おやつの時間ですよ。
シフォンケーキがふくらまないのは、なぜ?

シフォンケーキがふくらまないのは、なぜ?

ふんわり&しっとり食感が人気のシフォンケーキ。手づくりにチャレンジしてみたものの、生地は上手にふくらまず、ぺちゃんこに……。お菓子・料理研究家の森崎繭香さんに「生地がふくらまない理由」を教わります!

失敗から学ぶシフォンケーキ。

卵黄を泡立てて油と牛乳、小麦粉を混ぜたら、メレンゲを合わせてシフォンケーキの生地のでき上がり!
よしよし上手にできたぞ、と型に流し込んでオーブンへ。
しかし、数十分後には奈落の底に突き落とされる。
「生地が全然ふくらんでない……」
シフォンケーキがふくらまなくて落胆した経験がある方、多いのではないでしょうか?

森崎繭香さん
お菓子・料理研究科の森崎繭香さん曰く「シフォンケーキを焼いている間は、きれいにふくらんでくれるか、いつもドキドキします」。

「オーブンの中では、きれい

にふくらんでいたのに、焼き終えたとたんにプシューとしぼんでしまうこともありますよね」
シフォンケーキは失敗が一目瞭然なので、ショックが大きいです。
なぜ、しぼんでしまうのでしょうか。

「しぼんでしまうことを怖がってはいけませんよ。原因がわかれば怖くありません!今こそ失敗から学ぶときです!」
森崎さんは宣言します。
「あえて、失敗しやすいつくり方を交えて4種類のシフォンケーキを焼いてみました!」

シフォンケーキ
たったひとつ工程を変えるだけで、仕上がりが大きく変わる。あなたのシフォンケーキはどれに近い?
シフォンケーキ
卵白の泡立てが足りなかったシフォンケーキ。焼き上がりはほんのりふくらむので「うまく焼けたかも?」と思いきや、オーブンから取り出した時にはシワシワにしぼんでしまっていた。無念。
シフォンケーキ
生地がもっちりとしていて、生焼けの部分もある。大きな空洞もできていて、ふわふわのシフォンケーキとは呼べない仕上がり。
シフォンケーキ
型からはみ出るほどふくらんでいて、成功しているように見えますが、中央が心なしかへこんでいます。これは泡立てた卵白と卵黄が均一に混ざっていないシフォンケーキ。
シフォンケーキ
生地の断面には、大きな気泡や黄色く固まった卵黄が残っています。粉と卵が混ざりきっていないので、生地を切ろうとするとホロホロと崩れてしまいます。
シフォンケーキ
お!このシフォンケーキはきれいに焼けているのでは?
シフォンケーキ
焼き上がった生地を冷ますとき、逆さにしなかったので、底の気泡が潰れてしまっています。ムラのある食感です!おしい!
シフォンケーキ
きれいに焼き上がったシフォンケーキ。美しい……。
シフォンケーキ
生地のキメは細かく、切っても崩れません。ふわふわしているだけでなく、もっちりとした食感もあります。

メレンゲを制するものは、シフォンケーキを制する。

シフォンケーキがふくらまない事件、解決の糸口が見えました。
「“ふくらまない”という失敗だけでいえば、メレンゲの泡立てが足りていないことがほとんどの原因です」
森崎さんは断言します。
シフォンケーキは、卵白の泡立てがすべてと言っても過言ではないのだ!

メレンゲ
卵白を泡立ててつくるメレンゲ。シフォンケーキのふくらむ力のほとんどは、このメレンゲの「泡」が担っています。

「型はアルミ製のものか、100円ショップで購入できる紙製のものを選びましょう」
森崎さんによると、市場に出回っているテフロン加工の型は、シフォンケーキの失敗を招いてしまう可能性があるそうです。
「シフォンケーキは型に生地が張り付くことでふくらみを維持するんです。テフロンだと生地がくっつかないですよね。同じような理由で型に油などを塗る必要もありません」
オーブンから出した時にしぼんでしまう失敗の原因は、型選びにもあったのですね。

たくさんのシフォンケーキのつくり方がある中で、森崎さんが教えてくれるのは“生地がふくらむ”ことにコミットしたレシピ。
「卵白だけでなく、卵黄も泡立てます。卵のふくらむ力を存分に引き出し、ふわふわ&しっとりのシフォンケーキを焼いてみましょう!」

