ひと手間が、がぜんうまい!史上最強、冬のごちそううどん

ひと手間が、がぜんうまい!史上最強、冬のごちそううどん

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一店一店で粉からうどんを打つ、丸亀製麺。打ち立て、茹でたて、できたての“丸亀食感”で、食の感動を提供する讃岐うどん専門店から、冬の限定商品が続々と登場する。その第一弾が、『鴨ねぎうどん』だ。12月5日の発売に向けて最終チェックを重ねる丸亀製麺のテストキッチンを、東京・銀座にある割烹「銀座 矢部」の矢部久雄さんがお邪魔した。商品開発部の情熱的な浦郷裕介さんと百戦錬磨の矢部さん。うどんに魅せられた2人の「うどん談義」を、お楽しみください。

「おおッ!鴨がうまい」と矢部さんは驚き、破顔一笑

食材を極めた日本料理とうまい蕎麦。蕎麦割烹というジャンルの先駆者ともいえるのが、矢部久雄さんである。「銀座 矢部」では、昼のコースも夜のおまかせ料理も締めには十割蕎麦が供される。コース料理のラインナップには実はうどんもあり、矢部さんはうどん名人でもある。

「なんという柔らかさ!味わいにクセもなく、抜群ですね」と、矢部さんが最初に箸をつけたのは鴨肉。1枚、2枚、と鴨肉をつまむ箸が止まらない。それをにこにこ見守るのは、商品開発担当の浦郷裕介さんである。「鴨って塩梅が難しい。合鴨選びから始まって、どのように下処理するか。鴨肉のうま味をいかに閉じ込めるのか。私も鴨ではいろいろ試行錯誤してきました」。浦郷さんが鴨肉にかけた“ひと手間”を味わいから感じ取る矢部さんの言葉に、浦郷さんはうれしくってたまらなそうだ。

矢部さん
十割蕎麦を打つけど、讃岐うどんも好き。湯気がたつ『鴨ねぎうどん』を前に、思わず笑みがこぼれる矢部さん。あっという間に完食したことはいうまでもない。

柔らかい鴨肉と甘めなだしの絶妙なバランス

丸亀製麺のこの冬の限定メニューで掲げているのは「ひと手間かけた冬のうまい!」である。第一弾の『鴨ねぎうどん』も然り。矢部さんが思わず口をついて出たように、とにかく鴨肉がやわらかいのだ。そして、うまい。「この鴨肉は、うどんのもちもちとした弾力やコシとの相性もいいですね。加えて、だし。個人的には讃岐うどんのいりこだしが大好きなのですが、これには甘濃いだしが合う。というのも、鴨肉のうまさは甘めな味つけのほうが引き立ちます。この『鴨ねぎうどん』、実にバランスがいい」と絶賛する矢部さんに、浦郷さんははにかむばかりだ。

「だしは、うちの定番商品、『釜揚げうどん』のつけだしをベースにした、特製だしです。『鴨ねぎうどん』のためだけに用意しました。鴨のうま味が溶けだしただしは最後の一滴まで味わってほしいので、食べておいしく、かつ飲み干せる味わいに調えています」と浦郷さん。

鴨ねぎうどん
うどんはもちろん、鴨肉、焼きねぎの三位一体のおいしさがたまらない。ゆっくり食べ進めるうちに、うどんが特製だしのうまさで染まり、じっくり煮込んだような味わいに。時間経過によるうまさの変化も楽しい。

史上最強の『鴨ねぎうどん』の“ひと手間”

丸亀製麺では『鴨ねぎうどん』は、季節限定の常連メニューである。限定商品の人気リサーチでは、1位を『タル鶏天』シリーズに譲るものの、鴨ねぎシリーズは堂々と2位を守り続けているという。
毎年登場するものの、同じ鴨ねぎは二つとない。丸亀製麺の『鴨ねぎうどん』シリーズ史上最強と誉れの高い、『鴨ねぎうどん』2023について、探りを入れることにした。

矢部さん
鴨肉の柔らかさに感心する矢部さん。自身もよく扱う食材だからこそ、その秘密に興味津々。

「鴨肉のこの柔らかさは加熱時間ですか?鴨に味をしみ込ませながら火を通すのは加減が難しいのに」と不思議そうな矢部さん。すると「注文を受けてから、都度特製だしで鴨肉には火入れをしています。手早くかつちゃんと火入れをすることが大切なので、今回は合鴨ロースを使うことにしました」と浦郷さん。

「注文を受けてから都度だしで煮るんですか!?だから柔らかいのか。けれど、中までしっかり味が入っていますよね」と矢部さん。「実は、生肉に“かえし”をまぶし、下味をつけています。今回、初めて採用した“ひと手間”です(笑)」と浦郷さん。柔らかいのに煮込んだような味わいを出せる秘密、ここにあり。

鴨つゆ
注文ごとに煮る鴨と特製だし。「生の鴨肉は思いのほか厚いんですね。なのに、あの柔らかさ。皆さんの試行錯誤のたまものですね」と矢部さんは感心しきり。
鴨つゆ
肉を煮ただしをそのまま使うことで、鴨肉のだしも含んだ絶品の一杯に仕上がる。

