レモンって果汁だけじゃないんです。魚、肉、野菜、乳製品……相性のいい食材は無限大。レモンそのものを揚げても、パスタと一緒にゆでてもいい。炊き込んでもいいし、だしの効いた汁に浮かべてもいいのだ。2019年の春は、国産レモンがおいしいうちに塩レモンを超える、新たなレモン料理に挑戦しよう!
柚子にすだちにかぼす。日本は柑橘類が豊富だ。だから和食は、わざわざ異国のレモンに頼らなくてもつくれるわけだし、わざわざ使うほどでも……。と思いきや、「和食にも合うんですよ、レモンって」。そう推すのは、人気和食店「七草」の前沢リカさん。和の味には日本の柑橘、という味覚に慣れている舌にとって、「和食にレモン」は新鮮。白和えも炊き込みご飯も、別の表情になるという。和食ならではの粋なレモン使いを教わりました。
レモンの爽快な香りと、旨味の凝縮した貝は、とても相性がいいです。あのフレッシュさが貝特有の磯のにおいを和らげて、料理に軽やかな印象を与えてくれます。使うときはさりげなく。たとえばアサリの定番料理である酒蒸し。私はレモン1個をくし形に切って、 フライパンにすべての材料を入れて約2分。アサリの口が開けば完成です。
・ レモン | 1個 |
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・ アサリ | 350~400g(砂抜きしたもの) |
・ 菜の花 | 1~2束(100g) |
・ にんにく | 1片 |
・ 酒 | 50ml |
レモンは左右の硬い部分を切り落として縦8等分のくし形に切る。アサリは殻をこすりながらよく洗い、ザルに上げて水気をきる。菜の花は根元の硬い部分を切り落とし、長さを半分に切る。にんにくは包丁の腹で潰す。
フライパン、または鍋にレモン、アサリ、菜の花を入れて、酒を注ぐ。
レモンはほとんど生状態。主役となる具にビターな皮の風味を纏わせることが目的なので、食べもせず搾りもしません。果汁を搾ったら、ただ酸っぱいだけの味になってしまいますよ。冷めると皮の苦味が増すので、すぐに食べない場合はレモンを取り除きましょう。
東京・渋谷の和食店「七草」の店主。四季折々の野菜、乾物、豆を使った滋味深い料理にファン多し。柑橘好きで、酸味を効かせた料理が好き。
dancyu4月号にはその他にもレモンを使った料理をたくさんご紹介しています。ぜひご覧ください!
文:安井洋子 写真:宮濱祐美子/大沼ショージ