ニッポンの味の基本「醤油」。全国選りすぐりの5本から知る醤油の世界

ニッポンの味の基本「醤油」。全国選りすぐりの5本から知る醤油の世界

  • Sponsored by しょうゆ情報センター

日本の食文化の発展に大きく貢献するだけでなく、今やワールドワイドに親しまれている「しょうゆ」。和食の基本としておいしさを支えてきたしょうゆの品質向上を目的とした「全国醤油品評会」の結果が10月1日の「醤油の日」に発表された。その年に造られた全国各地から集まった数百本のしょうゆを審査・選考し、優れた銘柄を表彰する企画で、昭和48年に初開催された。今回出品された268本の中から一次審査、二次審査、最終審査を通過し、農林水産大臣賞を受賞した優れた5本をご紹介!

醤油の日の集い画像
第47回(令和元年度)10月1日に開催された「醤油の日の集い」の様子。全国から集められた数百本の醤油が並べられた会場エントランス。(提供写真)
品評会審査風景
第48回目となる令和3年度「全国醤油品評会」は、全国を7つのブロックに分けて開催。学識経験者など全国36名の審査員により、一次審査では「色」と「香り」を対象に、二次審査では「色」「香り」に加え「味」も審査。メーカー名や銘柄の記載は一切ないブラインドで厳正な審査が進められた。(提供写真)

10月1日は「醤油の日」。日本人の生活に根づく「醤油」の世界を発信!

醤油の日ロゴ

日本人の生活に深く根ざしながらあまりにも身近な存在であるため、その実力や価値を認識していない人も少なくないしょうゆ。甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の五原味に、美しい色と豊かな香りを持ち合わせる発酵調味料であり、全国には1000以上もの蔵が存在。種類は大きく分けると5つに分類され、地域特性や蔵独自の製法を生かした個性的なしょうゆ造りが行われている。

そんなしょうゆの魅力や文化を広めている日本醤油協会では、毎年10月1日に「醤油の日の集い」と題し、イベントを開催。中でも注目を集めているのが「全国醤油品評会」の結果発表である。厳正なる審査により「農林水産大臣賞」を受賞した5本について、しょうゆのエキスパートである高橋万太郎氏に話を聞いてみた。

高橋万太郎さん
高橋万太郎(たかはしまんたろう)/「職人醤油」代表。伝統産業や地域産業の魅力を追求していきたいとの思いから、(株)伝統デザイン工房を設立。現在は、蔵元仕込みのしょうゆを100mlの小瓶で販売する「職人醤油」を運営する。

全国で5蔵が受賞! 農林水産大臣賞の醤油を高橋氏が味わう

全国400以上のしょうゆ蔵に足を運び、しょうゆの魅力を広げる「職人醤油」代表の高橋万太郎氏。今回、農林水産大臣賞を受賞した5本についてたずねると・・・・・・。

「まず共通して言えることは、非常にきれいな造りをしているということです。しょうゆは発酵調味料なので微生物などが大きく力を持ち過ぎてしまうと味や香りに影響が出ますが、農林水産大臣賞を受賞されるだけに造り手が大変努力と工夫をされている。細心の注意を払って管理をしているので、マイナスの要素が少ないと感じました。あまりに個性的過ぎるしょうゆは好き嫌いがはっきり分かれるものですが、この5本に関しては多くの方に愛される、いわばいいとこ取りの味わいです」

同じ濃口しょうゆでも風土、気候、歴史で味わいは多様

まず、濃口しょうゆ3本について
「福岡県醤油醸造協同組合(福岡県)の『ふくおか』は、味と香りのバランスが非常に良い濃口しょうゆです。九州地方は甘いしょうゆが好まれる地域で、とりわけ福岡県はしょうゆメーカーが日本一多い県です。協同組合で造るこちらのしょうゆがベースとなり、各しょうゆ蔵が甘みをつけたり特色を出したりするため、個性的すぎない調和の取れた澄んだ味わいが特徴です。

