郡山、相馬、喜多方を巡る体験型ランチで発見した、福島の食の力と感動「ふくしま応援シェフ」FoodCampを開催

郡山、相馬、喜多方を巡る体験型ランチで発見した、福島の食の力と感動「ふくしま応援シェフ」FoodCampを開催

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福島県は、西の「会津」、中央の「中通り」、東の「浜通り」という、気候・風土・食文化が異なる個性豊かな3つの地域に分かれている。この多彩な魅力を発信するため、プレミアムな体験型ランチ会、その名も「FoodCamp」がこの秋、3回にわたり開催された。主催は福島県、郡山市の旅行会社、孫の手トラベルとdancyu総研が企画・運営を担った。福島の食材生産者と県産食材の活用に力を入れる「ふくしま応援シェフ」がタッグを組んで、福島でしかできない食体験を提供したFoodCamp。その模様をお伝えしよう。

郡山編:畑の真ん中で味わう、感動の「土の力」

初回の開催地は中通りに位置する郡山市。この地で400品種もの野菜を栽培し、「郡山ブランド野菜」の普及に尽力する鈴木農場が舞台となった。まだ残暑厳しい9月15日、首都圏を中心に20人の食いしん坊が「夏野菜を畑で味わうFoodCamp」に参加した。

参加者は会場に到着するとすぐに、畑に敷かれたビニールシートに横たわった。「野菜の気持ちになる体験」だ。ふかふかに耕された土の上に全身を預けると、土の優しさ、大地の香り、そして広大な青空を同時に実感できる。続いて鈴木農場の4代目・鈴木智哉さんの指導のもと、レタスと長ネギの収穫体験に挑戦した。手に取る野菜はどれも瑞々しく「良い香りがする!」と歓声が上がる。

畑に身を委ねる「野菜の気持ちになる」体験
畑に身を委ねる「野菜の気持ちになる」体験。ビニールシート越しに土のぬくもりが伝わる。
野菜の収穫体験に挑戦する参加者
鈴木さんの解説を聞きながら郡山ブランド野菜の収穫体験に挑戦する参加者。

和洋の匠が競演!畑のど真ん中で食す特別コース

収穫体験の後は、農場のど真ん中に設営されたアウトドアダイニングへ。料理を担うのは、イタリアン「catoe」の加藤智樹さんと、和牛割烹「あ吽」の林亮太さんという、和洋の匠のタッグだ。

相馬原釜漁港のスズキのロースト
加藤さんによる「相馬原釜漁港のスズキのロースト」。肉厚のスズキをローストし鈴木農場の野菜に合わせた。
奥会津牛ロースとハイカラリッくんのすき焼き 鈴木農場米とやますけ農園玉子
参加者から大好評だった林さんによる「奥会津牛ロースとハイカラリッくんのすき焼き 鈴木農場米とやますけ農園玉子」。奥会津牛は噛みしめるほどにうま味が広がる。

この日限りの特別コースは、料理のジャンルを超えた貴重なコラボレーションだった。加藤さんは相馬の新鮮な魚で腕を振るい、林さんは、一頭買いで仕入れている奥会津牛の魅力を皿に込める。互いの技をぶつけ合うような競演だった。

酒
提供したお酒。左からnaturadistill紫蘇忽布蒸溜酒(ナチュラディスティル)、メゾン・アキ トゥルナン コオリヤマ シャルドネ(Maison Aki)、一歩己 純米吟醸(豊国酒造)、にいだしぜんしゅ おだやか 純米 冷やおろし(仁井田本家)、メルロー2022キュヴェ中尾秀明(ふくしま逢瀬ワイナリー)
シェフ
左から和牛割烹「あ吽」の林亮太さん、鈴木農場の鈴木智哉さん、「catoe」の加藤智樹さん。

ランチの後は郡山市内にある、ふくしま逢瀬ワイナリーと鈴木農場の直売所を訪問。当地産のブドウを使ったワインやブランド野菜を両手いっぱいに買い込んだ参加者からは、「郡山の野菜がこんなにおいしいとは思わなかった」「広々とした畑の中での食事は、ここでしかできない体験」と笑顔が弾けた。

相馬編:潮目の海がもたらす、至高の「常磐もの」

9月28日開催の第2回は、「常磐ものを海辺で味わうFoodCamp」。浜通り北部の相馬市が舞台だ。相馬沖は栄養豊富な親潮と黒潮がぶつかる「潮目の海」。水揚げされる魚介類は身が締まり、味が良く「常磐もの」として高く評価されている。この海域で沖合底引き網漁船を操業する「清昭丸」の船主、菊地基文さんがガイド役となり“漁師直送の新鮮な魚”を味わい尽くした。

ツアーは福島県有数の漁港のひとつ「原釜漁港」からスタート。参加者は水揚げされたばかりのホッキ貝の殻むきに挑戦した。菊地さんの指導のもと、参加者はホッキ貝のむき身を取り出し、まな板にバチーンとたたきつける。そうすることでホッキ貝は身を引き締め、コリコリとした食感が生まれる。自分でさばいたホッキ貝のおいしさに参加者からは次々と驚きの声が上がった。「すごく甘味があってうま味が濃い。歯ごたえも最高!」