シフォンケーキのつくり方

材料 材料 (6人分)

薄力粉 70g
4個
グラニュー糖 70g
米油 大さじ2
牛乳 大さじ3
材料
グラニュー糖は、卵黄用の30gとメレンゲ用の40gにわけておくと使いやすいです。

シフォンケーキをつくるときに必要な道具

シフォンケーキ型
アルミ製のシフォンケーキ型。底と中心の筒の部分が一体化して、取り外せるタイプが便利です。今回は17cmのシフォン型を使用します。
ハンドミキサー
メレンゲを泡立てるのに使用するハンドミキサー。ホイッパーでも泡立てられますが、手早く生地を仕上げるためにも、ぜひ、手に入れてほしいアイテムです。

下準備

薄力粉はふるいにかけておく。オーブンを180度に予熱する。

1 卵黄と卵白にわける

ボウルに卵を割り入れ、卵黄と卵白を違うボウルに取りわける。卵黄を溶きほぐし、グラニュー糖30gを加えてハンドミキサーの高速で、白っぽくもったりするまで混ぜる。混ぜ終えたら、ハンドミキサーの羽根は洗い、乾かしておく。

卵黄と卵白に分ける
卵黄と卵白に分ける

卵黄は泡立てると、空気を含んで色が淡くなりぽってりしてきます。グラニュー糖がしっかり溶け、ふんわりしてきたら次へ進んでOK。ハンドミキサーの羽根はここで手早く洗い、水気をしっかりと拭いて乾かしておきましょう。

2 混ぜ合わせる

1のボウルに米油、牛乳を加える。材料を加える度にホイッパーで混ぜる。ふるいにかけた薄力粉を一気に加え、生地にツヤが出るまで混ぜ合わせる。

混ぜ合わせる
混ぜ合わせる

薄力粉の粉気がなくなり、生地の色がワントーン明るくなったのが“ツヤ”が出た状態。ホイッパーで混ぜたときのスジがより鮮明に見えるようになります。

3 メレンゲをつくる

卵白をハンドミキサーの高速で、全体が泡立つまで混ぜる。グラニュー糖40gを3回にわけて加える。グラニュー糖を加える度にハンドミキサーで泡立てる。グラニュー糖をすべて混ぜたら、ハンドミキサーを低速に変えて、卵白が白いクリーム状になるまで混ぜ合わせる。

メレンゲをつくる
ボウルをしっかり手で抑えて、卵白の周りから巻き込むようにして混ぜましょう。
メレンゲをつくる
卵白のどろっとした部分とさらっとした部分が混ざればOK。ハンドミキサーを止め、すくった時につららのように羽根にかかる状態が目安。
メレンゲをつくる
グラニュー糖はすべて一気に加えてしまうと、卵白が泡立ちにくくなってしまうので3回にわけて加える。
メレンゲをつくる
最初のグラニュー糖を加え、ハンドミキサーで泡立てた状態。ハンドミキサーを止めたとき、すくった形が残るくらいでOK。
メレンゲをつくる
2度目のグラニュー糖を加え、ハンドミキサーで泡立てた状態。
メレンゲをつくる
すべてのグラニュー糖を加えて、泡立てた状態。ハンドミキサーを止めて持ち上げたとき、メレンゲに角のようにピンと立てば大丈夫です。
メレンゲをつくる
ハンドミキサーを低速に変え、ボウルの中全体を混ぜ合わせていく。
メレンゲをつくる
メレンゲの完成です!メレンゲのキメの細やかさで、シフォンケーキの口当たりに差がでます。

4 卵黄とメレンゲを混ぜ合わせる

3のボウルにメレンゲを3回にわけて加える。メレンゲを加えるたびにホイッパーで混ぜ合わせる。

卵黄とメレンゲを混ぜ合わせる
メレンゲもグラニュー糖と同じく、少しずつ卵黄と合わせます。
卵黄とメレンゲを混ぜ合わせる
最初にメレンゲを加えたときは、つよくボウルに擦り付けるように混ぜ合わせる。ここでしっかり混ぜておくことで、残りのメレンゲの泡を潰さずに卵黄と合わせることができます。
卵黄とメレンゲを混ぜ合わせる
残りのメレンゲを2回にわけて加え、泡を潰さないように優しく混ぜる。
卵黄とメレンゲを混ぜ合わせる
ホイッパーで生地をすくい上げ、高いところから落としながら混ぜると、少ない回数で混ざります。
卵黄とメレンゲを混ぜ合わせる
最後のメレンゲを加えたら、ゴムベラに持ち替えて底から生地をすくうように20回ほど混ぜる。メレンゲの白い部分が残っていないかをチェックしましょう!

