愛媛県西予市と宇和島市の境、歯長峠に牧場はある。標高400m近くの山間の峠は抜群の自然環境だ。血統は年間500頭程度しか流通しない高知系褐毛和牛。抗生物質や成長促進剤を使わない、地元の稲や麦主体の自家配合の餌。28か月以上の飼育日数と3週間のウェットエイジングを経て、唯一無二のうまい赤身の牛肉に仕上がる。
ゆうぼく直営おかざき牧場は、地元の稲や麦のワラを粗飼料に利用し、抗生物質等の混入がない餌の自家配合をしている。つまり、餌の生産者を把握している。さらに、成長促進剤も不使用だ。牧場は牛の生理を尊重し、牛のペースで牛が育つ。時間を掛けて育てた牛は、直営肉店 『ゆうぼくの里』 で加工される。3週間の熟成を経て、はなが和牛(あか牛)が完成する。愛媛県は 『あかね和牛』 もそうだが、上質な赤身を重視している。特にゆうぼくは30年以上、赤身のうまい肉を追求してきた先駆者だ。
日本の牛枝肉取引規格に赤身の味と脂の科学的な分析は含まれていない。
肉の歩留でAとBとCの等級があり、脂肪交雑・肉の色と光沢・肉の締まりときめ・脂肪の色と光沢と質で1~5の等級がある。つまり、科学的には『A5等級=うまい』のではない!と言っても過言ではない。消費者が霜降りを好むとか、ピンク色の牛肉を好むとか、色々な考えはある。一方で、食べ続けられる、うまい肉か?つまり、脂質成分とうまみ成分の科学的根拠が、軽んじられているのは事実である。経験的に飼育期間が長く、健康な牛を熟成させ、含水量が減り、旨み成分が豊富な牛肉はうまい!
血統的には黒毛より褐毛の方が旨み成分は多く、オレイン酸も豊富に含まれることはわかっている。まさに、はなが和牛のあか牛は食べ続けたくなる、うまい牛肉だ。
赤身を堪能するには、塊肉を料理するに限る。味付けは塩コショウのみでステーキやローストビーフにして、肉そのものの味と香を体験するのが一番。もちろん、グレービーソースなどをかけてもうまいが、本当にうまい肉は塩だけでも美味だ。塊肉は料理する最低でも3時間前に冷蔵庫から出し、室温に戻すのが鉄則。赤身は脂より熱伝導が良くないから、常温に戻さないと火のとおりが悪くなる。ゆうぼくで肉を加工してから10日間はうまい肉を楽しめる。分厚いグリルパンを用意して肉を待つのは楽しい!
文:(株)食文化 萩原章史