
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「山手線!本気の昼飯マップ」で、メンバーから寄せられたランチメニューを徹底解剖してお届け。第1回は、黒毛和牛精肉卸の名門が運営するとんかつ店、五反田「あげ福」です。
「『あげ福』は、あの『ヤザワミート』グループのとんかつ専門店。肉質がいいのはもちろん、ここは揚げ方が絶品なんです!中でも、肉ミックス(上ヒレカツ・和牛メンチカツ・チキンカツ)が最高で、特に、チキンカツは、パサつきなく柔らかくてジューシー。本当に素晴らしいです」
JR・都営浅草線「五反田駅」から徒歩5分。目黒川沿いに店を構える「あげ福」は、肉好きのファンが多い精肉卸「ヤザワミート」の直営店として2013年にオープン。とんかつをメインにした揚げもの専門店であり、茨城県産「味麗豚(みらいとん)」や、岩手県産「佐助豚」、長野県産「幻豚(げんとん)」や鹿児島県産「幸福豚(こうふくとん)」など、全国各地から厳選した、稀少かつ上質な肉の揚げ物を楽しめる。
早速オーダーして10分ほどで到着した『肉ミックス定食』2600円。威風堂々とした貫禄のある佇まい。右上がチキンカツ。手前が上ヒレ。左に和牛メンチ。牛・豚・鶏がひと皿に、三肉が揃い踏み。そして、右に豚汁。左に艶やかなご飯。左上にはタルタルソース、ジンジャーソース、そして塩がセットされる。揚げ物は見るからにサクサク! 茶色は正義だ。カットされた上ヒレカツは、ロゼ色の断面がしっとりしていて神々しさすらある。
「ヒレカツは岩手県の銘柄豚「岩中豚」を使用しています。赤身と脂身のバランスが良いのが特徴です」と店長の丸山さん。それにしても、なんて美しいロゼ色なんだろう。これ以上でもこれ以下でもないピンポイントの火入れだ。
「ひと口目は塩がお薦めですよ」とのことで、ちょこっとつけて頬張ると、モチやわ!っというレアな食感に感無量。噛み込むと、豚の濃厚な旨味が、サクッとした衣と一体になって口にあふれる。そして、塩がめちゃくちゃいい仕事をしている。淡路島産の藻塩だそうで、鋭い塩味はなくマイルドでコクたっぷり。この塩が肉の甘味をグッと引き立てていて、「あげ福」の本気っぷりにいきなり面食らった。
豚に続くは「牛」だ。全国から厳選した上質な黒毛和牛100%のメンチカツ。「肉汁がすごいので、注意してくださいね」と事前に聞いていなかったら、かなり驚いていただろう。肉汁というより、肉ジュースが延々と滴り続ける。スゴい! まずは藻塩をつけて食べる。黒毛和牛のガツンとした肉肉しさがある一方で、脂は清らか。コッテリと見せかけて瑞々しく、旨味だけが優しい余韻として口の中に残る。なんて上品なメンチカツなんだろう。お薦めだというジンジャーソースをつけて頬張ると、これまた最高。醤油ベースで生姜が思いっきり効いているが、角がなくまろやか。和牛の味わいと喧嘩することなく調和していて、ご飯ご飯!と箸が勝手に進む。というか、メンチを受け止めるご飯もまた素晴らしく旨い。「とんかつに合う米は何なのかとあらゆる品種を食べ比べして辿り着いた山形県産の「つや姫」を、毎日店内で精米している」とのこと。店内精米って嘘でしょ?? すごすぎる。旨い。もぐもぐ。止まらん!
食いしん坊倶楽部の推薦者、きんさんが大絶賛していたチキンカツがこちら! 鶏ササミのチキンカツって、パサっとして、なんだかグッとこないイメージがあるが、その概念が180度吹っ飛ぶ。とにもかくにも、しっとり。そして軽い。空気を含んでいるのかというぐらいエアリーで、今まで食べたどんなチキンカツとも似ていない。柔らかいというどころではない。力を込めなくともサクッと噛めて、この感動を具体的に伝えたいのに、上手く伝えられないのがもどかしい。なぜこんなにしっとりで柔らかいのですか?と丸山さんに聞くと、「特製ダレに漬け込んで、高温でサクッと揚げて、余熱で火入れしています」とのこと。特製ダレは極秘案件らしいが、やはり漬け込みと揚げ方に秘技があるのか。それにしても、塩とソースのクオリティが高すぎる。チキンカツに相性がいいというタルタルソースも、卵がコク深く、風味もパーフェクト。泣ける。
ヒレカツからの和牛メンチからのチキンカツ。豚→牛→鶏肉を思うがままに食べる幸せたるや。岩中豚の豚汁も沁みる味わいで、ご飯もおかわりして満腹、大満足。ランチで2600円は高い!と思う人もいるかもしれないが、この感動と多幸感を得られると考えたらむしろ安い。五反田に行ったら揚げ物だ。揚げ物が食べたくなったら五反田だ。正直、どちらでもいいが、とにかく『肉ミックス』は衝撃的に旨かった!
という美味しい昼飯の情報をdancyu食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「山手線!本気の昼飯マップ」で募集中。食いしん坊俱楽部への入部をぜひ! そして、LINEオープンチャットへのご参加、お待ちしています。
撮影:五十嵐一晴 文:仁田恭介(編集部)