東京・西荻窪にあるタイ料理店「ぷあん」を営むレノーさんに教わったのは、軽やかで香り高いたまご焼き。ご飯に乗せて丼にするのもお薦めです。
のっぺりした風貌からは想像しがたいけれど、噛めばふかふかシュワシュワ。なんだかジューシー。タイ料理好きが集う「ぷあん」のたまご焼きは、そんな食感が魅力。軽やかなのだ。
「それがタイ式の特徴ね」
厨房で腕を振るうチェンマイ出身の広戸レノーさんは微笑みながら、タイのたまご焼きの正体をあれこれ教えてくれた。本名は、カイヂャオ・ムーサップ。家庭料理の王道であり、街中にあふれる屋台でもおなじみの顔なんだとか。味つけはナムプラー、具材は豚肉のみが定番である。レノーさんのレシピは、そこへひとひねり。
「私はパクチーも混ぜています。だから香りがとてもいいんです」
なんてテンションの上がるシンプルな組み合わせなのだろう。「材料を混ぜて焼くだけ」という簡単さもいい。
ではレノーさん、タイ式ならでの食感に仕上げる秘訣は?
「多めの油で揚げ焼きにすることよ」たまごは油を吸うからなるべく控えたいと思う方も、ひるまず分量の油を使ってください。強火で油をしっかり熱してから卵液を注ぎ、レシピに倣って徐々に火力を弱めながら焼きましょう。そうすれば、油の力で理想的なふかふか食感に豚肉の旨味とパクチー特有の香りを包み込んだたまご焼きは、優しくもあり力強くもある。悩ましいほどにビールもご飯も進む。
定番メニュー入りは確実です!
卵 | 2個 |
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豚バラ肉 | 35g |
パクチー | 5枝 |
にんにく | 1片 |
A | |
・ ナムプラー | 小さじ1弱 |
・ レモン汁 | 少々 |
・ 白胡椒 | 少々 |
サラダ油 | 大さじ3 |
チリソース | 適量 |
豚肉は幅5mmに切る。パクチーはざく切りにする。ボウルに卵を割り入れ、豚肉、パクチー、Aを加える。
フォークを使って泡立つまでしっかりと混ぜる。にんにくは粗みじんに切っておく。
フライパンに油をひいて強火で熱し、にんにくを入れる。うっすら色づいたら2の卵液を一気に流し入れる。
菜箸で大きくひと混ぜしたら中火にする。卵の外側がふつふつと泡立つくらいの火加減を保ちながら待つこと2~3分。底面がおいしそうなきつね色に焼けたらひっくり返す。
弱火にしてさらに2分ほど焼く。豚肉に火が通れば出来上がり。器に盛り、好みでトマト、パクチー(ともに分量外)を添える。チリソースをつけて食べる。
文:安井洋子 写真:平松唯加子
※この記事の内容はdancyu2017年4月号に掲載したものです。