5 型に流し入れる

4の生地を型に流し入れる。中心の筒の部分に親指をあててくるくると2~3回、型を回して気泡を抜く。竹串で放射線状に6本のスジを入れる。

型に流し入れる
型に流し入れる

型を回して生地の気泡を抜くことで、焼き上がりの断面が美しくなります。生地に入れるスジは、空気の逃げ道です。焼いているときに、シフォンケーキがきれいにふくらむようになります。

6 生地を焼く

180度に予熱したオーブンに5を入れて約30分焼く。

生地を焼く

オーブンはひとつひとつ焼き上がるクセが違います。焼き色が強いところ、弱いところがあるときは、焼き時間の7割ほど過ぎたところで、手早く型の前後の向きを変えると良いです。

7 生地を冷ます

生地の表面に焼き色がつき、指で触ってみて弾力があれば焼き上がり。型ごと逆さまにして粗熱をとる。

生地を冷ます
生地を冷ます

生地を逆さまにして冷ますことで、重力で生地の底のキメが潰れないようにします。ふわふわな食感に仕上がりますよ。

8 型から外す

生地が冷めたら、型の縁から生地を中に押し込み型から剥がす。中心の筒の部分を持ち、形を整えながら生地を外せばでき上がり!

型から外す
型の熱は冷めにくいので、火傷しないように確認してから生地を外しましょう。
型から外す
きれいにふくらんだシフォンケーキですが、恐れずに一気に押し込んでいきます。生地が冷めていれば、キメが潰れることもありません。
型から外す
型の半分くらいまで生地を押し込む。
型から外す
中央にある筒の部分を持ち、引き抜いてください。
型から外す
優しく形を整えて……。
型から外す
底もゆっくりとはずします。
型から外す
ふわふわのシフォンケーキのでき上がりです!
完成
食べやすい大きさにカットし、生クリームを添え、粉砂糖をかけると、おもてなしにもぴったり。

「メレンゲを制するものはシフォンケーキを制します。メレンゲを上手に立てるだけでなく、その泡が潰れないうちに生地を仕上げることも大切です」
つまり、シフォンケーキづくりはスピードも勝負!
計量は間違えないように慎重に、一度つくり始めたら最後まで勢いよくつくるのですね。
「ケーキ屋さんでも“生地は生き物”と言われるほど、時間と共に状態が変化していきます。たとえ失敗しても、何度もチャレンジすることが成功への近道ですよ」

教える人

森崎繭香

森崎繭香

1976年、横浜生まれの八王子育ち。お菓子・料理研究家/フードコーディネーター。料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、ラジオ・テレビ出演など幅広く活動中。身近な材料を使った自宅でもつくりやすいレシピを心がけている。2019年には、人と犬が一緒に食べられる無添加おやつとごはんのオンラインショップ「one's daily」をオープン。著書に『型がなくても作れるデコレーションケーキ』(グラフィック社)、『小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ』(日東書院本社)、『米粉で作る うれしい和のおやつ』(立東舎)。最新刊は『はじめてでもおいしくできる! おうちおやつ』(文化出版局)。

――つづく。

文:長嶺李砂 写真:公文美和

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長嶺 李砂(ライター・編集者)

1984年、青森県十和田市生まれ。子供時代の夢だったパティシエになるも紆余曲折、今は主に書籍を手がける編集者。食や暮らしにまつわる企画に関わることが多い。『スパイスでおいしくなるand CURRYのカレーレッスン』(立東舎)、『2LDK、5人家族。』(光文社)、『5つの味つけ黄金比』(学研プラス)、『おつかれさまスープ』(学研プラス)などの編集に携わる。東京都・若林にある青森の地酒と郷土料理の店『酔処みね』で、木曜日に働いています!