dancyu1991年9月号「手を抜かない具の下ごしらえ。9種類の調味料の配合。タレの秘伝と具の絶妙のバランスを気鋭の中国料理店が公開」から、中国料理店「竹爐山房」の冷やし中華のつくり方を紹介します。
dancyuが創刊して、迎えた最初の夏。特集は「夏はやっぱり冷やし中華」でした。
東京は吉祥寺にある中国料理店「竹爐山房」店主の山本豊さんがレシピを披露する姿が記事に収められています。
冷やし中華の正式名称は”什錦拌麺(シーヂンリャンパンミェン)”。日本語で”五目冷やしそば”という意味になります。麺とタレを別盛りにして提供するのが特徴で、「個人の好みに応じて好きなように、かけてください」と、山本さんは語っています。
「竹爐山房」の冷やし中華のタレに使う調味料は、なんと9種類。
鶏のスープをベースに、醤油、本味醂、芝麻醬(練り胡麻味噌)、にんにく、生姜汁、胡麻油、ラー油を合わせてつくります。
調味料を合わせた後、熟成させることで濃度を上げ、口当たりまろやかにするのがポイントなのだと綴られています。
「それぞれの調味料が、どの味の要素も突出しないで、丸みを帯びた、円のような味わいを目指してつくった」と、山本さんが語る絶妙な配合は、酸っぱからず、甘からず、辛すぎない存在感抜群の味に仕上がるそうです。
麺の上に乗る具は、叉焼肉(チャーシュー)、白切鶏(蒸し鶏)、海蜇皮(クラゲ)、きゅうり、ねぎ、豚耳の煮こごり、煎り胡麻の7種類。ひとつひとつの具が、手間をかけてつくられていて、それだけで食べてもおいしい一品料理が贅沢に散りばめられています。
にんにく | 1/5粒 |
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生姜 | 30g |
鶏スープ | 400ml |
醤油 | 200ml |
煮切り本味醂 | 120ml |
酢 | 90ml |
芝麻醬 | 100g |
胡麻油 | 大さじ1と1/2 |
ラー油 | 小さじ2 |
鶏スープ、醤油、煮切り味醂、酢をボウルで合わせる。別のボウルを用意して、芝麻醬をホイッパーで混ぜてなめらかにする。芝麻醬を最初に合わせたボウルに少しずつ加える。分離しないように混ぜ続け、白くなって流動性が出てきたらすべて加えて混ぜ合わせる。
にんにくをすりおろして1に加える。生姜はすりおろしたものを手で搾って、汁だけを加える。
胡麻油と、ラー油を加えて、油分が表面に浮かなくなるまでよく混ぜ合わせる。冷蔵庫へ入れて1日ねかす。
豚耳の煮こごり | 適宜 |
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叉焼肉 | 適宜 |
白切鶏 | 適宜 |
きゅうり | 適宜 |
長ねぎ | 適宜 |
煎り胡麻 | 適宜 |
海蜇皮 | 適宜 |
塩 | ふたつまみ |
胡麻油 | 適宜 |
レモン | 1/2個 |
生麺 | 130g |
豚耳の煮こごりを使う分だけ、厚さ2mmに切り出す。マッチ棒のサイズにせん切りする。
1と同様、叉焼肉を使う分だけマッチ棒のサイズにせん切りする。
白切鶏は皮を取る。真横から包丁を入れて3枚に切り、重ねてせん切りにする。
ほかの具材と同じ長さに切ったきゅうりを縦半分に切る。厚さ2mmで10枚程度になるように、横からスライスして、せん切りする。
ねぎを縦半分に切り、芯を取り除く。繊維に対して斜めにせん切りする。せん切りしたものをボウルに貼った水に10分ほどさらしてから、よく水気をとる。
胡麻の一粒が3~4個ほどの大きさになるように、包丁で刻む。
海蜇皮を6時間ほど水につけて戻す。よく水気を取って、ボウルの中で塩ひとつまみと、胡麻油を加えて揉み込む。20分後、水気を切る。
ねぎを3cm分みじん切りしてボウルに入れ、塩ひとつまみを加えて混ぜ合わせる。胡麻油200mlを中華鍋に入れ、強火にかける。胡麻油が発火する直前の350度に達したら、みじん切りにしたねぎにかける。
海蜇皮にレモン1/2個を絞って、粗熱をとったねぎオイルと合わせる。
中華麺をゆで、麺がくっつかないように胡麻油を和える。皿に麺を盛り、豚肉の煮こごり、叉焼肉、白切鶏、きゅうり、水気を切ったねぎを放射線状に並べる。中心に海蜇皮を盛れば完成。
1949年、高知県生まれ。海と山の産物を身近に接しながら13歳までを郷里で過ごし、上京する。高校を卒業後、湯島聖堂内にあった書籍文物流通会の料理部に所属して中国料理の修業に入る。中国料理の文献に目を向け、機会があるごとに再現して料理の幅を広げる。1976年に千葉にある「知味斎」に入り、中国野菜などを積極的に料理に使用するようになる。その間に中国に旅をして本場の中国料理に接する。1987年に東京・吉祥寺に「竹爐山房」を開業。1997年4月、規模を拡大して新店舗となる。
写真:石井雄司