夏を感じる薬味ごはん
ほっこりとろりの新食感"茗荷と実山椒の炊き込みご飯"

ほっこりとろりの新食感"茗荷と実山椒の炊き込みご飯"

夏の香味野菜といえば、茗荷、しそ、生姜。暑さを吹き飛ばす爽快な風味が持ち味の、夏の食卓に欠かせない薬味たちです。その爽快な薬味をつかった、体が欲しがる夏ご飯を紹介します!

お酒の〆にお薦め

雨雲のムコウ側は、いよいよ夏。店先にも夏野菜が並び始めと思ったら、急に勢力を拡大してくるのが薬味三兄弟だ。どれもわさっと袋に入って売られ始め、あっという間に食卓を席巻する。その様子といったら、『三国志』において、桃園で契りを結んだ劉備、関羽、張飛の三兄弟が、三顧の礼で天才軍師・諸葛孔明を迎え、勢いを増していった蜀の国そのもの!? 薬味三兄弟が率いる兵はおいしい米粒たち、そして陰から采配を振るうオイラが孔明……。そんな妄想を膨らませながら、いざ台所に向かうのだ。
まず先陣を務めるのが茗荷。
名馬・赤兎馬を駆る関羽のように、鮮烈な赤が敵陣に奇襲をかける。混ぜご飯やちらし寿司に茗荷を使うのはよくあれど、ここは策を巡らし、意外性ある炊き込みご飯で攻める。米にほのかな茗荷の風味が移って、さっぱりとした味わいだ。生のせん切りをのせて、茗荷の風味を重層的に楽しめる仕掛けもある。こんな一杯が居酒屋の締めに出てきたら最高なんて我ながら思う出来だ。

茗荷と実山椒の炊き込みご飯のつくり方

材料材料 (4人分)

2合
茗荷3個
実山椒の佃煮小さじ2
小さじ2/3

1米を研ぐ

米は研いで、ザルに上げてしっかり水きりする。鍋に入れ、400mlの水を加えて30分ほど浸水させておく。

2茗荷を切る

茗荷は2個を炊き込み用として四つ割りにし、残りの1個はトッピング用にせん切りにする。

茗荷を切る
茗荷を切る

3鍋に茗荷と実山椒を入れる

①の鍋に塩、茗荷、実山椒の佃煮を入れる。

鍋に茗荷と実山椒を入れる

4ご飯を炊く

鍋を中火にかけ、沸騰したら弱火にして10分ほど炊き、火を止める。10~15分蒸したら出来上がり。鍋ご飯は、鍋の種類や大きさにより加熱時間が異なるのであくまで目安に。炊飯器の場合は表示の目盛り通りの水加減で炊く。

ご飯を炊く

5仕上げ

炊き上がったら、軽く混ぜてから茶碗に盛り、せん切りの茗荷をのせる。

仕上げ

教える人

つむぎや

つむぎや

金子健一さん(写真右)、マツーラユタカさんによる2人組フードユニット。現在それぞれ地方に移住。金子さんは長野県松本市で「alps gohan」という店を、マツーラさんは山形県鶴岡市で「manoma」という店を営む。

文:マツーラユタカ 写真:公文美和

※この記事の内容はdancyu2015年7月号に掲載したものです。

マツーラユタカ

マツーラユタカ (物書き料理家)

昨年20年以上続けた東京ライフに区切りをつけ、故郷である山形県鶴岡市にUターン。出羽三山信仰、山伏の文化が息づき、多種多様な在来野菜や保存食、発酵食と、食文化豊かな土地で「manoma(マノマ)」というカフェを営む。二十四節気の暦にあわせて、庄内の野菜を主役にした季節のごはんを提供している。東京時代は、金子健一さんともにフードユニット「つむぎや」として活動しながら、個人ではライター稼業も。つむぎやとしての著書に、『お昼が一番楽しみになるお弁当』(すばる舎)などがある。