上質な乗り心地だけでなく、サステナブル性能を大幅に向上させたブリヂストンのプレミアムコンフォートタイヤ〈REGNO GR-XⅢ〉。一方、食の分野における持続可能な取り組みとして、あらためて見直されている「地産地消」という考え方。サステナブルを追求する高性能タイヤで、未来を見据えた食を実践する最高のオーベルジュへ。新緑がまぶしい季節に車を走らせた。
1981年にデビューしてから43年。ラテン語で“王者”を意味するブリヂストンのフラッグシップタイヤブランド〈REGNO(レグノ)〉といえば、高い静粛性と滑らかな乗り味が最大の魅力だが、今年2月に発表された最新モデル〈REGNO GR-XⅢ〉は、ブリヂストン独自の商品設計基盤技術「ENLITEN®」を搭載したことにより、静粛性と走行性能を大幅に向上させるだけでなく、環境と未来を見据えたサステナブル性能を高次元で両立させた。
「ENLITEN®」の特徴は「薄く、軽く、円く(まるく)」つくること。これまでのタイヤのつくり方を見直し、性能を高めるために部品をどんどん追加していくのではなく、そぎ落としていくという従来とはまったく異なる設計思想である。
このサステナブルなタイヤで目指したのは、富山、京都、長野のオーベルジュ。3軒とも、旬の山菜やジビエを際限なくとるのではなく、自然と調和できるバランスで必要な分だけを使っていて、その姿勢に〈REGNO GR-XⅢ〉の「そぎ落とす」という設計思想が重なり合う。
行かなければ味わえない食材を駆使し、唯一無二のひと皿へ昇華させている料理人に聞いた。「サステナブルな地産地消の未来」とは?
古来、日本では山には神が宿ると信じられてきた。富山県利賀村の深い山間に抱かれるようにたたずむ「L'évo」を訪れたときに感じたのは、そんな見えざるものの聖なる息遣いだ。山道を迷い込んだ先に不意に姿を現す、日本の原風景の里山にもヨーロッパの絵本の世界にも見える山間部で、山からいただいた貴重な生命である熊や猪、鹿、時にはタヌキ、カエル、名も知らぬ山野草といった唯一無二すぎる食材が、圧倒的な技術力によって洗練された美しさをまとい、有無を言わさぬおいしさで目の前に供される。この感動。かの有名なレストランガイドは「そのために旅行する価値のある卓越した料理」に星三つの価値を与えている。それになぞらえるなら、“卓越した料理”に加えて訪れた人に聖なるものの存在さえ感じさせる「L'évo」は、三つ星を超えた美食のパワースポットだ。
「何もない」ように見える過疎化した山深い利賀村に、運命に導かれるように出合った谷口英司さん。山に分け入り、インフラを整え、店を構えてみると、そこは「何でもある」土地だった。ここ「L'évo」では、豊かな山の幸と合わせた富山湾の恵みも味わえる。谷口さん自ら片道1時間半の道のりをものともせず、毎日のように海に向かって車を走らせる。「僕たちは山から季節の食材をいただいて料理をつくっています。なぜここで海のものをお出しするのかというと、山と海は川でつながっていて自然環境は循環しているので、海の状態が変化すればそれは僕たちの山の料理にも直結する。海の環境を知ることは、つまり山を理解することなのです」。運転しながら山を眺めていると、日々姿を変える山の植生が、魅力的な食材として目に飛び込んでくるという。海と山を包括的に捉えてその変化に向き合うこと。それが「L'évo」流のサステナブルだ。
およそ120年前、“京の奥座敷”と称される花脊で大悲山峰定寺の宿坊として誕生した「美山荘」。かつて春が訪れると平安貴族が京から牛車を連ねてこの地を訪れ、摘み草遊びを楽しんだという歴史をひも解き“摘草料理”をつくりあげたのが4代目の現主人・中東久人さんだ。雪がとけると山菜が芽吹き、やがて木イチゴやコケモモなどの果実や、アマゴ、鮎といった川魚の季節がやってくる。暑い日々は自家菜園の野菜を楽しみ、そのうち木々が黄金色に色づくとキノコが次々と姿を現す。栗や銀杏など木の実を収穫し終えると、寒い季節には鹿や熊、猪といったお楽しみが待っている。
移りゆく季節を慈しみながら土地の恵みをありがたくいただく。今や世界的な潮流となったいわば“ローカルガストロノミー”の先駆けが、はるか昔にここ花脊でひっそりと誕生していたなんて日本人として誇らしい。
