
浅草‐日光・鬼怒川温泉エリアをつなぐ東武特急スペーシア X。車内から旅情を盛り上げようという工夫に満ちたサービスデザインが評判の列車ですが、目玉のひとつがクラフトビール。沿線のブルワリーと開発したdancyuとのコラボオリジナルビールは去年の祭でも大好評、そして今年も新作を含め4種が祭で飲めます!






東京と日光・鬼怒川温泉をつなぐ東武日光線が開業したのは1929年というから歴史は古い。スペーシア Xがデビューしたのは2023年のこと。都会的で優美なそのルックス、旅という非日常を優雅に演出するインテリアデザインはたちまち評価を受け、国内外の旅人たちを魅了し続けている。

スペーシア Xがそのサービスにおいて大切にしていることのひとつに「沿線の恵みを存分に感じてもらう」ことがある。沿線や東武ゆかりの地に醸造所を構えるブルワリーと企画・共創したクラフトビールを中心に提供しているのも、その一環だ。地域のプロダクツとそこで働く人々の熱意やセンスを「飲んで感じて」、旅ができるのがうれしいと評判も上々。着いたときに酔いがまわりすぎないよう、基本的には4.5〜5%程度にアルコール度数をおさえている、なんて配慮もうれしい。

「ここでしか飲めないビール」とともに楽しむのは、地域の素材にこだわり、日光をはじめとした沿線の名店等とコラボしてつくられるおつまみ。酒と肴の両面から、旅先とのコネクトを感じることができるというわけだ。たまり漬けで有名な上澤梅太郎商店とコラボしたポテトスティック、酒ケーキでも人気の片山酒造の酒粕を使ったクラッカービスケット、日光名物のひとつ、湯波を練り込んだサクサクのおかきなどいずれもクオリティは高く、おみやげとしても喜ばれそうなものが多い。食べているうちに、「酒蔵の見学に行ってみようか」「コラボ元のお店、ちょっと寄ってみたい」なんて感じで旅のプランも広がりそうだ。

「Cedar X PA」が誕生したのは2025年、つまり去年のこと。「スペーシア Xで飲みたい理想のビールをつくろう!」をテーマに、東武鉄道、コエドブルワリー、そしてdancyuが三位一体となって考え、生み出されたビールなのである。「旅先の土地が感じられるビール」をテーマにして討議は重ねられ、「旅の始まりだから、あまり度数は強くしないほうがいい」「飲みやすさを重視しよう」といった意見とともに、車内で買えるおつまみとの相性も考慮され、味わいのイメージは構築されていった。
日光東照宮にまつられる徳川家康は、言うまでもなく江戸幕府の開祖。コエドビールの本拠地がある埼玉・川越の地は小江戸とも呼ばれ、江戸とはゆかりも深い。そのラインをイメージさせるようなビールはどうかという意見が出てきたとき、「杉」がキーワードとなった。スペーシア Xの車窓からも見える、日光杉並木街道をモチーフにしてはどうだろう、と。「杉の香りがするホップを使うのもアリでは?」「鉄道発祥の地、英国の伝統的ビールであるペールエールにするのもいいですね」と一気にイメージがクリアになっていき、開発は進んだ。こうして「Cedar」、つまり英語で「杉」を意味する名前を冠したビールが誕生したのである。去年の祭でも大人気で、もちろん今年も登場する。普段はスペーシア Xでしか飲めない限定の味わいをぜひ、体験してみてほしい。

「スペーシア Xブロンド」は山梨県小菅村のFar Yeast Brewingが手掛けたゴールデンエール。多摩源流の良質な水を使って仕込まれ、栃木県産大麦麦芽と山梨県産のホップを主としてつくられている。ジューシーかつすっきりした飲み心地で、揚げ物との相性もよさそうだ。
埼玉県ときがわ町のTeenage Brewingがつくり出したのは「SPACIA X SESSION」。ときがわ町産の鬼ゆず、伊予柑、甘夏などを使用したジューシーな飲み心地が爽やかで至極。レモングラスも使用しており、清涼感あふれるビールとなっている。

編集:出口雅美(maegamiroom) 文:白央篤司 撮影:寺澤太郎