兵庫県沖の瀬戸内海で水揚げされる、姫サバ、室津牡蠣、網干牡蠣。畜養や養殖でありながら、天然ものと遜色ない環境下で育む滋味で、贔屓を増やしている。その滋味を鮮度とともに届けているのが、活キ瀬戸内CORPORATIONだ。旬のおいしさを超冷凍で瞬時に封じ込めるハイテク冷凍技術と、海の男たちの熱き思いの物語。
大阪の市場を中心に、関西圏で人気が上昇の一途をたどる真サバがある。活キ瀬戸内CORPORATIONが手がける姫サバで、一尾当たり650g以上、脂質20%を超えたものだけが名乗れるというブランド鯖だ。兵庫県沖の播磨灘に浮かぶ坊勢島(ぼうぜじま)で畜養されている。
食通を唸らせる旨さの秘密は、坊勢島周辺の恵まれた地形による強い潮流、大型の生け簀で魚数を抑える飼育環境、播磨灘で獲れたカタクチイワシや寒ボラなど良質な餌を与えるなど、姫サバ・ファーストを貫く畜養による。
さらに注目したいのが、同社がおいしさを保持するために導入した「ハイブリッドアイス」だ。「サバは鮮度が命。姫サバのおいしさを、僕たちが食べている鮮度でお届けしたい。試行錯誤している中で出合ったのが、ハイブリッドアイスでした」と代表取締役の水野裕平さん。これは塩分濃度23.5%の塩水を-21℃に凍らせることができる画期的な技術。高濃度塩水のアイスを水槽に入れ、同濃度の塩水を混ぜてシャーベット状にした中に生きた魚を投入すると、ほんの20秒ほどで表面はカチコチに!15~20分で深部まで完全に凍るという。
「ハイブリッドアイスのおかげで、遠隔地へも鮮度がいい状態でお届けできるようになりました。姫サバはもちろん、網干や室津で養殖している牡蠣がまたいい状態を維持できるんです」と水野さんは破顔一笑。
牡蠣は殻付きのままハイブリッドアイスにつけ、凍結。これを塩水で洗うと、牡蠣は氷の膜にすっぽり包まれた状態になるのである。
さらに、もう一つ、ハイブリッドアイスによる大きなメリットに、旬のおいしさを通年味わえることがある。牡蠣も姫サバも旬が明確にあるが、ハイブリッドアイスによる冷凍では、旬真っ盛りの旨味も劣化させることなく保管できるのだ。
「年末から春先までの最盛期は、通常の出荷とハイブリッドアイスでの冷凍処理を同時に展開しています。寝る間もないくらい(笑)。でも、一年を通して播磨灘の海の美味しさをお届けするための、踏ん張り時です」。ちょっぴり眠たげな水野さんだが、その表情は底抜けに楽しそうだ。
ハイブリッドアイスによる冷凍では、牡蠣も姫サバも自然解凍するだけで、まるで獲れたてのような鮮度がよみがえる。さらに、姫サバは希望するフィレに捌いてくれるという。旬の旨さと鮮度に情熱を注ぐ海の男たちの熱量は、最高潮の味わいからも伝わってくるはずだ。百聞は一口にしかず、であるぞよ。
活キ瀬戸内CORPORATIONお薦めの食べ方は“炙り”。皮目に浅い包丁目を入れて塩を軽くふり、バーナーで炙るだけ。ポイントは皮目を強めに炙ること。姫サバの滋味がじんわりとろけ、得も言われぬ旨さになる。この炙りと相性バツグンなのが、同社のおもてなしで同梱されているフジダイしょうゆ。ちょっと甘めの味が、姫サバの旨さを増幅させる。また、おろしポン酢も合うので、ぜひお試しあれ。
文:斉藤由利子 写真:牧田健太郎