晩酌を怖いぐらい進ませるおつまみが、冷蔵庫で待っている。そう考えるだけで、家に飛んで帰りたくなりませんか?そんな魅惑のおつまみレシピを、兵庫県明石にある伝説の酒場「立呑み たなか」に教わりました。
兵庫県明石にある魚の棚商店街。その名の通り鮮魚店がひしめき、港町の台所として賑わう一角に、伝説の酒場「立呑み たなか」がある。酒屋の奥に隠されたような引き戸を開けると、昼間から満員御礼。東から西から、新幹線で訪れるリピーターに、好きが高じて近所に越してきてしまったという熱烈なファンまでが、カウンターでギューギューになって肩を並べる。
その理由の一つが、カウンターに並ぶ大鉢料理の数々。午前中に水揚げされてすぐセリにかけられ、昼過ぎに店頭に並ぶ「昼網」の魚介が大半だ。造り、焼きでも間違いない素材にひと手間かけ、さらに酒を呼ぶ深い味わいに仕上げられている。今回は、常連から「これどうやってつくるの?」とたびたび尋ねられるという、店の看板料理のレシピを、惜しみなく公開していただいた。
店でダントツ人気の「タコ煮」は熱い煮汁に生のタコをそのまま入れるのがポイント。程よい柔らかさに煮上がり、皮も剥がれずきれいなまま。長く煮すぎると、煮詰まって塩辛くなるので、30分で十分なのだ。生が手に入らなければ、ゆでダコを使っても。
生タコ※ | 500g |
---|---|
A | |
・ 水 | 100ml |
・ 日本酒 | 100ml |
・ 味醂 | 100ml |
・ 醤油 | 50ml |
・ 砂糖 | 大さじ1/2 |
※仕上がりの食感は変わるが、ゆでダコを使ってもOK。
1.タコは頭を持ち上げ、目の上と下に包丁を入れる。
2.目の部分を切り取る。これ以外は頭も丸ごと使う。
3.ザルにタコを入れ、塩大さじ2を加え、胴まわりを握りながら、泡が出てくるまでギュッギュッと強くもむ。
4.足は一本ずつ先に向かってしごく。タコの手ざわりがツルッ、キュッとしてきたらすぐ水洗いし、ぬめりを落とす。足を2本ずつ切り分けておく。
鍋にAを合わせて強火にかけ、沸騰させる。
タコの形を整えて足先から鍋に入れる。仕上がりの形が揃い、盛りつけたときもきれい。
必ず落とし蓋をして中火で30分煮る。20分煮たらタコをひっくり返して、照りが出れば完成。ゆでダコを使う場合は、弱火で煮ること。
アツアツも冷めてもおいしい。
文:本庄 彩 写真:高見尊裕
義姉・梅原砂織さん(写真右)とともに、オーガニックワインや純米酒に合う新しいレシピを次々と考案し、明石の魚介や県産の野菜を使った家庭料理が評判を呼ぶ。料理に使う井上しょうゆ、三河みりん、シママースの塩、澤屋まつもと厨酒などといった調味料も裕子さんが厳選。
※この記事の内容はdancyu2014年月9号に掲載したものです。