8月に開催したdancyu Live!キッチンは、dancyu 8月号「スパイスとカレー。2021」と連動して、エリックサウスの総料理長の稲田俊輔さんに、巻頭企画で紹介した“本格レンチンカレー”のつくり方を教わりました!
第6回「dancyu Live!キッチン」の講師としてお招きしたのは、エリックサウスの総料理長・稲田俊輔さん。家庭でもチャレンジしやすいカレーのレシピを数多く提案している。
そんな稲田さんが今回教えてくれたのは、dancyu8月号「スパイスとカレー。2021」の巻頭企画“本格レンチンカレー” で紹介した“ケララチキンカレー”と、フライパンでささっとつくれる“海老カレー(チェミーンモーレー)”。海老カレーは、dancyu Live!キッチンのために考えた新作とのこと。期待が高まります。
それでは早速、ケララチキンカレーからご紹介! 玉ねぎを縦半分に切り、繊維に垂直に薄くスライスしていく“ケララ切り”から実演していただきました。ちなみに、この切り方は南インドで広く採用されている切り方で、日本ではこれを表す切り方の名前がないため、南インドのケララ地方にちなんだ呼び方なのだそう。文字から得た情報だと、少しイメージするのに時間がかかるケララ切りも、配信で実演を見るとカンタン! あっという間に切り終わってしまいます。
さらに、材料に含まれているスパイス“ガラムマサラ”のお店での選び方も伝授。「ガラムマサラとはミックスしたスパイスの総称で、メーカーによって含まれるスパイスの種類も、配合もさまざま。どれにしよう、と迷ったら、成分表を見てチリ(唐辛子)が入っていないガラムマサラを選ぶといいですよ」と、稲田さん。
材料をレンジで温めている間に、食いしん坊からの質問にも答えていただきました。そもそも、「自分が面倒くさがりやなので、なるべく簡単にカレーをつくれるようにしたい」という理由から、レンジで美味しくカレーをつくれるレシピを考え始めたという稲田さん。
「カレーとは、煮るものではなく、炒める料理。火で炒め、100℃以上に加熱することによりスパイスの香りが開きます。ところが、レンジは100℃までしかあがらない。水分を少なくして温度を上がりやすくし、スパイスの香りを出しながら加熱していくことが、このレンチンレシピのポイント」だそうで、そのために、工程でも水分の少ない具材から順にレンジで温めていくのだといいます。
「なぜレンジでつくるのがおすすめかというと、開いた時間にもう一品つくれるから。アチャールなどの副菜や、今回紹介する海老カレーのようにさっとつくれるカレーをつくってもいい。カレーは副菜が多い方が楽しい食べ物なので、電子レンジに任せて掘っておいている間に、もう一品つくってほしいなと思っています」と稲田さんは言います。
質問に答えたり、レシピを考えた背景を聞いたりしているうちに、あっという間にカレーが完成!海老カレーも、材料を切ったあとは、ざざっと炒めるだけで出来上がりです。
さて、植野部長、お味は?「煮込まず、短時間でつくるからこそのフレッシュさがあって本当に美味しい。スパイスのフレッシュな香りを感じられます。あと、パクチーもレンジで一緒に温めることによって旨味が増すことは発見でした」。
それでは、植野食いしん坊倶楽部部長が試食しているあいだに、稲田さんにもう少し質問してみましょう。今回のdancyu Live!キッチンでは、初の試みとしてリアルタイムのチャットに加え、事前に募集した質問もご紹介しました。
そのなかのひとつ「スパイスを色々入れても、ヨーグルトを加えても、どうにもコクが足りないと感じます。どうしたらいいのでしょうか」という質問には、
「油が少ないか、カレーの水分が多いことが原因と考えられます。健康のために油を控えたりする方も多いけれど、油をしっかり加えて火を通すことで、スパイスの香りや具材の旨味が引き出されます。また、水分をしっかりと飛ばしながらつくると、コクが出ますよ」との回答。稲田さんの答えは、ひとつひとつが明解で論理的です。
あっという間に完成する、“レンチン・ケララカレー”と“海老カレー”。アーカイブ配信もご覧いただけますので、ぜひ、皆さんも稲田さんの実演をみながらチャレンジしてみてください!
次回、第7回目「dancyu Live!キッチン」は、9月25日(土)14時から、dancyuムック「肉焼き上手になる」より「レストラン ラフィナージュ」の高良康之シェフに、肉焼き上手になるコツを教えていただきます!ぜひご参加ください!
文:吉田彩乃 撮影:佐藤侑治