朝食にも、デザートとしてもおいしいブリオッシュのフレンチトースト。口溶けが滑らかで、まるでプリンのような食感になります。フレンチトーストは、食パンを卵と牛乳と砂糖に浸して焼くだけ……というイメージをおもちのあなた。確かに簡単、シンプルな料理ですが、見た目も味も驚くべきバリエーションがあります。パリやニューヨークでも活躍する料理プロデューサー、狐野扶実子さんが、めくるめくフレンチトーストの世界を教えてくれました。
「パリのビストロでデザートとして人気があるんですよ」と教えてくれたのは、ブリオッシュのデザートフレンチトースト。ブリオッシュにたっぷりの卵液を含ませるのだ。焼いてみればびっくり、プリンのようになめらかで口溶けのいい、新食感になるではないか。
レストランで修業した料理人が独立し、質の高い料理を提供するビストロが増えたパリ。なかでもネオ・ビストロで人気のデザートが、ブリオッシュのフレンチトースト=パン・ペルデュです。昔ながらの料理ではなく、新しいデザートというイメージをもっている人が多く、クレーム・アングレーズやキャラメル、フルーツなどでアレンジし、店の個性を出しています。一方で、スターバックス・コーヒーにもパン・ペルデュがあり、若者に人気です。
ブリオッシュ | 4切れ(厚さ約1.5cm) |
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卵 | 1個 |
牛乳 | 60ml |
生クリーム | 20ml(乳脂肪分35%前後) |
グラニュー糖 | 15g |
スライスアーモンド | 適宜(煎っておく) |
バター | 12g |
粉砂糖 | 少々 |
★ いちごマリネ | |
・ いちご | 8個 |
・ グラニュー糖 | 大さじ2/3 |
・ キルシュ | 大さじ1/2(さくらんぼのブランデー) |
いちごは厚さ5~6mmに切る。グラニュー糖、キルシュをふりかけてマリネする。ラップをかけ冷蔵庫に置く。
パテ・ド・カンパーニュのフレンチトーストのつくり方と同様に、コンデンスミルク、牛乳、グラニュー糖を混ぜ、溶き卵に注ぎ入れ混ぜ合わせ、最後に生クリームを加えてよく混ぜる。
2の卵液に厚さ約1.5cmに切ったブリオッシュを4~5分浸す。裏返してさらに4~5分浸す。
ブリオッシュが十分に卵液を吸ったら、片面にスライスアーモンドをたっぷりつける。
フライパンを中火にかけてバターを落とし、アーモンドの面から3分焼く。色づいたら返し、4~5分焼く。やさしく火を入れるため、裏返したら弱火にして、アルミホイルでフライパンに蓋をします。隙間から程よく蒸気が逃げ、しんなりしません。
芯まで熱が入っているか、指で軽く押してみて確認する。ふっくらとした弾力を感じたら焼き上がり。
焼けたらキッチンペーパーの上に置くと、余分なバターを吸って軽やかに仕上がります。粉砂糖をふり、いちごマリネをのせて完成です。
パリの三ツ星レストラン「アルページュ」でスーシェフを務めたのち、出張料理人として活躍。現在は料理プロデューサーとして、JAL国際線機内食の監修や料理人コンペティションRED U-35の審査員などを務める。著書に『狐野扶実子のビストロ料理』(小社刊)、『LA CUISINE DE FUMIKO フミコの120皿』(世界文化社刊)など。
文:大沼聡子 写真:日置武晴
※この記事の内容はdancyu2014年4月号に掲載したものです。