dancyu本誌から
dancyu3月号「ほとばしる!日本酒2023」絶賛発売中!

dancyu3月号「ほとばしる!日本酒2023」絶賛発売中!

若い後継者たちも活躍も目覚ましく、明るい変化の兆しに満ちている日本酒の世界。そのほとばしるパワーに、飲み手のわくわくも止まりません!本日発売の3月号「ほとばしる!日本酒」特集では、新しい酒造りに挑む蔵の取り組みや世に出て間もない珠玉の生酛、モダンな酒が驚くほど美味しくなる酒器に、ハーブやスパイスを駆使した燗酒つまみレシピ……。クオリティー・オブ・日本酒ライフがぐぐんと上がる情報を、たっぷり詰め込んでお届けします!

乾杯!

表紙
P16+17
P20
P106
dancyu2023年3月号
先日、久しぶりに友達と集まって呑むことになりました。以前は頻繁に会っていた仲間だし、直接会っていなくてもSNSでやり取りを続けていたし、顔を合わせればすぐにいつもの調子になるんだろうな、と思っていました。しかし、実際に顔を合わせてみると、なんだか様子が違います。「久しぶり。元気?」「まぁなんとか……」といった、ありきたりな挨拶の交換がぎこちなく続きました。一人呑みや自宅呑みが増え、呑み会での会話を忘れてしまったかのようでした。
そんなちょっと気まずい雰囲気の中、注文した酒が運ばれ、グラスを掲げて「乾杯!」と声を揃えた瞬間、すっと、いつもの会話と見慣れた笑顔が戻ってきました。「そういえば、お前はいつも最初に漬物を頼むよな!」「だって、すぐ出てくるし、どんな酒にも合うだろ!」。酒が少し入ったので心が緩んだのでしょう。でも、酒の力だけでなく、「乾杯!」という言葉は、みんなが心を開く合図、みんなが一緒になれるノーサイドのサイン、時間の谷間を埋める魔法の合言葉なのだ、とそのとき思いました。
僕はコロナ禍の前から、自分の思いのままに呑み食いできる一人呑みを楽しんできましたが、一人呑みではできないことがありました。それが乾杯です。「乾杯!」という言葉がいかに幸せでありがたいか、改めて気がつきました。
制限や不自由が一切なく、みんなで元気に「乾杯!」と言える日が早く来るといいですね。

dancyu編集長 植野広生
dancyu2023年3月号
dancyu2023年3月号
特集:ほとばしる! 日本酒2023
A4変型判(192頁)
2023年2月6日発売/1,200円(税込)

写真:伊藤菜々子