「あかん。今日は鹿に先を越されておいしいとこ持ってかれましたわ~」。柔和な笑顔とは裏腹に驚くような言葉を口にした中東さんは、花脊で生まれ、山の植物を遊び相手に育った。「目をつぶっても運転できるんちゃうかな」と言うほど知り尽くしたはずのこの地は、しかし“摘草”という視点で見るとまったく違う顔を持っていた。「山の目になったと言いますかなぁ。同じ道を何回通っても毎日新しい発見があります」。明日にはちょうど食べごろ、そう目をつけていた山野草を、数が増えすぎた鹿に食べられてしまうこともあるそうだ。できることなら自然をあるがままにしておきたい。しかしすでに生態系が変わってしまった現代では、害獣を駆除したり絶滅しかけた植物を守ったりと、人間の手を加えることが欠かせない。そのために、地域の集落と協力して野草の栽培も始めた。自然界の調和を取り戻すために人間が共生すること。それが「美山荘」の取り組むサステナブルだ。
八ヶ岳西麓の蓼科高原。都心からもアクセスしやすく観光地としても人気の高原リゾートでジビエ好きに支持されてきたのが「オーベルジュ・エスポワール」だ。名物は鹿や猪といった害獣でもある野生動物の肉をクラシックなフランス料理の技法で調理したジビエ料理。これに地元・信州産の“高原野菜”と呼ばれる風味豊かな野菜をたっぷりとつけ合わせる。個性の強いジビエ肉と、寒暖差の大きい高地でゆっくりと育った野菜や果実は相性抜群だそうだ。
大半のゲストのお目当てはジビエ料理とマリアージュするワインのコレクション。木々の葉ずれの音を聞き夕陽を眺めながら庭園でシャンパーニュを一杯。ダイニングでコース料理とワインを堪能した後はシガールームでシガーや食後酒を。ゆっくり目覚めた翌朝はテラスで朝食。「オーベルジュ・エスポワール」が提案するのは単なる料理だけでなく、大人が心からくつろげる時間と空間だ。
「いつか家族で蓼科でペンションをやろう」という父の夢を受け止め、長野県蓼科高原のオーベルジュに職を求めた藤木さん。修行中に連れて行ってもらったフランス・コートドール地方のオーベルジュとの出合いが藤木さんの人生を変えた。「日本ではヨーロッパから輸入した食材を使い、格式高い接客がよいとされていた時代です。ところがフランスでは地元の食材を使い、お客さまと触れ合う温かいおもてなしを受けたのです」
地域の食材について学びたいと生産者のもとに通い続けるうちに、深刻な害獣被害の現実を知る。被害を食い止めるためにやむなく奪う生命をなんとかできないだろうか。まだ日本では一般的ではなかったジビエを安全においしく料理する。そんな方法を模索するうちに“ジビエの第一人者”と呼ばれるようになった。生命を大切にいただくこと。そのための知識や技術を多くの人たちと共有すること。それが「オーベルジュ・エスポワール」が到達したサステナブルだ。
3軒のオーベルジュを選んだ理由は、地産地消というサステナブルへの考え方に惹かれただけでなく、行くまでの長い道中で、〈REGNO GR-XⅢ〉のポテンシャルを最大限に感じられるからだ。例えば、「L'évo」がある利賀村までは富山駅から車で約1時間半。1000m級の雄大な山々に囲まれ、利賀川と百瀬川という美しい清流が縦断する自然豊かなエリアだ。新緑がワイルドに茂る細い道がひたすら続き、途中はヘアピンカーブの連続だが、こういった山道こそ〈REGNO GR-XⅢ〉の走行性能が本領発揮。とにかく滑らかで静か。急なカーブであろうともストレスなく、日本の原風景に溶け合うような、一体感のあるドライブを楽しめる。京都の「美山荘」も同じく京都駅から車でおよそ1時間半。花脊の山奥へ向かうまでの道のりは車幅ギリギリの峠道で、決してなだらかとはいえない荒れた山道を進むものの、軽快かつ安定感のある乗り心地のおかげで運転自体が楽しい。〈REGNO GR-XⅢ〉の大きな特徴である静粛性により、寺谷川のせせらぎも心地よく聞こえ、風で揺れる木々の風景を横目に走ると、その時間までもとびきり贅沢に感じられた。長野・蓼科の「オーベルジュ・エスポワール」を訪れた日は天候が崩れ、朝から強い雨が降り続いたが、ウェットグリップ性能が高いから濡れたロードでもブレがなく、霧がかかった山々の幻想的な世界の中を運転していると、雨の旅も悪くない、いや、むしろ最高じゃないかとすら思えた。
乗り心地のよさだけでなくサステナビリティも両立したタイヤをドライブで味わい、オーベルジュで地産地消料理を味わう。〈REGNO GR-XⅢ〉の世界観をおもいっきり堪能するなら、これ以上ないコースである。
株式会社ブリヂストン
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文:江藤詩文 撮影:合田昌弘