dancyu本誌から
dancyu12月号「町蕎麦と町鮨」絶賛発売中!

dancyu12月号「町蕎麦と町鮨」絶賛発売中!

dancyu12月号は「町蕎麦と町鮨」です。町蕎麦はいちばん身近な和食店。蕎麦はもちろん、天ぷら、天丼、カツ丼。そして蕎麦前とともに嗜むやすらぎの一杯も。食いしん坊の駆け込み寺、町蕎麦をご紹介!さらに第二特集は3年ぶりの町鮨特集。つまみでゆっくり呑むもよし、握りを腹いっぱい食べるもよし。堅苦しいことは抜きに、皆が笑顔になれる。そんな町場の鮨屋の楽しさを見つめ直します。

ふつうの美味しさ

表紙
P14+15
P20+21
P62+63
dancyu2022年12月号
BSフジで「日本一ふつうで美味しい植野食堂」という番組をやっています。町場の食堂や町中華などで料理を教えてもらう内容ですが、「ふつうで美味しい」ってなんですか?と聞かれると、「今日食べて美味しくて、次の日も食べたくなって、十年後も食べたくなるだろうな、と思うような味わい」と答えます。これは単なる飽きない味というだけでなく、胃と心にじわりと沁みるような美味しさです。店の人は「ふつうですよ」と言いますが、たとえば長年丁寧につくり続けている生姜焼き定食には、シンプルな味付けでも、時を重ねることでしか出せない“味わい”があります。

これは料理の味だけではないのでしょうね。店を続けた年月の重みが、そして常連たちの店を愛する気持ちが、店のやわらかな雰囲気になり、なんとなく居心地よく飲み食いができる。そんな日常の幸せに満ちた店はいいですね。

しかし、世の中では高級店か安いチェーン店の二極化が進んでいます。もちろん、自分が行きたい店に行けばいいので、それが悪いということではありません。でも、その中間(?)に存在する町場の“ふつうに美味しい”店がいかに楽しく、居心地がいいことか。かつては、こうした店が日常に当たり前にあったのですが、二極化が進むとともに少なくなっています。蕎麦や鮨の世界もそうですね。「町蕎麦」「町鮨」の楽しさをぜひ味わってみてください。

dancyu編集長 植野広生
dancyu2022年12月号
dancyu2022年12月号
特集:おいしいアウトドア
A4変型判(136頁)
2022年11月5日発売/900円(税込)

写真:安彦幸枝