松尾貴史のカレードスコープ
大阪・北新地にある感動のカレーうどん|松尾貴史のカレードスコープ㉞

大阪・北新地にある感動のカレーうどん|松尾貴史のカレードスコープ㉞

行きつけのカレー店が多い松尾貴史さんですが、大阪・北新地で飲み歩くときは、必ずここで締めるという店があるといいます。松尾さんが感動し、虜になったその味とは――。

出汁とスパイスの秀逸なハーモニー

大阪の北新地で飲む時には、ゴールから逆算して飲み屋を決めることが多い。そして、そのゴールとは、カレーうどんが名物のひとつになっているとある店なのだ。
初めてここで深夜にカレーうどんを食べた時の感動は忘れられない。カレーのスパイシーさが絶妙なだけではなく、出汁の旨さが出色で、できるならば出汁だけでも持ち帰りたいほどの素晴らしさなのだ。
そこに、青ネギや薄揚げの刻みが馴染んでいる。味が染みていることを関西弁で「しゅんでる」と言うけれど、その塩梅がありがたい。薄揚げがカレー出汁を纏って啜り込まれた時の幸福感。ここのカレーうどんを食べてからは、「刻み薄揚げの入っていないカレーうどんなんて」という心境になってしまっている。うどんの麺は太さもコシも丁度良く、どんぶりの中で全員野球が行われている感じなのだ。

カレーうどん

さらにありがたいのは、夕刻から何と明け方近くまで営業していることだ。早めの時間には、近隣の飲食店の関係者やホステスさんたちが腹ごしらえにする定番の店でもあるし、深夜には営業を終えたクラブなどからホステスさんらを伴って酔客が押し寄せる。
「押し寄せる」とは言い過ぎかもしれないが、例えば深夜2時頃に来たとしても数人の先客が入り口前の廊下で待っている、などということは日常的な光景だ。
もちろん、一般的な「時分時」も絶品おでんを「アテ」に飲んでいる人も多く、つまりは、いつも賑わっている。
ここで最後に美味いカレーうどんを手繰るという目論見がある事で、夕刻から常時うきうきできるのだ。

店舗情報店舗情報

香川
  • 【住所】大阪府大阪市北区曽根崎新地1‐5‐25
  • 【電話番号】06‐6345‐0228
  • 【営業時間】17:00~翌4:00
  • 【定休日】日曜
  • 【アクセス】JR東西線「北新地駅」より2分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』、『ニッポンの違和感』(毎日新聞出版社)等がある。