病気の子供を看病するために家族が宿泊するための施設があります。自炊設備などもあるのですが、看病に疲れて施設に戻ると満足に食事を摂らない方が多いと聞きました。食いしん坊倶楽部では、家族の方々に食事を提供するボランティア活動「ミールプログラム」を実施することにしました。
ドナルド・マクドナルド・ハウスという宿泊施設が全国12カ所にあります。それぞれ難病の子供などが入通院する病院の近くにあり、子供の看病をする家族が宿泊するための施設です。公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営するもので、日本だけでなく世界約380カ所にあります。
この活動を知り、財団の方に話を伺ったところ、こんなことを言っていました。
「それぞれのハウスにはみなさんが自炊できるキッチンもあるのですが、きちんと食事を摂らない方が多いのです。面会時間ぎりぎりまで病院で子供を看病していて、ハウスに戻るとすぐ洗濯したりと、忙しいし疲れているからです。また、子供が病気と闘っているのに自分だけ美味しいものを食べることに抵抗がある方もいます」
各地のハウスでは、多くのボランティアスタッフが24時間体制で運営に協力しているほか、企業や有志のグループが、ハウスに滞在する家族に食事を提供するボランティア活動「ミールプログラム」を実施しています。ハウスのキッチンでお弁当などをつくって置いておき、利用者はハウスに戻っきてからそれを食べることが多いとも。
そこで、「食で世の中を笑顔にする」を目指す食いしん坊倶楽部も何か少しでも協力したいと考え、東京・千歳船橋にある「せたがやハウス」で、「ミールプログラム」を実施することにしました。
2023年7月には1回目として清澄白河の中国料理「O2(オーツー)」の大津光太郎シェフや店のスタッフに参加してもらい、「焼売」や「カヌレ」といった店の定番メニューに加えて、「太刀魚のフライ 酸菜タルタルソース」、そして店では出していない「魯肉飯(ルーローハン)」などが詰まったスペシャル弁当をつくってもらいました。
2回目は10月に自由が丘のイタリアン「mondo(モンド)」の宮木康彦シェフと、モンド姉妹店「falò」スタッフにお願いし、「イワシのパン粉焼き」「ポルケッタ(しっとりとした骨なしローストポーク)」「カルピオーネ(魚の甘酢マリネ)」など9種の惣菜が詰まったmondo特製イタリアン弁当をつくってもらいました。
ハウス利用者の方々には、ダイニングフロアで作りたての温かい料理を食べていただきました。第2回実施の「mondo」特製イタリアン弁当を食事された方より、以下のような声が聞けました。
「美味しい食事ありがとうございました。付き添い生活では、魚料理を食べるタイミングがあまりないので、お魚がすごく嬉しかったです。今はとりあえず食べておこうという感じで食事を適当にすませているので、素敵な食事に感激でした。明日からも頑張れます。ありがとうございました。」
「今日は幸せなひと時…そして美味しいお料理をありがとうございました。ご馳走様でした。他のママたちもそうだと思いますが、付き添い生活になると食事も偏ってしまったり、自分のことが後回しになりがちな毎日で…。 なので今日は朝からすごく楽しみで、ミールのために1日頑張りました! お料理一つ一つがとても美味しく、幸せな気持ちになりました!贅沢な時間をありがとうございました。温かくて美味しいご飯が身に沁みて…明日からも入院生活頑張れそうです! 改めて、たくさんの方々に支えられて毎日頑張れていることを実感します。 本当にありがとうございました!ご馳走様でした。美味しかったです。」
「ミネストローネとお魚のパン粉焼きがとっても美味しかったです。 ミネストローネの具材が同じサイズに切ってあって口の中で次々色々な味がしてすごく美味しかったです。英語のパスタも可愛かったです。 初めてマクドナルドハウスを利用させていただき、子供の付き添いで疲れた心と体に温かいお料理がとても嬉しく笑顔になれました。 ありがとうございました。」
「昨日はごちそうさまでした!! どれも美味しかったのですが、たまご、野菜グリル、鶏肉、スープ、オリーブがとっても美味しかったです!!聞いたことがない料理名ばかりで、メニューを何度も見ながら主人と楽しい一時を過ごすことができました。今は辛い時期ですが、そんな気持ちを忘れさせてくれる美味しいディナーでした。感謝の気持ちでいっぱいです。 ありがとうございました!!」
さらに、調理をお願いした「O2」「mondo」のみなさんも、「店ではわからない貴重な体験ができて、とてもよかった」と言ってくださいました。
少しでもみなさんが笑顔になれるように、今後も、定期的に食事の提供に伺いたいと思っています。
全国のドナルド・マクドナルド・ハウスではミールボランティアのほか、施設の運営などにあたるボランティアスタッフを募集しています。
ご興味のある方はそれぞれのハウスにお問い合わせください。
(ハウスの状況によってはご希望通りの受け入れができない場合もあります)
dancyu食いしん坊倶楽部部長 植野広生
公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン
お問い合わせ窓口撮影:赤澤昂宥 文:植野広生