
この時季に出回る新ごぼう、そして煮穴子を使ったなんともモダンなご馳走ちらし!休日のランチにパスタをつくるような手軽さで、ちらし寿司をもっと身近に、もっと楽しく味わおうというこの連載。第10回は「煮穴子と新ごぼうの素揚げのちらし寿司」を、マイマイ先生こと料理家の真藤舞衣子さんに教わりました。
春から初夏にかけて多く出回るのが、新ごぼう。ごぼうが成長する前に収穫されたもので、普通のごぼうよりも柔らかく若々しい香りが特徴です。いいなあ、新ごぼう。ジメジメした気候がしばらく続くシーズン、生命力を感じる野菜を摂って元気に過ごしたいもの。マイマイ先生、新ごぼうはどんな食べ方がお薦めですか?
「新ごぼうを素揚げにすると、シャクシャクした食感がとてもいいんです。これだけでも酒のつまみになっちゃうけど、煮穴子と一緒にちらし寿司にすると、これがもてなし料理にピッタリ!とくに今の時季の穴子は“梅雨穴子”などと呼ばれ、脂が少なく淡泊な味わいです。ここに、これもまた旬の実山椒の塩漬けを加えて、ご馳走の一品に仕立てます」(真藤さん)
たしかに穴子とごぼうって相性いいけれど、それを一緒に煮しめたりするのではなく“フライドごぼう”にして添えるってのがまた洒落ている。さらに実山椒の塩漬けも加わって、旬をまるごと味わうちらし寿司になりそう!
「煮穴子は市販のものでOK。だけど、自分でも煮穴子からつくりたいという方のために、レシピを最後に紹介しておきますね!」(真藤さん)
| 煮穴子 | 1本(市販のものでOK) |
|---|---|
| 新ごぼう | 1/4本 |
| 実山椒の塩漬け | 大さじ1 |
| 酢 | 小さじ1 |
| 水 | 500ml |
| 油 | 適量 |
| ★ 寿司飯用 | |
| ・ 米 | 1合 |
| ・ 昆布 | 5g(乾燥) |
| ・ 水 | 180ml(米と同量が目安) |
| A | (*1) |
| ├ 赤酢 | 大さじ1.5 |
| └ 塩 | 小さじ1(*2) |
*1 Aはよく混ぜておく。
*2 天然塩は小さじ1、食塩は塩味が強いので半分の量から調整するとよい。
水、昆布を入れて1時間ほど吸水させた米を炊く。
深めの大皿や大きめのボウルに炊き上がったご飯を移す。手巻き寿司酢をご飯にまんべんなくかけて、団扇などで軽く扇ぎながらしゃもじで切るようにご飯をほぐしていく。粘りが出てしまうので、混ぜ返さないようにするのがポイント。湯気が落ち着いたら扇ぐのを止める。
*寿司飯についてさらに詳しい解説は、こちらをチェック
新ごぼうはピーラーや包丁でささがきにして、酢水に晒す。2分ほど経ったらザルにあげ、さらにキッチンペーパーなどで水気をよくきる。
鍋に油を熱し、170℃で4〜5分素揚げする。泡が少なくなり表面がキツネ色になったら取り出して油をきる。

煮穴子はやや大きめの一口大に切る。実山椒は粗く刻んでおく。
寿司飯を皿に広げて、煮穴子、新ごぼうの素揚げをのせる。穴子は少し重なるように置くと身の厚みが際立つ。最後に実山椒を散らす。


煮穴子はやや大きめに切ることで、ふっくらした身の食感と甘辛いたれの旨味をしっかりと楽しめる。シャクシャクした食感の新ごぼうは、油で揚げることで風味が一段上がる。赤酢を纏った寿司飯が、穴子はもちろん、新ごぼうとバッチリ合うのだ。噛むほどに重層的な味わいが口の中で躍り、そこに実山椒の心地よい痺れと香りが弾ける。テイストはリッチでいて、後味は爽やか。このちらし寿司なら果実味のあるヘイジーIPAのクラフトビールや、中重口ぐらいの赤ワインなんかも合いそうだ。
思いっきり和の食材だけで構成されるのに、なんともモダンな印象を残す「煮穴子と新ごぼうの素揚げのちらし寿司」。友人を招いてゆったりと飲んで語らう。そんなひと時にこのちらし寿司があったら、とっても豊かな気持ちになるでしょう。
「自分で煮穴子をつくれば、さらに素材の旨さが生きた仕上がりになりますよ!コテコテし過ぎない味付けで、ふっくらした身のやさしい風味を楽しめるのは手づくりの煮穴子ならでは。コトコト煮込むだけの簡単レシピなので、時間がある時にぜひトライしてみてくださいね」(真藤さん)
| 穴子 | 2尾(下処理済みのもの) |
|---|---|
| A | |
| ├ きび砂糖 | 大さじ1 |
| ├ 酒 | 100ml |
| ├ みりん | 100ml |
| ├ 醤油 | 50ml |
| └ 水 | 100ml |
穴子は鍋に入るように、半分の長さに切る。
鍋にAを入れて火にかける。沸騰したら穴子を加えて落とし蓋をして、弱火で30分ほどコトコトと煮る。


東京生まれ。会社勤務を経て、京都の大徳寺塔頭(たっちゅう)にて1年間生活。フランスに料理留学後、発酵研究家、料理家の活動を開始。雑誌や書籍、料理教室、講演など多方面で活躍。近著に『サバの味噌煮はワインがすすむ』(小泉武夫氏と共著、日経BP)、『つくりおき発酵料理のアレンジごはん』(主婦と生活社)がある。
文:宮内 健 写真:伊藤徹也