世界の餃子のつくり方
羊肉でつくるモンゴルの餃子"バンシー"

羊肉でつくるモンゴルの餃子"バンシー"

餃子料理は世界中にありますが、その伝播に一役買ったとされるモンゴルの餃子、バンシーをご存じですか?手づくりの皮と羊肉を使ったエキゾチックな味わい。そのつくり方をご紹介します。

世界中で愛されている餃子料理

餃子料理は、世界各国にあります。イタリアのラビオリ、ポーランドのピエロギ、ネパールのモモ、トルコのマントゥ……あげればきりがないほど、餃子の仲間はさまざまな郷土料理として愛されているのです。お国柄に合わせてそれぞれ味わいは変化していますが、「粉をこねて少し休ませてつくった皮に、具を包んだ料理」は、小麦が主食の土地ならどこでも受け入れやすかったため、多くの国で定着しました。
発祥は紀元前の中国山東省とされていますが、餃子を世界中に広めるのに一役買ったのが、広大な領土を誇ったモンゴル帝国だといわれています。領土内にあった餃子を自分の国に持ち込み、それをまた遠く別の領土へと伝えたのです。
モンゴル帝国の餃子バンシーが、当時の領土の最北端であるロシアに伝わったことでできたのがペリメニ。その証拠に、バンシーとペリメニは形が同じ帽子型です。ロシアの風土に合わせて肉は牛肉に、ニンニクとサワークリームで味つけをします。
バンシーが帝国の最東端、朝鮮半島に伝わったのが、韓国のマンドゥです。キムチが入ってちょっぴりスパイシー。でもやっぱり包み方はバンシーと同じ、帽子型なのです。
今回はその餃子の伝播に大きくかかわったとされるモンゴルの餃子、バンシーのつくり方をご紹介しましょう。モンゴルでは羊肉が主流なので肉はもちろん羊肉。水が貴重品で、家畜の乳のほうが身近だったため、日常のバンシーは羊乳で煮たものが一般的だったそうですが、今回はそれに近づけて牛乳で煮たレシピをご紹介します。

餃子の皮のつくり方

材料材料 (40個分)

薄力粉150g
強力粉150g
小さじ1/2
150ml
打ち粉適宜
材料
材料は薄力粉、強力粉、塩、水とシンプル。丈夫そうなポリ袋を使うと楽なのでぜひ準備しましょう。つくった皮は乾いてしまうと包めなくなるので、すぐに包まないときはラップなどをしておきます。保存する場合は片栗粉をたっぷりとまぶし、皮同士がくっつかないように少しずつずらして重ねてポリ袋に入れましょう。冷蔵なら2~3日、冷凍なら約1ヶ月保存可能。

1材料をボウルに入れる

水と塩を混ぜて溶かし、ポリ袋に入れる。他の材料(打ち粉以外)も入れる。ボウルの中にポリ袋を入れると作業しやすい。

材料をボウルに入れる

2中身をなじませる

ポリ袋の口を押さえながら、下からポンポンとたたき全体をなじませる。混ざってきたらやさしく揉む。

中身をなじませる

3まとまったら休ませる

まとまったら休ませる
だんだん生地が固くなり、まとまってきたらOK。室温で30分休ませる。30分以上でも問題はない。
まとまったら休ませる
休ませる前。ところどころポロポロしていて、なんとなく粉がなじんでいない……。
まとまったら休ませる
30分後。 粉の粒子と水分が結合。寝かせるだけでしっとり、ツヤッ!すぐに使わない場合はこの段階で小分けにして保存も可。冷蔵なら2~3日、冷凍なら約1ヶ月。

4生地をこねる

まな板などの上で、寝かせた生地を軽くこね、丸くする。

生地をこねる

5ドーナツ状にする

ドーナツ状にする
中央に穴をあけ、生地を伸ばしながらなるべく均等な太さのドーナツ状にする。
ドーナツ状にする

62つにちぎる

2つにちぎる
直径20cm程度の輪になったら、2ヶ所手でちぎり、2本の棒状にする。

71つずつの大きさにしていく

1つずつの大きさにしていく
もう1ヶ所ちぎり、4本の棒状にする。この1本から餃子の皮10個をつくる。

8手のひらでまるくする

手のひらでまるくする
棒の1本を10個にちぎり、それを手のひらで転がして丸くする。

9打ち粉をする

打ち粉をする
ここから打ち粉登場。全体に打ち粉をまぶしながら、手のひらで生地を軽くつぶす。

10めん棒でのしていく

めん棒でのしていく
めん棒登場。左手で1個の生地を持ち、めん棒を生地の中心に向かって前方に軽く力を入れて転がす。

11形をととのえる

形をととのえる
中心からめん棒を手前に戻す(力不要)。左手で生地の位置をずらし、これを4~5回繰り替えす。

12皮の完成

皮の完成
直径6~7cmの皮が完成。真ん中がぷっくりした状態でOK。こうすると包んだときに均等になる。

モンゴルの餃子、バンシーのつくり方

材料材料 (20個分)

手づくり餃子の皮20枚
餃子の餡
・ 羊肉100g(挽き肉)
・ 玉ねぎ1/8個分(みじん切り)
・ 塩小さじ1/2
・ 胡椒少々
牛乳5カップ
小さじ1/2
胡椒少々
バター大さじ1/2
万能ねぎ適量(小口切り)
材料

1材料を混ぜる

材料を混ぜる
餡の材料をすべてボウルに入れ、粘りが出るまでよく混ぜる。

2餡を包む

餡を包む
餃子の皮1枚に20等分した餡(大さじ1程度)をのせて、半分に折る。
餡を包む

3口をとじる

口をとじる
しっかりと口を閉じたら両サイドを軽くひっぱってくっつける。

4餃子の両端をくっつける

帽子型餃子の完成。皮がしっとりしているので口を閉じる水は不要。同様にして計20個包む。

5牛乳で煮る

牛乳、塩、胡椒、バターを鍋に入れ、沸騰したらバンシーを入れて煮る。目安は、浮き上がってから1~2分程度。器に盛り、小ねぎを散らす。
とめ写真
柔らかな甘さのスープと羊肉のクセが新鮮。牛乳煮のほか、シンプルにゆでたり焼いてももちろんおいしいです。

教える人

荻野恭子 ユーラシア大陸料理研究家

荻野恭子 ユーラシア大陸料理研究家

フィールドワークを信条とするユーラシア大陸料理研究家。ロシア、イラン、トルコなど訪れた国は50カ国以上。現地の料理を習い、食文化の研究を続けている。自宅で「サロン・ド・キュイジーヌ」主宰。テレビ、雑誌などでも多数活躍している。近著に『ビーツ、私のふだん料理』『手づくり調味料のある暮らし』など。

文・椙下晴子 写真・宗田育子

※この記事の内容はプレジデントムック技あり!dancyu「ギョーザ」に掲載したものです。

技あり「ギョーザ」
技あり「ギョーザ」
A4変型判(104頁)
ISBN:9784833477697
2019年03月18日発売 / 880円(税込)