京都のたまごサンドは、玉子焼きを挟んだオムレツタイプが主流。最近では、ゆでたまごをマヨネーズをで和えた、関東風(?)のたまごサンドもあちこちで見かけるようになった。と思ったら、さらなる進化を遂げたたまごサンドが登場。今回は新しく誕生したサンドウィッチパーラーのお話です。
いま京都では、にわかにサンドウィッチバトル(?)が繰り広げられている。
オムレツタイプのたまごサンドは「京都食」のひとつとして以前から人気だったが、新たに出汁巻やたまごサラダが参戦。フルーツサンド、コッペパンサンド、変わり種サンドなど、さまざまなサンドウィッチが、あれよあれよという間に登場して、「どれを食べたらいいの?」と迷うほどになった。
個人的にサンドウィッチと言えば、たまごサンドで、ふかふかで分厚いオムレツサンドは昼ごはんのときに、薄めのトーストにつぶしたゆでたまごのサラダサンドは酒のつまみと決めている。
そんな私が、「あらこれ、お酒にも合いそう」と思ったのが、「ROCCA & FRIENDS PAPIER KYOTO(ロッカ&フレンズ パピエ キョウト)」の白味噌や柴漬けを合わせた“たまごサンド”だ。
風情ある町家を改装した店の周辺には、江戸時代から続く旧家があるほか、半年先まで予約が取れない和食の名店や木版雑貨の店が軒を連ねている。
「京都ではオムレツサンドというイメージがあったので、あえてたまごサラダをメインにしたサンドウィッチに挑戦したんです」
「ロッカ&フレンズ パピエ キョウト」店長の入江未佳子さんは言う。
たまごサラダのサンドウィッチに“京都らしさ”を表現したいと考えたとき、思い浮かんだのは、白味噌や柴漬けを合わせることだったそうだ。
面白いのは、お店で食べるとき、サンドウィッチやスムージーが、結納などで使われる白木の台に盛られていること。
最初にこの姿を見たときは、「恭しく押し戴いて、両手でサンドウィッチを持って食さねば」と思ったものだ。
茶色の紙に包まれ、具材の綺麗なラインを見せるサンドウィッチは、いわゆる「萌え断」系。その幅およそ8cm。思いっきり大口を開けても、上から下までを一挙に口に入れることはとうていできそうにない。
縦にかじったり、横にしてかぶりついたりしながら、たまごサラダとレタスなど野菜を出来る限り一緒に味わう。
白味噌や柴漬けがいい感じに味の奥行きや食感を添えていて、改めてたまごサラダのサンドウィッチが秘めているポテンシャルの高さを感じた。
出来たてを味わうならイートインがお薦めだが、天気の良い日ならテイクアウトをして、川添いや公園で食べるのもいい。「ロッカ&フレンズ パピエ キョウト」は、たまごサンドだけじゃない。フルーツサンドもある。創作たまごサンドなら4個、フルーツサンドなら6個入るかわいいボックスもあるから、春から初夏にかては、行楽弁当にもなる。
京都のはんなり風景を眺めながら食べる京食材のたまごサンド。きっと美味しい思い出にもなるはずだ。
――つづく。
文:中井シノブ 写真:伊藤信