北イタリアの家庭料理
牛肉の旨味を堪能するご馳走料理"カルボナーデ"

牛肉の旨味を堪能するご馳走料理"カルボナーデ"

赤ワインや黒ビールを使って、ねっとりと柔らかな食感に仕上げる北西イタリアの牛肉の煮込み料理です。今の時期にぴったりのご馳走料理なのでお試しあれ!乳製品や米、生ハムといった特産品を使ったしっかり旨味のある北イタリアの家庭料理を、料理家の山内千夏さんに習いました。

“カルボナーデ”のつくり方

イタリアで最も小さな州、北西部ヴァッレ・ダオスタのごちそう。牛肉を赤ワインか黒ビールのいずれか、または両方使って煮込む。ゼラチン質を含んだ牛肉はねっとりやわらか。コクのあるソースをたっぷりとからめて召し上がれ。

材料材料 (4人分)

牛肉*1800g(シチュー用角切り)
A
・ 赤ワイン200ml
・ ローズマリー2枝
・ タイム2枝
・ ローリエ2枚
・ 黒粒胡椒5粒
・ クローブ5粒
玉ねぎ2個分(薄切り)
にんにく1片分(みじん切り)
黒ビール250ml
フォン・ド・ヴォー*2100ml
はちみつ大さじ1
小麦粉適量
バター30g(食塩不使用)
植物油少々
適量
胡椒適量
ポレンタ*︎3お好みで

*1:牛肉はカレー、シチュー用のもも肉や肩肉の角切りを使用。すね肉を使う場合はレシピよりも煮込み時間がだいぶ長くなる。

*︎2:フォン・ド・ヴォーは市販のもの(缶詰)を使用。濃縮感がありどっしりとした味に仕上がるが、入手できない場合はチキンスープなどで代用も可。

*︎3:北イタリアで親しまれているポレンタは、鍋に水とポレンタ粉(とうもろこし粉)、塩を入れて火にかけ、もったりとするまで鍋につきっきりで時間をかけて練り上げたもの。煮込みに添えたり、チーズと合わせるなどして楽しむ。

1肉をマリネする

牛肉はAとともにポリ袋に入れ、冷蔵庫で一晩マリネしておく。調理前に肉を取り出し、マリネ液はハーブやスパイス類をこして液体だけにしておく。

肉をマリネする
牛肉はハーブやスパイスと一緒に、赤ワインで一晩マリネ。ポリ袋に入れ、空気を抜くようにして口を縛れば全体がまんべんなくつかる。

2玉ねぎを炒める

厚手の鍋に植物油とバターを入れて弱火にかけ、玉ねぎを入れて軽く色づくまでゆっくりと炒める。

3牛肉に焼き色をつける

牛肉は表面の水分を拭き取り、塩、胡椒をふってから小麦粉をごく薄くはたく。すぐに2の鍋に入れ、火を少し強めて表面に焼き色がつくまで焼く。

4煮込む

3の鍋ににんにくを加えて炒め、1でこしたマリネ液と黒ビールを加えて沸騰させる。はちみつとフォン・ド・ヴォーを加え、水分が足りなければ肉が8分目まで隠れるまで湯を加える。沸いたら弱火にし、肉がやわらかくなるまで1時間~1時間半煮込む。焦げないようにときどき鍋底からかき混ぜる。塩、胡椒で味をととのえ、ポレンタとともに器に盛る。

煮込む
炒めた玉ねぎと、表面を焼いた牛肉を合わせたら、取り置いたマリネ液と黒ビールを注ぐ。煮込む水分はアルコールのみ。
完成

教える人

山内千夏

山内千夏

やまのうち・ちなつ●料理家。製菓メーカーで商品企画に携わった後、イタリアへ料理留学。以降、定期的に現地で家庭料理を学んでいる。湘南の自宅で料理教室を主宰。著書に『トルタ・サラータ イタリア式塩味のタルト』(文化出版局)など。

※この記事の内容は、四季dancyu「冬のレシピ」に掲載したものです。

四季dancyu 冬のレシピ
四季dancyu 冬のレシピ
A4変型判(120頁)
ISBN:9784833480833
2021年12月15日発売/1,100円(税込)

文:鹿野真砂美 撮影:宗田育子

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。