日本醤油工業株式会社(北海道)の『キッコーニホン 特級』は、後味にほのかな甘みを感じさせるまろやかな濃口しょうゆですね。こうした味わいは原材料によるもので、大豆、小麦、食塩、アルコールの中でも小麦に含まれるデンプンが糖に分解されることにより、小麦由来の甘さが引き出されます。心地よい塩味が、北海道のような寒い地域に好まれる味わいで、刺身や煮物など万能に使えます。

佐伯醤油有限会社(広島県)の『まるさ 特選 本醸造』は、独特な濃口しょうゆです。塩分を抑えた造りで、控えめな甘さを感じさせます。三代目である阿須賀謙治さんのご両親の時代からずっと同じレシピを守っている。料理店に愛されているしょうゆで、料理人の要望を聞きながら今の味を確立したそうです。刺身はもちろんですが煮物、特に魚の煮付けによく合います」

醤油ボトル
①ふくおか/濃口醤油(福岡県:福岡県醤油醸造協同組合) 福岡県のしょうゆ造りの基幹工場であり、生揚げ(きあげ)しょうゆの協同生産工場として筑紫野に誕生。本製品は厳選された大豆と小麦を原材料に使用。福岡県の学校給食にも使われているという、地域に根ざした存在。
醤油ボトル
②キッコーニホン 特級/濃口醤油(北海道:日本醤油工業株式会社) 1944年(昭和19年)に創業した旭川最古のメーカー。第1回全国醤油品評会で「農林大臣賞」受賞、第39回全国醤油品評会でも「優秀賞」に輝くなど数々の受賞歴を持つ。北海道のしょうゆの味と伝統を守りながら、最新技術の開発と導入も図っている。
醤油ボトル
③まるさ 特選 本醸造/濃口醤油(広島県:佐伯醤油有限会社) 大正13年の創業時より塩分を抑えたしょうゆ造りを追求し、2回連続となる「農林水産大臣賞」を受賞。合成保存料・着色料も使用せず、人口の甘みも含まないしょうゆ造りで地域に愛されるブランド。

造り手の個性が発揮された、特徴のある濃口と白しょうゆ。

これまでの3本と比較し、これから紹介する2本は「個性的」と評する高橋さん。味わいの特徴や活用の仕方についても話を伺いました。
「有限会社今野醸造(宮城県)の『芳醇』は、これまでと同じ濃口ですが初めての味と感じる独特なしょうゆです。混合方式と言われるタイプで、99%プロ料理人向けとして販売されている商品。特にラーメン店や中華料理店が多く、熱を加えたり油と合わせたりしても、味や香りが引き立つような味わいです。チャーシューを煮る時などもいいですね。

菱太産業株式会社(愛知県)の『太田屋 白醤油 超特選』は、白しょうゆです。もろみの一番搾りと二番搾りをブレンドしているのが特徴で、主原料である小麦の優しい風味と上品な甘みがある。食材の風味や色彩を活かすだし巻き卵や煮物はもちろん、塩や柑橘を添えて食べるような刺身の「かけしょうゆとして使って欲しい」というのが造り手の思いです」

醤油ボトル
④芳醇/濃口醤油(宮城県:有限会社今野醸造) 奥羽山脈の麓にある豪雪地域にあり、全国屈指の米どころでもある宮城県加美町に明治36年に創業。伝統技術や技法を受け継ぎながら、蔵人自ら原材料である大豆と米を栽培する味噌造りも行う。
醤油ボトル
⑤太田屋 白醤油 超特選/白醤油(愛知県:菱太産業株式会社) 1831年(天保2年)に創業した歴史ある白しょうゆ専門の蔵元。長年受け継がれた伝統の製法と最新の技術で造られた琥珀色で透明な白しょうゆは、料亭から家庭まで幅広く愛されている。
高橋万太郎さん、三口醤油皿
出身地である群馬県前橋本店の他、東京都松屋銀座店に直営店を展開。「しょうゆを使い分けると、食はもっと楽しくなる」と、しょうゆの味わいの違いや、色、香りの違いを楽しみ、水色の美しさ、つけやすさ、料理の食べやすさを追求した三口醤油皿を開発。

