とんかつは揚げたてが最高!家で簡単に理想の揚げ物をつくるプロの技を洋食名店シェフに教わります。
衣はサクッとして中はジューシー!お店で食べる揚げたてのとんかつやフライがおいしいのはわかっていても、家ではちょっとハードルが高くて……。
そんな人にこそお薦めなのが「バッター液」。小麦粉、卵、牛乳でつくる“揚げ衣の下地”のことで、これが家のフライを手軽&劇的においしくする決め手なのです。
「なぜバッター液か?その答えは、フライという料理の本質に関わっています」。そう話すのは、洋食の名店「目白 旬香亭」の古賀達彦シェフ。
「揚げ物は油料理と思われがちですが、実はフライの本質は蒸し料理なんです。熱い油の中で、素材の水分を閉じ込めながらゆっくり火を入れていく調理法がフライ。つまり、素材の水分が逃げないようにしっかり覆うことが重要で、バッター液は素材をコーティングする力が優れているのです」
とんかつやフライでは、肉などの素材にまず小麦粉をまぶし、溶き卵に潜らせてからパン粉をつけるのが一般的だが、実はこの方法は意外に技術が必要。たとえば素材に小麦粉をまぶすとき、見た目に気づかなくても小麦粉の小さなダマや付着ムラがあると溶き卵がうまく付着せず、そこから素材の水分が漏れてしまうことで衣が剥がれるなど失敗の原因ともなる。
素材とパン粉を結着させ、衣が剥がれないようにするには、小麦粉と卵の両方が必要。その点、小麦粉と卵が液状に溶けたバッター液なら素材をムラなくコーティング。素材自体の水分を、衣の中にしっかり閉じ込めることができる。
「特にご家庭こそ、バッター液を使うやり方のほうがお薦めですよ」(古賀シェフ)
そこでポイントとなるのが、バッター液の濃度だ。濃すぎるとドロドロになって下地が厚くなり、衣を食べているような感覚になりがち。やや薄めにし、素材に二度漬けするのがいいという。
「主役はあくまでも素材。バッター液は主役を引き立てるための脇役です。でも、脇役がしっかりしてこそ舞台が輝くように、バッター液に求められるのはいつも変わらない安定感。その意味で、小麦粉は『日清 フラワー®』がいいですね。品質が常に安定していて、ブレがないですから」
そう話す古賀シェフが薦めるバッター液の基本比率は、「日清 フラワー®」50gに卵1個、牛乳120ml。これはフライ料理に慣れていない人でも扱いやすく、失敗が少ない濃度だという。
さあ、衣はサクッとして中はジューシー!揚げたてとんかつのおいしさをぜひご家庭で。
豚ロース肉 | 3〜4枚(1枚の厚さ1.5cm、130g目安) |
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塩 | 適量 |
パン粉 | 適量 |
★ バッター液 | |
・ 「日清 フラワー®(薄力粉)」 | 50g |
・ 卵 | 1個(MまたはL玉) |
・ 牛乳 | 120ml |
揚げ油 | 適量 |
*ほかに、せん切りキャベツ、ソース、練りがらしなどはお好みで
バッター液づくりの第一歩。「日清 フラワー®」はボウルに入れ、泡立て器で軽く混ぜて空気を入れておく。
別のボウルで卵と牛乳を混ぜ合わせて卵液をつくり、①の「日清 フラワー®」の中央を少し凹ませたところに少しずつ注ぎながら、ダマができないように丁寧に混ぜていく。液部分に渦をつくるように回しながら、小麦粉を巻き込んでいくイメージ。
豚ロース肉はしっかりと水分を取った後、脂の下に太い筋が入った角を切り落とし(写真で肉の左上)、脂と肉の間の筋に両面4カ所ずつ切り目を入れる。最後に片面に軽く塩をふる。
③の肉を②のバッター液に潜らせ、全体をコーティング。このとき、竹串を肉に刺して作業すると手が汚れずにバッター液が綺麗につく。二度漬けし、余分なバッター液は落とす。
④をたっぷりのパン粉にのせ、上からもパン粉をかぶせて手で握る。このとき、肉に力を伝えずパン粉だけを握るような力加減で、肉の側面にもしっかりとパン粉をつける。
多めの油(理想は鍋底から約10〜15cm目安)を160℃に温めたら⑤を入れる。揚げている最中は、あまり触らず、揚げ時間は約6分。徐々に温度を上げ、最後は180℃まで上げて取り出す。
⑥を網付きのバットなどにのせ、2〜3分置く。この間に、肉には余熱でじんわりと火が入っていき、衣の油はきれていく。仕上げのための大切な時間。
ミシュランガイド東京で9年連続ビブグルマン獲得中の洋食の名店「目白 旬香亭」統括シェフ。誰もが大好きな洋食の定番レシピ32品を公開した『dancyu料理上手になるシリーズ 洋食上手になる』も好評発売中。
●「目白 旬香亭」
住所:東京都豊島区目白2‐39‐1 トラッド目白2階
TEL:03‐5927‐1606
写真:牧田健太郎