時折、高知に“帰って”いますが、海山川の幸が豊富なだけに、毎回、新しい驚きの味に出会います。今回も食べたことがない料理に出会いました。そして、腹一杯飲み食いしたのに、やはりふらふらと屋台に行ってしまいました……。
「おきゃく大使」でもある僕は、高知に着くと友達に「おかえり!」と言われ、「ただいま!」と応えます。縁もゆかりもなかった高知ですが、40年近く前に初めて訪れてから幾度となく帰ってはみんなと酒を酌み交わします。そんなことを長年続けているうちに「おきゃく大使」を拝命したのです。ちなみに、「おきゃく」とは高知独特の宴会のことで、皿鉢料理などを用意し、お座敷遊びなどを行います。
今回は知人に教えてもらった「英屋(ひでや)」という店に初めて行ってみました。
開放的な雰囲気の明るい店で、料理もライトなものかと思いきや、メニューを見ると魚介、野菜、肉などかなり魅力的なものが並んでいます。とりあえず、高知では一般的なチャンバラ貝(ツンと飛び出た身の先を振り回す様子がチャンバラに見えるところからこの名がつきました)と枝豆をつまみながらビールを呑み、カツオの塩タタキ、ウツボのタタキでさらにあれこれ酒を呑み進めます。鯨カツもお願いします!……あ、売り切れですか、残念。あ、マンボウがありますね、ください!マンボウの心地よい歯応えと淡白な味わいに酢味噌が合いますね。
ん?太刀魚のポテサラ包み焼き!?なんですか、これは?とりあえずお願いします。
運ばれてきた皿には、その名の通り、ポテサラが太刀魚に包まれておりました。食べていると、太刀魚の香ばしさの中にもふわりとした優しさを感じる味わいの後から、ポテサラの甘味を伴う柔らかい旨味が広がります。ベクトルの異なる優しいもの同士の組み合わせは、不思議なくらい相性がよく、軽やかな余韻が残ります。太刀魚もポテサラも大好きでよく食べますが、これらが一体となった料理は生まれて初めて食べました。
と大満足で店を後にして、ホテルに戻ろうかと思いましたが、なぜか足は自然にふらふらと名物屋台「安兵衛」の方向へ。いろいろ美味しいものを食べて満腹になっても、最後は餃子で締めたくなるんですよね。カリッと香ばしく焼かれた餃子でビールを飲み、締めにシンプルな醤油味のラーメンまでいってしまいました。
こうして、今日も幸せな気分でたっぷり飲み食いする高知の夜が更けていくのでした……(つづく)。
文・写真:植野広生
「おきゃく大使」でもある僕は、高知に着くと友達に「おかえり!」と言われ、「ただいま!」と応えます。縁もゆかりもなかった高知ですが、40年近く前に初めて訪れてから幾度となく帰ってはみんなと酒を酌み交わします。そんなことを長年続けているうちに「おきゃく大使」を拝命したのです。ちなみに、「おきゃく」とは高知独特の宴会のことで、皿鉢料理などを用意し、お座敷遊びなどを行います。
今回は知人に教えてもらった「英屋(ひでや)」という店に初めて行ってみました。
開放的な雰囲気の明るい店で、料理もライトなものかと思いきや、メニューを見ると魚介、野菜、肉などかなり魅力的なものが並んでいます。とりあえず、高知では一般的なチャンバラ貝(ツンと飛び出た身の先を振り回す様子がチャンバラに見えるところからこの名がつきました)と枝豆をつまみながらビールを呑み、カツオの塩タタキ、ウツボのタタキでさらにあれこれ酒を呑み進めます。鯨カツもお願いします!……あ、売り切れですか、残念。あ、マンボウがありますね、ください!マンボウの心地よい歯応えと淡白な味わいに酢味噌が合いますね。
ん?太刀魚のポテサラ包み焼き!?なんですか、これは?とりあえずお願いします。
運ばれてきた皿には、その名の通り、ポテサラが太刀魚に包まれておりました。食べていると、太刀魚の香ばしさの中にもふわりとした優しさを感じる味わいの後から、ポテサラの甘味を伴う柔らかい旨味が広がります。ベクトルの異なる優しいもの同士の組み合わせは、不思議なくらい相性がよく、軽やかな余韻が残ります。太刀魚もポテサラも大好きでよく食べますが、これらが一体となった料理は生まれて初めて食べました。
と大満足で店を後にして、ホテルに戻ろうかと思いましたが、なぜか足は自然にふらふらと名物屋台「安兵衛」の方向へ。いろいろ美味しいものを食べて満腹になっても、最後は餃子で締めたくなるんですよね。カリッと香ばしく焼かれた餃子でビールを飲み、締めにシンプルな醤油味のラーメンまでいってしまいました。
こうして、今日も幸せな気分でたっぷり飲み食いする高知の夜が更けていくのでした……(つづく)。
文・写真:植野広生