料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は“もやし”。すぐに鮮度が落ちるこの野菜、“フードロサない”方法を教えます!
この夏は猛暑や台風などで、野菜もコメも高騰続き!そんなときも、我らが“もやし”の安定感といったらない。どんな食材とも相性がよくて、シャキシャキとした食感も推せるポイント。
しかし!唯一のウィークポイントは鮮度が落ちやすいこと。買った日に使わないと、もう翌日には変色していたりするのだ。ハイ、何度もダメにしていることを、ここに懺悔します……。すると、「買ってきたら袋のまま冷蔵庫に入れてるでしょ!」と尾身さん。えっ、普通はそうするのでは……?
「ダメダメ~!買ってきたらすぐに保存容器に移して、水に浸けてから冷蔵庫にしまわないと。もやしって実は、豆から芽を出して成長している途中。だから、水に浸しておかないと、成長しようとするエネルギーで発熱して、傷んでくるんです」
今までこのことを知らなかったなんて、痛恨の極み……!こうすれば、5日程度は鮮度を保てるのだという。ちなみに尾身さんは、テレビの収録や雑誌の撮影などでもやしを使うときも、水に浸したまま現場まで持ち運ぶのだそう。とはいっても、やはり早く食べきるにこしたことはない野菜。というわけで、いつものようにおいしいレシピを教わることに。
「やっぱり定番といえば、ナムルですよね。200g入りの1袋をペロッと食べきれる“もやしの海苔ナムル”をつくってみましょう」
野菜をシンプルに味わえるのがナムルのよさだが、韓国でも「ナムルの味をみれば、嫁の料理の腕がわかる」ということわざがあるくらい、実は力量が問われる料理。だからこそ、ぜひつくってほしいのが、尾身さん流“もやしの海苔ナムル”だ。
「まず、たっぷりの刻んだ長ねぎを油でじっくり炒めると、甘味や香りをつける調味料になって、ゆでたもやしにしっかりからみます。さらに、韓国海苔をたっぷりちぎって和えると、これも調味料になる上に、水分を吸ってくれる役割も。この2つの工夫で、おいしい“もやしの海苔ナムル”ができあがりますよ」
実際にできあがったナムルを食べてみると、水っぽさゼロ。海苔と長ねぎの旨味がシャキシャキのもやしにからんで、トッピングのピーナッツのこうばしさもあとをひく。お酒のつまみにもなるし、副菜にもぴったり。箸が止まらず、なんだか無限に食べられそう……!
「このナムルにすれば、もやし1袋なんてあっという間。足りなくなるのが心配なときは、2袋買ってきてくださいね(笑)」
もやし | 1袋(200g、ひげ根をとる) |
---|---|
長ねぎ | 50g(縦4等分してから小口切り) |
韓国海苔 | 12枚 |
ピーナッツ | 適量(砕く) |
サラダ油 | 大さじ1 |
A | |
・ おろしにんにく | 小さじ1/8 |
・ 塩 | 小さじ1/4 |
・ 白胡椒 | 少々 |
・ ごま油 | 大さじ1/2 |
鍋にたっぷりの湯を沸かして塩少々(分量外)ともやしを加え、再沸騰してから1分ほどゆでる。ザルにあげて水気をきり、人肌程度になるまで冷ます。
フライパンにサラダ油をひいて中火にかけ、長ねぎをくったりするまで炒める。ちょっと色づいてきたら、塩ひとつまみ(分量外)をふって調味し、火を止める。
ボウルに炒めた長ねぎを油ごと入れ、水気をきったもやしを入れて和える。さらに、Aを加えて全体を和える。
韓国海苔をちぎって加え、全体をよく混ぜる。器に盛り、ピーナッツを散らす。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之