
代官山の人気イタリアン「TACUBO」の姉妹店として、テイクアウト用ドルチェを取り扱うパティスリー「DOLCE TACUBO」。レストランのコースメニューでも提供されるフィナンシェをはじめ、カヌレやサブレなど、シンプルな伝統菓子でありながら、レストランならではの創意と閃きをちりばめた自慢の焼き菓子がdancyu祭に登場します!
「DOLCE TACUBO」の誕生は2021年12月。薪焼きの肉料理が評判のイタリアン「TACUBO」の田窪大祐シェフが手がけるスイーツ専門店とあって、オープンのニュースに胸躍らせたスイーツ好きも多かったはず。店内に並ぶのは、レストランと同質の原材料と手法でつくられる焼き菓子がメイン。世界中から選び抜いた素材を用い、コース料理のレシピをねるのと同じ丁寧さで一品一品のドルチェを設計する。食べ頃のベストタイムから逆算して焼き上がりを調整するなど、提供方法にまで配慮する細やかさもレストランスイーツならでは。
初出店となる今回のdancyu祭では、焼き菓子の王道ともいえるフィナンシェ、カヌレ、サブレの三種類を販売。レストランのコースでも提供されるプレーンなフィナンシェのほか、季節限定の桜フィナンシェの登場も楽しみだ。
「味わいの表現として、いちばん大事にしているのが食感です」と話すのは、シェフパティシエの佐藤凪沙さん。その言葉を証明するがごとく、「食感と風味を味わう焦がしフィナンシェ」を名乗るシグネチャーのフィナンシェは、発酵バターを限界まで焦がしてカリッとした表面の歯ざわりと香ばしさを追求。桜の開花シーズンに合わせて4月限定で販売される「桜フィナンシェ」では、焦がしバターに桜の葉の塩漬けを浸し、茶葉を抽出する手法で桜のフレーバーを香りづけ。ほんのりビターな生地の香ばしさに、桜餅のような甘い香りがふわりと寄り添い、口の中に広がる。
「カヌレ」もまた、外はパリッと、中はもっちりと弾力のある食感のコントラストが最大の魅力。メリハリに富む歯ざわりは、銅型に蜜蝋を塗って焼く伝統製法によって備わるもの。ラム酒の香りをきかせ、上品な大人好みの味わいに仕上げている。
6タイプのフレーバーを詰め合わせたサブレは、焼き締めたような硬めの食感がポイント。チーズやカカオニブ、ナッツ、ジャスミン茶、塩などの食材に、カルダモンや黒胡椒、中東の“デュカ”、台湾の希少なスパイス“マーガオ”など、香りの個性が強いスパイスを絶妙に掛け合わせた通好みのテイストだ。甘味は控えめ、ほどよい塩味のアクセントもあり、デザートというよりお酒と一緒につまみたくなる。
文:堀越典子 撮影:海老原俊之