肉焼きの名手、茂野 眞さんが焼くステーキは、外はパリッと、中はしっとり。噛むたびに肉汁があふれ出る。おいしさの秘密は“肉の揚げ焼き”という独自の手法にあった。
カイノミの濃厚な旨味を余すところなく存分に味わえるステーキ。付け合わせのポテトフライは、一口大にカットしたじゃがいもを、いったん下ゆでするのがポイント。こうすることで、余分な水分が抜けてカリッと揚がる。ステーキとの好相性は他の追随を許さない。
今回扱うカイノミは牛バラ肉の部位で、ハラミに似た食感。赤身肉だが適度に脂があり、旨味も濃厚。手に入らなければ、イチボやサーロインでもOK。
牛肉 | 200g(カイノミの塊肉。厚さは3cmぐらい) |
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白絞油 | 適量(サラダ油でも可) |
粗塩 | 適量 |
黒胡椒 | 適量(粗挽き) |
牛肉は焼く30分前に室温で、人肌ぐらいの温度に戻す。肉の表面にうっすらと脂が浮き出る状態がベスト。キッチンペーパーで余分な水分を拭く。
フライパンを強火で熱し、白絞油をフライパンに深さ1cmくらい(肉の厚みの3分の1が目安)まで入れて温める。煙が上がったら、弱火にする。
1の牛肉を入れ、強火にする。動かさずに焼き、こんがり焼き色がついたら上下を返す。トングで肉を立たせ、同様に全面に焼き色をつける。
中火にし、フライパンを手前に傾けてレードルで油をすくう。牛肉に勢いよく油を回しかけ、さらに焼く。この動作を1~2分ひたすら続け、牛肉に油をよくからめる。途中で上下を返し、同様に油を回しかける。
牛肉をバットに取り出し、粗塩ふたつまみをふる。こんろの温かいところに置き、約1分休ませて余熱で火を通す。肉をのせるプレートに粗塩ふたつまみをふり、約1cm幅に切った牛肉を盛る。仕上げに粗挽き黒胡椒少々をふる。
文:郡麻江 写真:蛭子真
※この記事の内容は2018年2月号に掲載したものです。