山の音
世界がもし関西弁で喋り出したら。
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世界がもし関西弁で喋り出したら。

時の総理大臣が関西弁で答弁したら、どんな感じかな。説得力は増すのかな。信用度や好感度はどうだろう。いまより上がったりして。うーん、笑えないな。人を見た目で判断するなとは言うけれど、人を方言で判断するのはあり?なし?

桂米朝のような上品な上方言葉であろうかと想像してしまうのだが

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安井仲治の写真は関西弁なのか?森山大道の写真は大阪弁なのか?米田知子は?澤田知子は?川内倫子は?
安井仲治は戦前の大阪のブルジョアの出身なので、もちろん実際の声を聴くことはできないが、桂米朝のような上品な上方言葉であろうかと想像してしまうのだが、どうでしょう?
実際の森山さんはいわゆる大阪の言葉ではないけれど、作品は、なんというか速射砲のようなストリート系の関西の言葉と相通ずるものがあるような気がします。
ふたりの知子さんは、ちょっと英語が入っている感じかな。倫子さんはゆったりとした大阪弁で、少しハイキー。
梅佳代は関西弁の影響の少し入った北陸、日本海のフレーバーがありますね。あっ、いちばん関西弁っぽいのは森村泰昌、かも。森村さんの語り口は、めちゃセンスの良い、しかしギャグ好きの大人の関西人、という感じがします。
いや、写真と実際の言葉を意図的にごちゃ混ぜににして好き勝手なこと書いて、みなさん、ほんとスミマセン。

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「くるり電波」っていうNHK FMの番組がありましたが

村上春樹は芦屋の出身ですね。しかし、村上さんはもちろん関西弁で小説は書かないですよね。京都大学とか関西学院にいっているワタナベトオルが関西弁で「やれやれ」とつぶやいているのはちょっと想像できません。

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2019年に亡くなった橋本治がもし関西人だったら、どんな著作を残してくれたのか、ちょっとだけドキドキします。学生のときに読んだ「S&G(サイモン&ガーファンクル)グレイテスト・ヒッツ+1」という橋本さんの短編集に大阪の少年が主人公の話があって、泣き笑いしながら読んだ記憶があったなあ。探して再読してみようかな。たこ焼きと帝塚山女子大の描写が絶妙だった気がします。まあ東京生まれじゃない橋本さんって、あり得ないわけですが。
柴崎友香の小説の登場人物はリアルないまの関西の言葉で会話していますね。ボクにとって柴崎さんの作品は、もし自分が関西の学校に進学していたら、ひょっとしてこうなっていたのかも、というパラレルワールドを感じる不思議な世界です。
くるりの歌詞は関西弁ではないけれど、音はやっぱり京都を感じます。音、というよりもアティテュードか。「くるり電波」っていうNHK FMの番組がありましたが、復活して欲しいなあ。岸田くんが低音の京都弁で、異国の聴いたことのない名前の音楽家たちを紹介するのが心地良い番組でした。
あー、こんなことを書いていたら新梅田食道街の2階の「サンボア」でハイボール飲んで、1階の「たこ梅」でおでん食べたくなって来たなあ。ほな、また!

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――9月25日につづく。

文・写真:大森克己

大森 克己

大森 克己 (写真家)

1963年、兵庫県神戸市生まれ。1994年『GOOD TRIPS,BAD TRIPS』で第3回写真新世紀優秀賞を受賞。近年は個展「sounds and things」(MEM/2014)、「when the memory leaves you」(MEM/2015)。「山の音」(テラススクエア/2018)を開催。東京都写真美術館「路上から世界を変えていく」(2013)、チューリッヒのMuseum Rietberg『GARDENS OF THE WORLD 』(2016)などのグループ展に参加。主な作品集に『サルサ・ガムテープ』(リトルモア)、『サナヨラ』(愛育社)、『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)など。YUKI『まばたき』、サニーデイ・サービス『the CITY』などのジャケット写真や『BRUTUS』『SWITCH』などのエディトリアルでも多くの撮影を行っている。