私の行きつけ~住む町の旨い店案内~
【欲しい、京都に行きつけ】品書きにおすすめ80種類以上、すべてがプロの仕事『洋食おがた』~料理家ウー・ウェンさんの紹介

【欲しい、京都に行きつけ】品書きにおすすめ80種類以上、すべてがプロの仕事『洋食おがた』~料理家ウー・ウェンさんの紹介

その町の住人が長く通う店こそ、愛される名店に違いない。dancyu2025年夏号では、京都と東京の二拠点生活をする、料理家ウー・ウェンさんに京都を案内してもらいました。

「心身のパワーチャージが叶う、洋食屋さんです」

京都市役所の近くにある「洋食おがた」。2015年のオープン以来、地元の常連をはじめ国内外から訪れるゲストを魅了する京都きっての洋食の名店だ。

ウー・ウェンさん
「一人で来ることもありますよ。近所に『洋食おがた』があることが幸せです」。

店主の緒方博行さんは、全国屈指の生産者や目利きからの信頼が厚く、彼らが育んだ食材のエピソードを洋食に落とし込む。「緒方シェフは食のプロが憧れる料理人です。味づくりも人柄も、チームワークもすべてが好き!」とウー・ウェンさん。いつも座る場所は、カウンター席の中央。「緒方さんとスタッフの皆さんの阿吽の呼吸が心地よく、食材談議も楽しくって」。

緒方さん
「食材ありきの、割烹のような洋食屋でありたい」と緒方さん。ウーさん曰く「緒方さんはスタッフへの声がけも丁寧。私自身、気付かされることが多いです」。
カウンター席からは、調理の一部始終を垣間見ることができる。
骨付きロースをカット
注文を受けてから骨付きロースをカット。鹿児島「ふくどめ小牧場」サドルバック豚ポークジンジャー5,310円。
分厚い肉にからむソース
分厚い肉にからむソースはコク深く、レモン果汁や生姜の爽やかさが生きる。

品書きには、本日のお薦めが80種近く並び「毎回違うメニューを楽しみますね」とのこと。焼津「サスエ前田魚店」から届く活アジを用いたフライは「断面のレア感が見事なんです。だけど余熱がすぐに入るから、すぐに食べないと!」と頬張り、満面の笑み。そんなウーさんが愛してやまない「ふくどめ小牧場」のサドルバック豚は、ポークジンジャーでいただく。「分厚いでしょう、なのに脂が軽やか。付け合わせのマッシュポテトは、パリの名グランメゾンを超える感動です」。

活アジフライ
活アジフライ レアに揚げて4,200円。
チキンマカロニグラタン
チキンマカロニグラタン2,890円。
ハンバーグ
ランチメニューの一つ「滋賀サカエヤさん熟成牛と熊本菊池“武藤さん”放牧飼育走る豚 特製ハンバーグ」3,570円。デミグラスソースまたは和風オニオンソースを選べる。お好みでエビフライタルタルソース830円をプラス。

実は緒方さんはフレンチ出身。だから、食材の火入れやソース作りはもちろん、付け合わせに至るまで、フランス料理の技をベースにした洋食が真骨頂。しかも、ベシャメルソースの優しさに包まれるグラタンに至るまで、どの品も澄んだ味わいで、食後感はじつに清々しい。ウーさんの締めは必ずミニカレーらしい。「油も小麦粉も使っていなくて、胃が整う感じ。心身の栄養補給、完了です!」

ミニカレー
「ミニカレーは私のデザートです」490円。
ビーフカレー持ち帰り2人前(ルーのみ)
おがた特製ビーフカレーは持ち帰りも可能。2人前(ルーのみ)2,990円。
ウーさんとスタッフ
「スタッフの顔ぶれも変わらず、落ち着くんですよ」とウーさん。
店内
カウンター11席のほか、店奥にはゆったりと食事を楽しめるテーブル12席もあり。

教える人

料理家 ウー・ウェンさん

料理家 ウー・ウェンさん

北京生まれ。1990年に来日。料理研究家としてクッキングサロンを主宰しながら、シンプルで体にやさしい中国家庭料理のレシピを雑誌や書籍、テレビなどで幅広く発信している。家庭では二人の子供をもつ母。最新刊は『最小限の材料でおいしく作る9つのこつ』(大和書房)。

店舗情報店舗情報

洋食おがた
  • 【住所】京都府京都市中京区柳馬場押小路上る等持寺町32‐1
  • 【電話番号】075‐223‐2230
  • 【営業時間】11:30~13:30(L.O.) 17:30~21:00(L.O.)
  • 【定休日】火曜 他に月2回不定休あり
  • 【アクセス】地下鉄「烏丸御池駅」より7分
dancyu 夏号
dancyu2025年夏号
A4変型判(160頁)
2025年6月6日発売 / 1,500円(税込)

文:船井香緒里 写真:エレファント・タカ

船井 香緒里

船井 香緒里 (フードライター)

福井県小浜市出身、大阪在住。塗箸製造メーカー2代目の父と、老舗鯖専門店が実家の母を両親に持つ、酒と酒場をこよなく愛するヘベレケ・ライター。料理専門誌やカルチャー誌、ウェブなどの編集・執筆を行う。食の取り寄せサイトや飲食店舗などのキュレーションを手がけるなど、食を軸としながら縦横無尽に展開。暴飲暴食を日課とし、ジョギングとロードバイクにて健康維持。「Kaorin@フードライターのヘベレケ日記」で日々の食ネタ発信中。