狐野扶実子流フレンチトーストのレシピ
狐野扶実子流パン・ド・カンパーニュのフレンチトーストのレシピ

狐野扶実子流パン・ド・カンパーニュのフレンチトーストのレシピ

フレンチトーストは、食パンを卵と牛乳と砂糖に浸して焼くだけ……というイメージをおもちのあなた。確かに簡単、シンプルな料理ですが、見た目も味も驚くべきバリエーションがあります。パリやニューヨークでも活躍する料理プロデューサー、狐野扶実子さんが、めくるめくフレンチトーストの世界を教えてくれました。

NY風田舎パンのしっとりフレンチトースト

カチコチに硬くなってしまったパンでも決して無駄にしない、ヨーロッパの食文化から生まれたフレンチトースト。フランスでは“パン・ペルデュ”(「失われたパン」「だめになったパン」などの意味)と呼ばれる。要は”硬いパンを甦らせる料理”であった。ところが今や、日本でも専門店が誕生するほどの人気。わざわざ焼きたてのパンを買ってきてつくる人も多いようだ。

しかし、「焼きたてのしっとりしたものではなく、乾燥したパンを使ってください。そのほうが卵や牛乳をしっかり吸います。そして、食パンに限らず、さまざまなパンで焼くと味わいも広がります」というのがフミコ流。

“パン・ペルデュ”は、硬いパンを甦らせるだけでなく、よりおいしくするための知恵であった。フレンチトースト、奥が深い。そんなコツを織り交ぜながら、狐野さんが教えてくれた3種類のレシピに、さらにフレンチトースト観が覆されるに違いない。

フレンチトーストのコツ
*乾燥したパンを使う
わざわざ新しいパンを買う必要はなし。乾燥したパンのほうが卵液がしっかりしみる。

*白身をしっかり切る
卵は泡立てない。白身のどろっとした部分が切れて、サラッとするまで溶けばOK!

*砂糖をよく溶かす
卵液の材料は一度に混ぜない。溶け残りがないように、レシピ順に加えてその都度混ぜる。

*しっかり火を通す
焼けてくるとパンがわずかに膨らむ。触って、弾力を感じれば卵液に熱が入ったサイン。

パン・ド・カンパーニュのフレンチトーストのつくり方

材料材料 (2人分)

パン・ド・カンパーニュ1切れ(厚さ約7cm)
2個
牛乳100ml
生クリーム60ml(乳脂肪分35%前後)
コンデンスミルク25g
グラニュー糖10g
バター10g
材料

1材料を混ぜる

ボウルにコンデンスミルクを入れ、牛乳を加えて混ぜる。グラニュー糖を加え、さらに溶けるまで混ぜる。

材料を混ぜる

2卵を溶く

別のボウルに卵を割り、溶き混ぜる。泡立て器は白身を切るように左右に動かして、卵を泡立てないように。

卵を溶く

31と2を混ぜあわせる

2のボウルに1を混ぜる。ボウルの底にグラニュー糖やコンデンスミルクの溶け残りがないか確認を。泡立て器を左右に動かして、卵と牛乳をしっかり混ぜ合わせる。ここでも泡立てないように注意。

1と2を混ぜあわせる

4生クリームを加える

生クリームは泡立ちやすいので、最後に加えるのがポイント。砂糖やコンデンスミルクが溶け残らないように、一つずつ順に材料を加え、そのつど、丁寧にかき混ぜることが大切です。同じように混ぜ合わせたら、卵液の完成。

生クリームを加える

5パンを用意する

厚切りのパン・ド・カンパーニュを用意。このくらい断面の気泡が大きなものを使うとおいしくできる。

パンを用意する

6卵液につけ寝かす

カンパーニュを5の卵液にくぐらせてから、そのまま浸した状態でラップをかけ、冷蔵庫に24時間ほどおく。

卵液につけ寝かす

7上下を返す

12時間ほどたったらいったん上下を返すとよい。パンにまんべんなく卵液を吸わせること。卵液をパンにすべて吸わせるように。ファスナー付きの保存袋に入れてもいい。卵液を吸いきるとパンがふくらみます。

上下を返す

8フライパンで焼く

フライパンを中火にかけ、バターを落とす。切り口を下にしてカンパーニュを置き、4分ほど焼く。表面に焼き色がついたら返し、もう一方の面も4分ほど焼く。途中スパチュラで持ち上げ、色を確認する。

フライパンで焼く
フライパンで焼く

9オーブンで焼く

クッキングシートにのせ180℃に予熱したオーブンで約8分焼く。ややふくらみ、芯まで火が通れば完成。

オーブンで焼く
オーブンで焼く
香ばしいパンの塊をカットすると、気泡部分にしっとりとした卵が入っている。しっとり、ほわっと、やわらかなおいしさ。「パンの空洞にスクランブルエッグが入っているようなイメージです。パンは必ず気泡が大きなものを選んでください」と狐野さん。

教える人

狐野扶実子

狐野扶実子 料理プロデューサー

パリの三ツ星レストラン「アルページュ」でスーシェフを務めたのち、出張料理人として活躍。現在は料理プロデューサーとして、JAL国際線機内食の監修や料理人コンペティションRED U-35の審査員などを務める。著書に『狐野扶実子のビストロ料理』(小社刊)、『LA CUISINE DE FUMIKO フミコの120皿』(世界文化社刊)など。

文:大沼聡子 写真:日置武晴

※この記事の内容はdancyu2014年4月号に掲載したものです。

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。