さらに上記で紹介した5本の他に、全国各地から10本が「農林水産大臣賞」に次いで名誉ある「農林水産省大臣官房長賞(※)」を受賞した。

※前回までの「食料産業局長賞」は、今回から「農林水産省大臣官房長賞」に変更

<農林水産省大臣官房長賞>
1.  「まるよし」/濃口醤油(福岡県:マルヨシ醤油株式会社)
2.  「イゲタ 特級醤油」/濃口醤油(福島県:林合名会社)
3.  「キジョウ こいくち 本醸造 特級しょうゆ」/濃口醤油(宮城県:合資会社亀兵商店)
4.  「本醸造醤油」/濃口醤油(熊本県:橋本醤油株式会社)
5.  「濃口 宝」/濃口醤油(広島県:川中醤油株式会社)
6.  「特級 利兵衛」/濃口醤油(三重県:下津醤油株式会社)
7.  「ジョーホ」/濃口醤油(茨城県:上ホ醤油株式会社)
8.  「ヤマボシ醤油 吟上」/濃口醤油(福島県:ヤマボシ醤油合名会社)
9.  「キッコーマン いつでも新鮮 超特選 二段熟成生しょうゆ」/再仕込醤油(千葉県:キッコーマン食品株式会社 野田工場)
10. 「うすくちしょうゆ」/淡口醤油(兵庫県:ヒガシマル醬油株式会社)

「しょうゆ蔵にはそれぞれ個性がある」と言う高橋さん。しかし一方で、消費者は決まったしょうゆをどの料理にも同じように使っており「もったいない」と残念そうに語る。
「昔に比べ、米にしても野菜にしても、魚や肉だって、素材の質が格段に良くなっています。それなのに、合わせるしょうゆにはこだわらない人が多いですよね。せっかく鮮度のいい魚が手に入るのであれば、美味しいしょうゆを使わないともったいない。それぞれ料理に適したしょうゆを選んでもらえると、格段に美味しさが増します。しょうゆはワインと同じで、塩やレモンをかけて食べるような素材には色が淡くて塩味が強い白しょうゆを。肉やソースをかけて食べるような食材には、熟成が長く色が濃くて旨味が強い濃口しょうゆと相性がいい。この組み合わせを頭に入れて、ぜひしょうゆの世界に触れてみてください」

全国のしょうゆをご家庭で!! 今すぐ応募を!

10月1日の「醤油の日」を記念して、合計1,342人に当たる「ふるさとのしょうゆ」プレゼントを実施中。各都道府県(沖縄県は除く)が誇る選りすぐりのしょうゆをご家庭で楽しめます。
また、抽選に漏れても、ダブルチャンスとして、今年行われた品評会で農林水産大臣賞を受賞した5蔵のしょうゆミニボトル5本と利き味皿のセットを300名様にプレゼントする大盤振る舞いの企画です。10月31日応募締め切り。下記バナーからご応募ください。

お問い合わせ情報お問い合わせ情報

しょうゆ情報センター
「しょうゆ情報センター」とは2001年10月1日に発足した、しょうゆに関するあらゆる情報の発信機関。また、子どもたちにしょうゆの素晴らしさを紹介する出前授業や工場見学、感想文コンクールなど、食育活動も幅広く展開している。

「しょうゆ情報センター」サイトへ
醤油の日ロゴ

文:粂 真美子 撮影:上田佳代子

  • dancyu
  • 読む
  • ニッポンの味の基本「醤油」。全国選りすぐりの5本から知る醤油の世界