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餃子料理は、世界各国にあります。イタリアのラビオリ、ポーランドのピエロギ、ネパールのモモ、トルコのマントゥ……あげればきりがないほど、餃子の仲間はさまざまな郷土料理として愛されているのです。お国柄に合わせてそれぞれ味わいは変化していますが、「粉をこねて少し休ませてつくった皮に、具を包んだ料理」は、小麦が主食の土地ならどこでも受け入れやすかったため、多くの国で定着しました。
発祥は紀元前の中国山東省とされていますが、餃子を世界中に広めるのに一役買ったのが、広大な領土を誇ったモンゴル帝国だといわれています。領土内にあった餃子を自分の国に持ち込み、それをまた遠く別の領土へと伝えたのです。
モンゴル帝国の餃子バンシーが、当時の領土の最北端であるロシアに伝わったことでできたのがペリメニ。その証拠に、バンシーとペリメニは形が同じ帽子型です。ロシアの風土に合わせて肉は牛肉に、ニンニクとサワークリームで味つけをします。
バンシーが帝国の最東端、朝鮮半島に伝わったのが、韓国のマンドゥです。キムチが入ってちょっぴりスパイシー。でもやっぱり包み方はバンシーと同じ、帽子型なのです。
今回はロシアの餃子、ペリメニのつくり方をご紹介しましょう。ヨーロッパ圏内に入ると餃子もぐっと欧風になり、サワークリームやディル、またはバターなどを添えていただきます。

| 手づくりの皮 | 20個分 | 
|---|---|
| ナチーンカ(餡) | |
| ・ 合挽き肉 | 100g | 
| ・ 玉ねぎ(すりおろし) | 1/4個分 | 
| ・ にんにく(すりおろし) | 1/2片分 | 
| ・ 水 | 大さじ1/2 | 
| ・ 塩 | 小さじ1/2 | 
| ・ 胡椒 | 少々 | 
| 揚げ油 | 適量 | 
| 酢 | 適量 | 
| 溶かしバター | 適量 | 
| サワークリーム | 適量 | 
| ディル | 適量 | 

ナチーンカ(餡)の材料をすべてボウルに入れて、手でよく混ぜる。

餃子の皮1枚に20等分した餡(大さじ1程度)をのせて、半分に折る。


しっかりと口を閉じたら両サイドを軽くひっぱってくっつける。

帽子型餃子の完成。皮がしっとりしているので口を閉じる水は不要。同様にして計20個包む。

鍋に油を熱し、中温で揚げる。器に盛り、酢、バター、サワークリームなど好みのものを添えて食べる。




フィールドワークを信条とするユーラシア大陸料理研究家。ロシア、イラン、トルコなど訪れた国は50カ国以上。現地の料理を習い、食文化の研究を続けている。自宅で「サロン・ド・キュイジーヌ」主宰。テレビ、雑誌などでも多数活躍している。近著に『ビーツ、私のふだん料理』『手づくり調味料のある暮らし』など。
文・椙下晴子 写真・宗田育子
※この記事の内容はプレジデントムック技あり!dancyu「ギョーザ」に掲載したものです。
