ1cmのスライスを4枚((※1))
生ハム1枚(スライス(※2))
ホワイトマッシュルーム1個
バター適量(食塩不使用)
粗塩適量
胡椒適量
★ 白ぶどうとカッテージチーズのタルティーヌ
白ぶどう大2粒(シャインマスカット)
レモン1枚(薄い輪切り)
ディル適量
カッテージチーズ40g
エキストラバージンオリーブオイル大さじ1
粗塩少々

※1 パンは、2種ともカンパーニュ以外のものでも可。
※2 生ハムはイタリアのプロシュートなど大判のものを使用。

1カンパーニュを焼く

カンパーニュは一枚を半分に切り、グリルで軽く焼く。

2生ハムとマッシュルームを切る

生ハムは4等分に切る。ホワイトマッシュルームはごく薄切りにする。

3生ハムとマッシュルームタルティーヌの仕上げ

1 のパンそれぞれに生ハムとマッシュルームの1/4量をのせ、冷たいバターを薄くスライスしてのせる。上から粗塩と胡椒をふる。

4白ぶどうとレモンを切る

白ぶどうは一粒を4枚にスライスする。レモンは一枚を8等分に切る。

5白ぶどうとカッテージチーズのタルティーヌの仕上げ

1 のパンそれぞれにカッテージチーズを1/4量ずつ塗り、白ぶどうとレモンを1/4量ずつのせる。ディルを散らし、オリーブオイルを垂らし、粗塩をふる。

完成
生ハムの塩気と生マッシュルームの食感、バターのコクが三位一体。かたや、軽いチーズにフルーツやハーブの爽やかな取り合わせも絶妙。

教える人

サルボ恭子 料理家

サルボ恭子 料理家

パリの名門ホテル「オテル・ド・クリヨン」の厨房を経て、現在は料理教室、ケータリングなどで活躍中。フランス料理をベースに、洗練されたレシピにファンが多い。『前菜食堂』『ウマつま』など著書多数。ご主人はフランス人。

文:鹿野真砂美 写真:公文美和

※この記事の内容はdancyu2016年12月号に掲載したものです。

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。