第5回「dancyu Live!キッチン」の会場となったのは、神奈川県葉山にある鉄の調理器具専門店「クック&ダイン ハヤマ」の店先。雲ひとつない青空の下、鉄鍋伝道師としても知られる店主・山口壮一さんが、ライブ配信ならではの熱気が伝わるアウトドア料理を披露してくれました。
「dancyu Live! キッチン」は、食いしん坊倶楽部に入部したメンバーなら無料で参加できるライブ配信イベントです。今回は、dancyuムック“アウトドアクッキング 外でもおいしく!”より、「クック&ダイン ハヤマ」の店主店主・山口壮一さんに、アウトドア料理を教えていただきました。
まず手がけたのは、蓋付きの鉄鍋ダッチオーブンでつくるローストビーフです。
「この方法なら、絶対に失敗しません!」
そう胸を張って教えてくれた方法は、煙が上がるまでがんがんに熱したダッチオーブンでももの塊肉の表面だけをさっと焼くだけ。あとはダッチオーブンごと毛布にくるんで、余熱で肉に火を入れるというもの。これにはdancyu編集長・植野も「赤身肉は火入れが難しいものだけれど、これなら簡単!」と感心しきり。
出来上がりを待つ間に、山口さんは2品目のベーコンづくりに取りかかりました。あらかじめ塩、胡椒をふっておいた豚バラの塊肉を、ヒッコリーを仕込んだスモーカーに入れたら、あとは火にかけるだけ。
「燻製は煙をもうもう上げながら加熱するイメージがありますけど、それでは火が強すぎます。ほら、このくらい煙がゆらゆら上がるくらいの火加減で、ゆっくり火入れをします」
と山口さん。煙の上がり具合のように、リアルにその様子を見てみないことには捉えづらい工程をじっくり観察できるのは、動画ならではの魅力です。
2つの肉料理を火入れしている間に、もう一品。鉄製のフライパンでじゃがいもたっぷりの卵料理、トルテージャ(スペインオムレツ)をつくります。
「鉄のフライパンはしっかり熱してから食材を入れてください。熱が足りないと食材がフライパンにくっついてしまいますからね。煙がふわっと立ち上がったらじゃがいもを炒め始めます」
「卵を加えてすぐに混ぜるとフライパンにくっついてしまうから15秒ほど待って。周りがちょっと固まってから卵を少しずつ崩してゆくといい具合に仕上がりますよ」
など、鉄製フライパンの扱い方も含めて説明してくれる山口さんは頼もしい限り。さすが鉄鍋伝道師!
リアルタイムに視聴者からの質問や感想が届き、その場で受け答えできるのもライブ配信ならでは。
「鉄鍋の扱い、知らないことだらけ!」という視聴者からのコメントを受けて、山口さんはダッチオーブンや鉄製フライパンの育て方、火入れ法、洗い方までも丁寧に伝授。
そんなこんな話をしているうちに出来上がったローストビーフは、切り分けると目にも鮮やかなロゼ色で、瑞々しいほどにしっとり。出来立ての温かいベーコンは香ばしさとじゅわりと滲み出る脂の旨さがたまらない一品に。トルテージャはねっちりとしたじゃがいもとふわっとかたまった卵のコントラストが絶妙な仕上がりに。それぞれのおいしさに納得する植野編集長の満足顔で締めくくられたオンラインイベントでした。
次回、第6回目「dancyu Live!キッチン」は、dancyu8月号「スパイスとカレー」特集に登場したエリックサウスの総料理長、稲田俊輔さんによる衝撃的な本格レンチンカレーのつくり方をライブ配信します。日時は8月21日(土)15時より。ふるってご参加ください!
文:安井洋子 写真:加瀬健太郎