日本一の魚屋「根津松本」に教わる絶品煮魚
金目鯛の煮つけ

金目鯛の煮つけ

皮はトロリ、身はしっとりの金目鯛の煮つけ。煮汁もおいしいので、ご飯にかけるのもお薦めです。東京の下町にある「根津松本」には、高級料亭が仕入れる魚以上の魚が並ぶ。今回は、日本一の魚屋と呼ばれる店の店主・松本秀樹さんに煮魚のつくり方を教わりました。

金目鯛の煮つけのつくり方

絶品“煮魚の掟” ポイントは4つ!
①ウロコや血は残さない
ウロコは一枚でも残ると口当たりが悪い。血は加熱すると臭みや雑味になるので、きれいに掃除しよう。

②煮る前に霜降りのひと手間
湯をかけるか、湯に通して臭みを除き、ウロコが残っていないか確認。ナメタガレイは、ここでヒレの薄皮やぬめりをしっかり取り除く。

③煮汁のアクはこまめにすくう
アクの多くは魚に残っている血。臭みが煮汁や魚の身に移らないように、たまってからではなく、出てくるそばからすくうこと。

④甘味はコク深い「中ざら糖」で
カラメルを加えてある中ざら糖は、醤油と合うコクのある甘味。味わい深さがアップ!

材料材料 (つくりやすい分量)

金目鯛大きめの半身(約500g、3等分に切ったもの)
300~400ml
300~400ml
中ざら糖大さじ3~4
醤油大さじ3~4
味醂大さじ1
生姜3枚(薄切り)

1下ごしらえ

骨が付いている半身の場合は、旨味が出るので骨付きのまま煮る。取り残したウロコがあれば骨抜きを使って取り除き、斜めに一本、皮目に飾り包丁を入れる。

下ごしらえ

2金目鯛を霜降りに

皮目のみに少量の熱湯をかけて霜降りに。「ウロコの取り残しも確認して」と、松本さん。

金目鯛を霜降りに

3氷水に取る

余熱で火が通らないように、すぐ氷水に取り、キッチンペーパ ーで水気を拭き取る。

4調味料を鍋に入れる

鍋に水と酒を1:1の割合で合わせる(魚がかぶるくらい)。中ざら糖を加えて強火にかける。

調味料を鍋に入れる

5金目鯛を鍋に入れる

煮汁が沸いたら、皮目を上にして金目鯛を入れる。アクが浮いてきたらこまめに取り除く。

金目鯛を鍋に入れる

6残りの調味料を入れる

醤油、味醂、生姜を加えて、再び煮立ったら煮汁を味見。ここで味を決めることが大切!

残りの調味料を入れる

7落とし蓋をする

落とし蓋をして、弱火で6分煮る(魚を入れてから12~13分)。時々煮汁を回しかける。

8盛り付けて完成

すっきり澄んだ味わいの煮つけが完成。皮目のみを霜降りにするので、脂の旨味も逃さない!

金目鯛一尾を捌きたいあなたへ

金目鯛を捌くときの敵は、びっしり身を覆うレンズのような硬いウロコ。ウロコ引きを尾から頭に向かって動かして、丁寧に取り除く①。エラとアゴの付け根を切り、エラから肛門にかけて浅めに包丁を入れ、内臓を傷つけないようにエラごと取り除く②。そして流水に当てながら、中骨についた血や汚れを歯ブラシでかき出す③。頭を落とし、二枚おろしにする④。

教える人

松本秀樹

松本秀樹 「根津松本」店主

1971年、北海道旭川市生まれ。両親も鮮魚店を営む。百貨店の高級鮮魚店を経て35歳で独立、「根津松本」を開業。

文:大沼聡子 写真:泉 健太

※この記事の内容はdancyu2018年1月号に掲載したものです。

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。

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