サンドウィッチご一緒に。
京都はサンドウィッチの都?

京都はサンドウィッチの都?

京都のたまごサンドは、玉子焼きを挟んだオムレツタイプが主流。最近では、ゆでたまごをマヨネーズをで和えた、関東風(?)のたまごサンドもあちこちで見かけるようになった。と思ったら、さらなる進化を遂げたたまごサンドが登場。今回は新しく誕生したサンドウィッチパーラーのお話です。

たまごサンド、百花繚乱。

ROCCA & FRIENDS PAPIER KYOTO
四条烏丸からすぐの町家が並ぶ路地の一角にある「ROCCA & FRIENDS PAPIER KYOTO(ロッカ&フレンズ パピエ キョウト)」。大阪は高槻にある「ROCCA & FRIENDS」の4号店として、2018年6月にオープン。かつては静かな住宅地だったこの近辺も、ここ数年は京都に観光で訪れる人が好んで立ち寄る場所になった。

いま京都では、にわかにサンドウィッチバトル(?)が繰り広げられている。
オムレツタイプのたまごサンドは「京都食」のひとつとして以前から人気だったが、新たに出汁巻やたまごサラダが参戦。フルーツサンド、コッペパンサンド、変わり種サンドなど、さまざまなサンドウィッチが、あれよあれよという間に登場して、「どれを食べたらいいの?」と迷うほどになった。

個人的にサンドウィッチと言えば、たまごサンドで、ふかふかで分厚いオムレツサンドは昼ごはんのときに、薄めのトーストにつぶしたゆでたまごのサラダサンドは酒のつまみと決めている。

そんな私が、「あらこれ、お酒にも合いそう」と思ったのが、「ROCCA & FRIENDS PAPIER KYOTO(ロッカ&フレンズ パピエ キョウト)」の白味噌や柴漬けを合わせた“たまごサンド”だ。

白味噌山椒たまごサンド
“白味噌山椒たまごサンド”340円。3種類ある「創作たまごサンド」のひとつ。ほかに“柴漬けタルタルたまごサンド”340円と“大葉ジェノベーゼたまごサンド”360円がある。たまごサラダには、マヨネーズやオリーブオイル、白胡椒、隠し味にブルーチーズが入っている。

京都とサンドウィッチの新しい関係。

風情ある町家を改装した店の周辺には、江戸時代から続く旧家があるほか、半年先まで予約が取れない和食の名店や木版雑貨の店が軒を連ねている。

「京都ではオムレツサンドというイメージがあったので、あえてたまごサラダをメインにしたサンドウィッチに挑戦したんです」
「ロッカ&フレンズ パピエ キョウト」店長の入江未佳子さんは言う。
たまごサラダのサンドウィッチに“京都らしさ”を表現したいと考えたとき、思い浮かんだのは、白味噌や柴漬けを合わせることだったそうだ。

入江未佳子さん
「ロッカ&フレンズ パピエ キョウト」前の路地に立つ、店長の入江未佳子さん。昭和初期のナースのような白いユニフォームも素敵。高槻の本店で働いていたが、京都出店を聞いて自ら店長に名乗りでたという。

面白いのは、お店で食べるとき、サンドウィッチやスムージーが、結納などで使われる白木の台に盛られていること。
最初にこの姿を見たときは、「恭しく押し戴いて、両手でサンドウィッチを持って食さねば」と思ったものだ。

パピエセット
創作たまごサンドとフルーツサンドにスムージーが並ぶ“パピエセット”1300円。“柴漬けタルタルたまごサンド”に“イチゴローズクリーム”、パンナコッタとタピオカが入った“マンゴーパッションのスムージー”の組み合わせ。

茶色の紙に包まれ、具材の綺麗なラインを見せるサンドウィッチは、いわゆる「萌え断」系。その幅およそ8cm。思いっきり大口を開けても、上から下までを一挙に口に入れることはとうていできそうにない。
縦にかじったり、横にしてかぶりついたりしながら、たまごサラダとレタスなど野菜を出来る限り一緒に味わう。
白味噌や柴漬けがいい感じに味の奥行きや食感を添えていて、改めてたまごサラダのサンドウィッチが秘めているポテンシャルの高さを感じた。

カウンター
店内は、ひとりでも気兼ねなく過ごせるカウンターとテーブルがあって、この日の客はほとんどが女子。入江さんに尋ねると「男性のおひとりさまもいらっしゃいます」とのこと。男性好み、女性好みという概念は、もう古いのかもしれない。
サンドウィッチとスマホ
神々しい佇まいで運ばれてきたサンドウィッチ。店にいたほとんどの女性客が、食べる前に記念撮影をしていた。この姿形を前にすると、どうしても写真を撮りたいという気持ちはよくわかる。そしてまたSNSで情報が広がっていく。

出来たてを味わうならイートインがお薦めだが、天気の良い日ならテイクアウトをして、川添いや公園で食べるのもいい。「ロッカ&フレンズ パピエ キョウト」は、たまごサンドだけじゃない。フルーツサンドもある。創作たまごサンドなら4個、フルーツサンドなら6個入るかわいいボックスもあるから、春から初夏にかては、行楽弁当にもなる。

京都のはんなり風景を眺めながら食べる京食材のたまごサンド。きっと美味しい思い出にもなるはずだ。

――つづく。

入口
入口を入った先には、サンドウィッチが並ぶショーウインドウ。見て、選んで。イートインもよし、テイクアウトもOK。

店舗情報店舗情報

ROCCA & FRIENDS PAPIER KYOTO
  • 【住所】京都府京都市下京区新釜座町735‐2
  • 【電話番号】075‐744‐6688
  • 【営業時間】10:00~18:00
  • 【定休日】月曜
  • 【アクセス】京都市営地下鉄「四条駅」、阪急「烏丸駅」より5分

文:中井シノブ 写真:伊藤信

中井 シノブ

中井 シノブ (編集者・ライター)

京都在住。情報雑誌の編集長を経てフリーの編集、ライターとして活動する。京都の飲食店取材は1万軒以上。趣味は外酒、外飯。著書に『京の一生もん』(紫紅社)、『京都女子酒場』(青幻社)、『奇跡のレシピ』(KADOKAWA)共著などがある。

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