京都にある「もだん焼 フジ」の一番人気の“タルタルモダン”は、タルタルソースが迫りくるド白力の一品だ。もはやソースが主役と言って良いほどのモダン焼きをご賞味あれ。
ただのタルタルではない。目の前に広がるのは、空前絶後のボリュームを誇るセクシータルタルである。
「レストランや食堂で出てくる、タルタルの量が物足りなくてね」
店主の荒川信一さんの言葉に万雷の拍手を送りたい。このもどかしさを晴らすメニューを!と荒川さんは自身のモダン焼きに山盛りのタルタルを合わせることに。以来22年間、唯一無二の名物としてタルタル狂を溺れさせている。
ソースが鉄板に滴り落ち、じゅうじゅう音を立てる中、涼しい顔して手招きするグラマラスボディに理性は5秒ともたない。ほんのり甘く、軽やかな味つけは、家でつくってみると、モダン焼きだけでなく、お好み焼きから惣菜のフライ類まで、名バイプレーヤーとしての持ち味を発揮する。
誤解を恐れずに言えば、われわれタルタル好きは、一度この量を体験すべきなのである。大量にこしらえたタルタルを欲望のままに食べ尽くし、過去の「物足りなかった」思い出を美しく浄化する。
まさに一生に一度。人生を変える体験は、理性のリミッターを解き放って挑むべし。
ゆで卵※1 | 6個 |
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玉ねぎ | 1/4個(みじん切り) |
きゅうりのピクルス | 3本(みじん切り) |
パセリ | 少々(みじん切り) |
砂糖 | 小さじ2 |
塩 | ふたつまみ |
マヨネーズ | 250g(卵の2/3程度) |
※1 店では卵と水を入れた鍋を強火にかけ、「沸騰してから8分」でつくっている。冷水に取り粗熱を取ったら殻をむいてスタンバイ。
玉ねぎは布巾で包んで5分ほど流水に晒して辛味を抜く。水気をきったらピクルス、パセリとともにボウルに入れて合わせる。
ゆで卵をエッグスライサーで縦と横に切ってボウルに加える。包丁で切るときは5mm角が目安。
砂糖と塩を加えて野菜とゆで卵に下味をつける。最後にマヨネーズを合わせ、スプーンですくっても落ちない程度の硬さに仕上げる。
中華麺 | 1玉 |
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豚バラ肉 | 50g |
焼きそばソース | 大さじ2 |
A | |
・ 生地※2 | 大さじ1 |
・ キャベツ | ひとつかみ(みじん切り) |
・ 紅生姜 | 適量 |
・ 天かす | 適量 |
・ 青ねぎ | 適量 |
・ 卵 | 3個 |
卵 | 1個 |
サラダ油 | 大さじ1 |
お好み焼きソース | 適量 |
※2 薄力粉大さじ1に少量の淡口醤油を加え、鰹だしで耳たぶの硬さになるまでのばすと、およそ2枚分の生地ができる。
鉄板(ホットプレート、フライパンでも可)に油をひき、豚バラ肉を炒める。肉に火が通ったら中華麺、焼きそばソースを加えて炒め、皿に取る。
Aをすべてボウルに入れてさっくりと混ぜる(食感が重くなるため、混ぜすぎに注意)。
熱した鉄板に2を流して焼く。生地が固まる前に1をのせる。
別の場所に卵を割り入れて円形に焼いたら、3の生地を返してのせる。卵に焼き色がついたら返し、お好み焼きソースを塗り、タルタルをたっぷりのせる。
文:福山嵩朗 写真:高見尊裕
※この記事の内容はdancyu2017年4月号に掲載したものです。