トマトにきゅうり、パプリカ、ピーマンーー夏野菜をたっぷり使って「ガスパチョ」をつくりましょう!冷たくて気持ちの良いのどごしは、夏にぴったりです。
若い頃、スペイン・アンダルシア地方をひとり歩きしたことがあります。
コルドバ、グラナダ、マラガなど、どの街もカラリと乾燥した気候のせいか、空は真っ青で、木々も建物もくっきりと目に映ったことをよく覚えています。燦々と太陽の日差しがふり注ぐその土地で、フレッシュな野菜をたっぷり使った冷たいスープ、ガスパチョが生まれました。
ガスパチョは、もともと農夫や羊飼いが過酷な暑さの中で水分と栄養を摂るために広まったと言われています。
さらに遡ると、ローマ軍団が持ち込んだ飲み物に由来する、などという話もスペイン王立ガストロノミー学会のサイトには書かれています。
ガスパチョの起源は、ローマ軍団が水筒に入れて持ち運んだ『ポスカ』という飲み物に由来します。水、ビネガー、塩、刻んだハーブから作られていました。
私たちが想い浮かべるガスパチョはトマト味のものですが、ヨーロッパにトマトが伝来したのは大航海時代。それまでは、トマトなしの白いガスパチョだったんですね。現代のスペインでも、さまざまな野菜やフルーツ、ナッツなどを加えたガスパチョが、つくられているようです。
今回はスペインという土地に想いを馳せつつ、定番的なトマト味でガスパチョをつくってみましょう。
ガスパチョのつくり方は、ミキサーかハンドブレンダーがあれば簡単。煮込みは一切不要で、すべての材料を生のまま、ミキサーにかけるだけです。本格的につくるときは、食材選びと下ごしらえに気を配りましょう。
味のベースは、完熟したトマトとにんにく。味つけは、塩とビネガー、それにオリーブオイル。
そして、ガスパチョに欠かせないのは、パンです。パンが入ることで、ジュースではなくスープであるという食べ応えが増します。
パンはバゲットやカンパーニュなど、固めのパンが食材のエキスをよく吸うので相性が良いです。ちょっと古くなって固くなったパンでも大丈夫。
味つけのポイントはビネガーを効かせること。さっぱりと夏向けのスープになります。ワインビネガー、シェリービネガー(へレスビネガー)など、フルーティな酢を使いましょう。
ミキサーにかけてからでも追加できるので、完熟トマトの酸味に合わせて、酸っぱすぎず、甘すぎずの塩梅に量を調節すると良いと思います。入れすぎは禁物ですよ。
イスラムの文化を色濃く残した、アンダルシアの雰囲気を感じさせるスパイスとしてクミンも使います。スペイン料理でもよく使われています。パプリカは香りだけでなく、鮮やかな色を補ってくれるでしょう。
夏にぴったりな栄養たっぷりガスパチョのつくり方を、ぜひお試しくださいね。
トマト | 2個 |
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玉ねぎ | 1/8個 |
きゅうり | 1/2本 |
ピーマン | 1/2個 |
パプリカ | 1/4個(黄) |
にんにく | 1/2片 |
バゲット | 2切れ |
水 | 50ml |
白ワインビネガー | 小さじ2 |
パプリカパウダー | 小さじ1 |
クミン | 小さじ1 |
塩 | 適宜 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
鍋に湯を沸かし、トマトの皮を湯剥きする。湯は捨てずに、皮を剥いたにんにくを3分ゆでる。
へたを取り除いたトマト5gを飾り用に7mm角に切る。残りはざく切りして、ボウルでちぎったバゲットと合わせる。ラップをして、冷蔵庫で1時間ねかせる。
玉ねぎはすべてみじん切りにして、塩をひとつまみふる。5分水にさらして、キッチンペーパーで水気を搾る。 きゅうり、ピーマン、パプリカを飾り用に5gずつ7mm角に切る。残りはざく切りする。にんにくはすりおろす。
下準備をしたトマトとパン、玉ねぎ、飾り用以外のきゅうり、ピーマン、パプリカとにんにく、水、白ワインビネガー、パプリカパウダー 、クミン、オリーブオイルをミキサーに入れて撹拌する。野菜の形がなくなり、液状になったら冷蔵庫で1時間冷やす。
器に冷やしたスープを注ぎ、中心に飾り用の野菜をトッピングして、オリーブオイルをたらせば完成!
文:有賀薫 写真:キッチンミノル