矢部さんの鴨話は、まだまだ止まらない。「鴨肉は脂にこそうま味があるのですが、ちょっと苦手とする人もいますよね。うちの店でも残す方がいたりします。こちらの鴨肉はそこまで脂の個性が強くない。うどんにはそれがちょうどいい」と語る矢部さんに、浦郷さんのにやにやが止まらない。最適な肉を世界中から探したのだという。
「長ねぎは焼いているのですね。冬の焼きねぎってうまいよねぇ」としみじみ語る矢部さんに、「本当は鴨肉の表面を焼いて脂のうま味と香ばしさを添えたいのですが、うどんとの相性やオペレーション的に難しい。長ねぎを鶏油で焼くことで、冬に旬を迎えたねぎの甘さと香ばしさを加えることにしました」と浦郷さん。
ひとしきり語り合った後、「これで本当に、あの値段なの?」とつぶやいた矢部さん。浦郷さんにとっては、これ以上ない最高の賛辞である。

矢部さんと浦郷さん
鴨肉、だしのこと、うどん打ちと話が尽きない矢部さんと浦郷さん。料理人どうしだからこそ通じる感性のやりとりも楽しそうだ。

「麺は具材です」

「銀座 矢部」で蕎麦やうどんを手打ちする矢部さんは、「麺は具材」と考えている。「かけ蕎麦は具なし、などといわれるじゃないですか。それは違う。麺こそが具材なんです」。蕎麦のうまさを味わうのだから、主役は麺なのだ。だからこそ、丹精を込めて打つ。

そして矢部さんは讃岐うどん好きでもある。打ち立て、茹でたてをうたう丸亀製麺の麺づくりにも興味津々である。
「いいですね、麺は具材って。うちも、『釜揚げうどん』や『かけうどん』、『ぶっかけうどん』も、麺を食べるうどんです。麺のおいしさには自信があります」と浦郷さん。
製麺機の動作を見学させてもらう矢部さん。自身のうどん打ちの工程と重ね合わせつつ、製麺機の精巧さに感心することしきり。「私のうどんは加水を抑えて生地を熟成させますが、加水率は丸亀製麺さんと近い数字ですね」「プレスの仕組みは……ふむふむ」と熱いトークは、第二ラウンドに突入したのだった。

矢部さんと浦郷さん
うどんづくりの工程を実演してもらいながら、うどん談議に花を咲かせる2人。
矢部さんと浦郷さん
蕎麦もうどんも打つ矢部さんは、麺をゆでる大鍋の大切さも知る。「ゆでる鍋と温める鍋。うどんは冷水でしめると、いいコシが出ます。熱冷、冷熱など、讃岐うどんの楽しみは温度にもありますね」と矢部さん。

冬のごちそううどん、続々!

丸亀製麺の冬のごちそううどんは、『鴨ねぎうどん』だけではない。同時に発売されるのが『肉がさね玉子あんかけうどん』で、こちらは人気が高かった『肉玉あんかけうどん』をバージョンアップさせたもの。打ち立てうどんの上にとろとろ熱々の玉子あんをのせ、さらに“かえし”で煮た牛肉、鶏肉と豚肉の合わせそぼろがたっぷりのる。うまさ四重奏!加えてボリュームも満点だ。このほか『玉子あんかけうどん』『明太玉子あんかけうどん』も登場する。

そして、このごちそううどんの嵐は第四弾まで続くということなので乞うご期待である。
この冬、丸亀製麺が仕掛けた“ひと手間”は、おいしいを、相乗効果的に増し増しさせている模様。熱々のうどんは、ちょっとゆっくり味わうのがお似合いだ。ごちそううどんで、冬を楽しもう。

3種の肉を味わえる『肉がさね玉子あんかけうどん』。牛肉に鶏と豚の合わせそぼろを贅沢にのせてなかなかボリューミーな上に、いつまでも熱いとろとろな玉子あんがたっぷり。満腹必至の一杯だ。並790円、大930円、得1,070円。
『鴨ねぎうどん』
誰もが驚くおいしさの鴨肉、それを受け止めるコクが深く、少し甘めな特製だし。それらのうまさに、焼きねぎの香ばしさとゆずの香りが溶け合い、えも言われぬおいしさにまとまっている。鴨肉は合鴨ロース(もも肉)を使用。食べごたえある鴨肉が入り、目にも大満足なビジュアルとなっている。並820円、大960円、得1,100円。販売は12月5日~2024年1月下旬。
※一部店舗では販売しておりません。

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矢部久雄(やべ・ひさお)

矢部久雄(やべ・ひさお)

東京・銀座にある割烹「銀座 矢部」主人。調理学校卒業後、ふぐの赤坂「きくみ」、築地の料亭「金田中」、日本料理「神谷」などで修業を重ねる。新宿御苑の大木戸門近くに「大木戸 矢部」を構えて独立。その後、2008年8月8日に「銀座 矢部」に移転オープンした。住所は銀座8‐8‐8で、末広がりの8尽くし。矢部さん自慢の十割蕎麦は、「神谷」時代に千葉・柏にある蕎麦の名店「竹やぶ」で習う。その際、うまい蕎麦を打つための練習としてうどん打ちを覚えたのだという。不定期オープンのランチでは“ちいずからめそば”“納豆うどん”が人気を二分する。また、20年以上前に編み出した“骨抜き秋刀魚”により、「秋刀魚の神様」としても知られる。

文:斎藤由利子 写真:富貴塚悠太

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