日本酒特集連動のリアル&オンライン・イベントを開催しました!新しい日本酒の楽しみ方に目覚めるdancyu Live!と、盛り上がったリアル会場の様子をお届けします。プロのコツが満載の配信は、dancyuのYouTubeチャンネルのアーカイブをご覧ください!
日本酒を水で割ってなじませてから燗つけして飲む、“割り水燗”。この飲み方は昔から行われてきたものですが、広く一般的に知られるものではなかったかもしれません。
そんな割り水燗を通して、燗酒の新たな楽しさと可能性を紹介しよう!というのが、dancyu3月号「日本酒」特集掲載の「GROOVY!割り水燗のススメ」。燗酒&DJイベントをオーガナイズする「ONDO」の面々と、割り水燗のつくり方から楽しみ方まで、誌上にて再現したこの記事と連動したリアル&オンライン・イベント、「dancyu LIVE“FEST!”『GROOVY!割り水燗のススメ』」が、2月16日(木)に開催されました。
下北沢にあるクラブ「メンフィス兄弟」にて開催されたこのイベント。当日は、日本酒好きの食いしん坊倶楽部部員のみなさん15名にお集まりいただき、割り水燗を深く知るセミナーと、音楽との相性の良さを体感してもらうクラブイベントの二本立てで行われました。
第一部はリアル&オンライン企画として、吉祥寺「にほん酒や」店主の高谷謙一さんと、富ケ谷「sakeria酒坊主」店主の前田朋さんによる割り水燗セミナーを展開。そもそも割り水燗とはなんぞやという説明から、二人が割り水燗の魅力を再発見したいきさつ、割り水燗ならではの利点や楽しさなどを、割り水酒をつくる工程の実演も交えて解説していきます。
割り水に適しているのは、若い酒や淡麗な飲み口のものより、造りのしっかりとした酒や熟成酒などが合うとのこと。加水することでアルコール度数は下がるけれど、本来の酒が持つ骨格が浮かび上がってくるのも、割り水酒ならではの面白さといえるでしょう。また、割り水してから数日~数ヶ月おいたほうが、味が馴染んでさらに美味しくなるとのアドバイスも。
中でも、高谷さんと前田さんが「割り水燗の一番の魅力」として語ってくれたのが、「程よい酔いが持続する」ということ。通常の日本酒のアルコール度数は15度前後のものが多いけれど、割り水して12~13度に下げることで、普通の燗酒よりもスルスルと盃を重ねられて、飲み疲れもしない。また度数が低いので、じわじわと酔っていき、その気持ちよさが長く持続する、というのが割り水燗ならではの特徴だと解説。
このゆっくりと長く酔える気持ちよさは、たとえばクラブ・イベントなどで、音楽に身を委ねてゆらゆら揺れながら気持ちよくなっていく感覚と、とても親和性が高い。これは食中酒として味わうことを前提とした日本酒の飲み方とはまったく別の楽しみであるというのが、目からウロコな発見でした。
オンライン視聴者からの質問への回答なども交えつつ、割り水燗についてのセミナーは1時間ほどで終了。ここからは、第二部として、実際に割り水燗と音楽との相性のよさを体感してもらうべく、会場限定で本気のクラブイベントを開催!
高谷さん、前田さんが用意した割り水酒は、銘柄や割り水してから寝かせた期間が異なる8本がカウンターにズラリと並びます。また、、高谷さんによる「牡蠣の旨煮」と、前田さんによる「黒豆と苺のフムス」をはじめ、割り水燗に合う酒肴も数種用意。それまで椅子に座ってセミナーを聞いているだけだった食いしん坊倶楽部部員のみなさんも、待ってましたとばかりに次々とグラスを空けていきます(みなさん、さすがによく飲む!)。
一方、DJブースにはヒップホップバンド=skillkillsのメンバーとしても活躍し、GOTCH(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、DAOKO、Campanellaらへの楽曲提供でも話題を集めるミュージシャンGuruConnectさんと、吉祥寺「大槻」店主の大槻俊也さんが入り、割り水燗に合う音楽をセレクト。GuruConnectさんが、本誌読者特典として選曲したプレイリストで聴けたようなエレクトロなダンス・ミュージックから、ゆったりと聴けるシティポップまで様々なジャンルが流れる中、程よい酔い加減のみなさんの身体も自然と揺れていきます。
参加したみなさんからは、「あまりお酒は強くなく、日本酒もたくさんは飲めないけれど、この割り水燗だとスイスイ飲めちゃう!」、「ベースになる銘柄も飲んだことはあるんですが、割り水燗になると印象が変わってくるのが面白い」、「こういう音楽イベントで、温かいお酒が飲めるのはとてもいい。それにアルコールも強くないから、いいペースで飲めますよね」と、割り水燗を初体験しての喜びと驚きのコメントが飛び交いました。
予定時間を大幅に延長して開催された、「dancyu LIVE“FEST!”『GROOVY!割り水燗のススメ』」。その充実ぶりは、参加した方々の笑顔が物語ってくれることでしょう。またの開催をお楽しみに!
撮影:熊谷直子 文:宮内 健