浅草・とうきょうスカイツリーと東武日光・鬼怒川温泉をつなぐ東武鉄道の「スペーシア X」は、その上質な移動時間と空間が評判の新型特急だ。特に注目なのが車内にあるカフェカウンター「GOEN CAFÉ SPACIA X」で提供される、ここでしか味わえない美味だ。dancyu祭2024では「GOEN CAFÉ SPACIA X」で人気のクラフトビールの試飲とコーヒー、スイーツを販売。ぜひその美味しさをご体験あれ!
観光や宿泊だけでなく、移動時間までもが旅の目的となる。そんな魅力的な交通手段が、都心と日光エリアを結ぶ新型特急「スペーシア X」だ。昨年7月に登場して以来、栃木に伝わる鹿沼組子や竹編み細工といった伝統工芸を思わせる車両デザインや、個室やソファ席、ラウンジタイプなど6種類の多様な空間が注目を集めている。何より特筆すべきは、そんな上質な時間をより充実させてくれる“食”である。なんと1号車「コックピットラウンジ」には、カフェカウンター「GOEN CAFÉ SPACIA X」が設置されており、「乗車した瞬間から日光を感じられる」と大好評のオリジナルメニューが揃っているのだ。
オリジナルメニューを開発・プロデュースしたのは、全国各地で食を切り口とした場づくりやプロジェクトを数多く手がけている「good mornings」の水代 優さん。担当することが決まってからの3年は足繁く日光に通い、ランニングをしたり、食べ歩きをしたりと、日光の魅力を探求し続けてきたという。
「日光を歩いていると、どこもかしこも美しい水の気配が感じられるんです。そんな水のある景色や、水がもたらす飲みものも印象的。また、大使館や別荘が集まり、洋食文化が栄えたように、古くから和魂洋才の文化が根付いているんですね。まずはその豊かな自然と文化を受け継ぐこと、そして未来を担う地元企業との協業によってこれからの日光を表現することを、商品開発のコンセプトとしています」と水代さん。
「GOEN CAFÉ SPACIA X」の看板メニューは、「Nikko Brewing」が醸造する「NIKKO LAGER」と、「日光珈琲」がブレンドした豆を挽き立てで淹れたコーヒー。どちらも車窓からの景色を主役とするような、主張しすぎない味わいを目指している。水代さん曰く、「今のトレンドは“華やかさ”といえます。たとえば、ホップの豊かな香りやジューシーさをうたうクラフトビールや、シングルオリジンの豆を使った浅煎りのコーヒーのように。だけど浅草・とうきょうスカイツリーと東武日光・鬼怒川温泉を結ぶ「スペーシア X」には、水墨画のような引き算の佇まいが似合うと思うんです。派手さよりも、“調和”とか“長く愛される”ということを大切にしたくて」。
そこでビールは「Less is More(少ないほど豊か)」という考え方に基づき、ドライホップという革新的な製法でつくられるイタリアンピルスナーを採用。喉越しがよく飽きのこない味わいを実現した。そしてコーヒーは、リラックスできて旅の余韻さえも感じられるようなブレンドを開発した。「ちゃんと苦味があってすっきりとした味わい」だと老若男女に好評だとか。また、ここでしか食べられない人気スイーツやスナック類とのマリアージュも要チェック。「伊澤いちご園」のいちごを使ったジェラートなど、どれも沿線の事業者と共同開発したものばかりだ。
「一緒にものづくりをする事業者は、フレンチレストランや和菓子屋など、地元の人に愛されているお店やメーカーをひたすら探しました。日光の清流で丁寧に飼育された『頂鱒』を使ったアペタイザーや、『あさのポーク』を使ったジャーキーは、日光のフレンチレストラン『ジルエット』のシェフと一緒に開発しました。参道にある『ザ スタンダードベイカーズ』が手がけた、下野市吉田地域の風味が強い玉ねぎを使ったオニオンコンソメラスクも大人気です。また、渡邊佐平商店の純米吟醸酒『日光誉』や片山酒造の純米吟醸酒『日光路』、三ツ山羊羹本舗の一口羊羹などは、スペーシア Xの限定パッケージで登場しています」。
車両のインテリアにも採用されている江戸の色彩を取り入れたパッケージにもぜひご注目を。メインディッシュは旅先で楽しんでほしいという想いから、車内では小腹を満たすものだけに絞っているところも気が利いている。どれも丁寧に作っているがゆえに大量生産ができず、すぐに売り切れてしまうとか。カフェはコックピットラウンジの乗客が優先的に利用できるが、2~6号車に乗車の場合は、当日にオンライン整理券を取得する必要があるのでご注意を。なお、3月16日以降は6号車も優先的に利用できる。カフェの利用方法については、特設サイトを乗車前に必ず確認してほしい。
dancyu祭では、車内でしか味わえないビールの試飲と、コーヒー、いちごのスイーツを販売予定だ。浅草から日光までの約2時間を、最大限に楽しむための“おいしい移動空間”。ぜひそのエッセンスを会場でご体験あれ!
文:藤井志織 写真:赤澤昂宥