焼酎文化を世界へ発信している濵田酒造(鹿児島県いちき串木野市)。代表ブランドの一つ、本格麦焼酎「隠し蔵」が今年9月に発売30年を迎えようとしている。そこで今回は、30周年を記念して「隠し蔵」体験会を開催することに。食いしん坊倶楽部のメンバー4名が、名店ひしめく四谷・荒木町に集結したのである。目指すは今をときめく中華料理店。果たして、麦焼酎と中華料理という新しい出合いはいかに?マッチングレポートをレシピとともにお届けする。
食いしん坊一行が向かったのは、中華料理「遊猿」。繊細さとパワフルさが同居する、なんとも魅力的な料理をいただける中華料理店である。店主の大内誠也シェフは、自身の料理に合う酒として、紹興酒、ワイン、そして本格焼酎もラインナップ。というのもこの店のレコメンドに“前菜盛り合わせ”がある。まるで日本料理の八寸のように登場する料理で、そのいずれもが思わず酒が進む一品揃い。それだけに酒選びは慎重になると笑う。
「焼酎はハイボールでお出しすることが多いですね。うちの芋焼酎は、濵田酒造の『DAIYAME』なんですよ。『隠し蔵』は初めて味わいましたが、軽くスモーキーで、ほのかな甘さもあって、キレもある。これは中華料理に合いますね。強炭酸で割ったときに立ちのぼる樽香もいい」
そう語った大内シェフが、「隠し蔵」とのペアリングに用意してくれた料理は3品。前菜が“初ガツオのたたきと行者にんにくの胡麻塩和え”、メインは“ラム肉の麻辣香鍋”、そして締めは“白エビと春キャベツの焼きそば”である。
「麦焼酎の『隠し蔵』は樽貯蔵による甘い香りがありますから、どんな料理にも合う懐の深さを感じます。それにハイボールは飲むたびに口の中をウォッシュしてくれるので、たとえば、油っこい料理や揚げ物、辛い料理も安心してお出しできます」
ということで、旬の食材、とくに魚介類や野菜をふんだんに使う、“大内スタイル”の料理3品が選ばれたのである。
さて、今日のメンバーは、生粋の焼酎ラバーながら麦焼酎の炭酸割りは飲んだことがないという高山さん、焼酎を飲んだことがない日本酒党の山田さん、焼酎はもっぱら緑茶などで割ってばかりという丸山さん、そして、祖父、父と三代で焼酎を愛飲する松本さん。焼酎とのスタンスの取り方がバラバラな4名である。
大内シェフからメニューが説明されると、にわかにザワつく食いしん坊たち。「カツオのたたきの中華料理って!?」「麻辣香鍋だと焼酎は負けそう」「白エビとキャベツってイタリアンみたい」などなど。料理も?なら、「隠し蔵」との相性はさらに??というわけだ。
では、カンパーイ!すると、一口飲むや4名とも破顔一笑。「旨い」「イケる」「バニラの香りがする!」「味に深みがあるのに華やか」と、歓喜の声が上がったのである。
最後に、大内シェフに焼酎ハイボールの魅力を伺う。
大内シェフの好みの割り方は3:7より、4:6~5:5とか。
今回の体験会の感動を、より多くの方に味わってもらいたい。そこで、おうちで「遊猿」気分を楽しめるよう、レシピもご披露いただいた。材料の買い出しに出かける際は、「隠し蔵」と「強炭酸」もお忘れなく!
カツオのたたき | 約200g(1cm厚さに切る) |
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行者にんにくの胡麻塩だれ | 適量 |
すだち | 1/2個(好みで。スライスする) |
★ 行者にんにくの胡麻塩だれ | (つくりやすい分量) |
・ 行者にんにく | 2株(赤くて硬い皮をむき、5cm長さのざく切り) |
・ 長ねぎ | 1/2本(5cm長さのせん切り) |
・ みょうが | 2個(縦半分に切り、斜め薄切り) |
・ 醤油 | 小さじ1 |
・ 塩 | ふたつまみ |
・ グラニュー糖 | ひとつまみ |
・ 胡麻油 | 1カップ |
ボウルに行者にんにく、長ねぎ、みょうがを入れて手で混ぜ合わせ、醤油、塩、グラニュー糖を加えて全体にまぶす。
1のボウルに、熱した胡麻油を上からジューッと回しかけ、全体を手早く混ぜてなじませる。
ボウルにカツオのたたきを入れ、行者にんにくの胡麻塩だれと和える。たれの旨味をカツオにまとわせるようによく混ぜ、器に盛る。あれば、すだちスライスを添える。
ラム肉 | 200g(ロース厚切り) |
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じゃがいも | 約1/2個(5~7mm厚さの輪切り) |
れんこん | 2~3cm(5~7mm厚さの輪切り) |
オクラ | 4本(ヘタを切り落とし、ガクのふちをむく) |
赤唐辛子 | 20~30本 |
長ねぎ | 1/2本(斜め切り) |
香菜 | 2~3株(根ごとざく切りにし、軸と葉に分ける) |
豆板醤 | 大さじ1 |
にんにく | 小さじ1(すりおろし) |
オイスターソース | 大さじ1 |
醤油 | 大さじ1 |
グラニュー糖 | ふたつまみ |
花椒 | 大さじ1/2~1 |
チキンスープ | 1/2カップ |
油 | 適量 |
中華鍋に油大さじ1を熱し、じゃがいも、れんこん、オクラを強火で焼く。表面に焼き色がつくまで焼きつけること。いったん取り出す。
続けて油を少々足し、ラム肉を焼く。両面をじっくり焼きつけて、取り出す。
中華鍋に油を熱し、長ねぎ、香菜の軸、赤唐辛子を入れてひと混ぜし、豆板醤、にんにくを加えて中火で炒め合わせる。
香りが立ってきたら、ラム肉と野菜を鍋に戻し、炒め合わせる。オイスターソース、醤油、グラニュー糖で調味して花椒も加え、最後にチキンスープを回しかけて強火であおる。汁気が少なくなって艶が出てきたら香菜の葉を加えてひと混ぜし、器に盛る。
濵田酒造株式会社
TEL:0996-21-5260(平日 9:00〜17:00)
※飲酒は20歳になってから。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。飲み過ぎにご注意ください。飲酒運転は法律で禁止されています。
遊猿
【住所】東京都新宿区荒木町6−39 GARDEN TREE 2階
【電話番号】03‐6274‐8987
【営業時間】18:00~22:00(L.O.)、ランチは火曜~金曜のみ11:30~13:30(L.O.)
【定休日】日曜、祝日
【予算】8,000円~
【座席】24席
【アクセス】東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」より徒歩5分
文:斉藤由利子 写真:牧田健太郎