ホッキ貝の殻むき体験
原釜漁港でのホッキ貝の殻むき体験。漁師直伝の殻むきを見学し、その後、参加者が挑戦した。

絶景と潮風がスパイス!相馬の海の幸を堪能

ランチ会場は、相馬の海を臨む割烹レストラン「凪茶寮 文字島」の広い前庭だ。松川浦の景色と海風を感じられるアウトドアダイニングで、海辺のランチがスタートした。
料理を担当したのは、「凪茶寮 文字島」の坂脇尚己さんと、地産地消のイタリアンを提供する「Aoyagi」の青柳拓也さんだ。

シェフ
左から「凪茶寮 文字島」の坂脇尚己さん、「清昭丸」の船主、菊地基文さん、「Aoyagi」の青柳拓也さん。

坂脇さんによる常磐もののヒラメのお造り、青柳さんによる柳蛸のピニャータなど、料理を彩る魚介はすべて、菊地さんの清昭丸が水揚げしたもの。コースの〆は坂脇さんによる特製の相馬産ホッキご飯だ。

ヒラメのお造り
日本酒との相性がこの上ない、常磐もののヒラメのお造り。
柳蛸のピニャータ
青柳さんが菊地さんに「大きめの柳蛸をお願いします!」と特注した「柳蛸のピニャータ」。ピニャータとは、南イタリアのプーリア州などで作られる煮込み料理のこと。
酒
提供したお酒。左からヴィラージュ ロゼ(かわうちワイナリー)、十八代伊兵衛 大吟醸雫酒 (奥の松酒造)、夢そうま 純米吟醸酒(人気酒造)、ヴィラージュ シャルドネ(かわうちワイナリー)。

菊地さんと同じテーブルで食事した参加者は「漁の苦労などのお話を聞きながらお魚を味わった。貴重な経験に感謝」と、漁師の想いとともに海の恵みを堪能した。ロケーションの素晴らしさも相まって、「次はゆっくり旅行で来たい」と大満足の様子だ。

楽しい集い
福島県の食材が、生産者、料理人、そして食いしん坊たちをつなぎ、楽しい集いが実現した。

喜多方編:日本酒の聖地で楽しむ、驚きのマリアージュ

11月2日の第3回は、酒処として名高い会津地方の喜多方市へ。江戸中期から酒造りを続ける「大和川酒造店」を訪ね、「喜多方の日本酒を酒蔵で味わうFoodCamp」を開催した。

まずは大和川酒造店の資料館「ミュージアム四方」へ。佐藤雅一代表による解説で、江戸時代から続く酒造りの歴史を学んだ。ランチ会場は元酒蔵を改装したイベントスペース「昭和蔵」。酒好きには夢のような空間での食事に参加者のテンションは上がるばかりだ。

佐藤代表の解説による酒蔵ツアー
佐藤代表の解説による酒蔵ツアー。大和川酒造店の歴史だけでなく、喜多方地域の酒造りの歴史を学ぶことができる。

日本酒とフレンチの常識を覆すタッグ

料理を担当したのは、「和の鉄人」道場六三郎氏に師事した、いわき市の和食店「美味いもん屋わ多なべ」の渡邉達也さんと、地元会津の食材に精通した喜多方出身のフレンチシェフ「Là Là Gottsuo」の井上幸司さん。

シェフ
左から「美味いもん屋わ多なべ」の渡邉達也さん、大和川酒造店の佐藤雅一代表、「Là Là Gottsuo」の井上幸司さん。

渡邉さんは、いわき周辺で水揚げされた鮮魚と日本酒を、井上さんは、地元会津エリアの野菜や肉をふんだんに使い、素材の持ち味を大切にしたフレンチと日本酒をマリアージュした。

お肉盛り合わせ
渡邉さんと井上さん、それぞれが推す牛肉が一皿で競演した「お肉盛り合わせ」。左は渡邉さんによる和風の「うねめ牛のロースト」、右は井上さんによる「会津牛のステーキ」。
いわき沼ノ内港で水揚げされたアンコウのどぶ汁
渡邉さんのスペシャリテ「いわき沼ノ内港で水揚げされたアンコウのどぶ汁」。ご飯は大和川酒造店の仕込み水で炊いた。日本酒の会を締めくくるのにふさわしい一杯。
酒
提供した日本酒。左から「大吟醸 弥右衛門」、「弥右衛門 リンゴ酸酵母仕込み」、「純米吟醸 秋上」、「純米辛口 冷やおろし 生詰」(すべて大和川酒造店)。

参加者は「酒蔵でおいしい肴と日本酒を楽しめるなんて夢のようだ」と上機嫌。「井上さんのフレンチと日本酒がこんなに合うとは思わなかった。洋食にはワインという常識を覆す体験ができた」と、新たな発見に喜びの声を上げた。土地の歴史と酒が融合した、忘れがたい食の体験となった。

地域ごとの魅力にあふれる福島県の魅力は「食」でつながる

ふくしま応援シェフによる3地域でのプレミアムランチは、県内はもとより、首都圏からも多くの参加者を迎え、大盛況のうちに幕を閉じた。生産者の想い、料理人の情熱、そしてその土地の風土と歴史を、五感すべてで感じる旅だった。福島が誇る多様で豊かな食は、これからも、それを体験する者に喜びと驚きと感動をもたらすだろう。この記事で福島県の食に興味を持ったなら、ぜひ福島県を訪れて、ふくしま応援シェフの料理を実際に味わってほしい。そして日本酒やワインなどの素晴らしい県産品を購入してはいかがだろうか。

お問い合わせ情報お問い合わせ情報

主催:福島県観光交流局県産品振興戦略課

文:鈴木桂水 写真:yOU

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