
2026年日本酒dancyu「出会えてよかった!心ふるえる酒」特集では、選りすぐりの日本酒を、気の効いた料理と共に味わえる注目の新店をピックアップ。今回は用賀「大どころ」をご紹介します。
「ずっと居酒屋をやりたかった」という店主の宮田大さん。店名には自分の名前に、“みんなの台所のような場所にしたい”という思いを掛けた。カウンター席から見える厨房の風景は賑やか。とにかく楽しませたい若大将は、丁寧に手を動かしながらも、お客と会話することを忘れない。



料理はずばり、居酒屋と割烹のいいとこ取り。刺身は質だけでなく、ホスピタリティーにも感動する。客同士が気を遣わぬよう、料理はできるだけ一人前ずつに分けて出す。これぞ必殺“銘々盛り”。店を出したら、絶対にやると決めていたらしい。

「炭の香りは調味料」と断言する通り、香りをまとった炭火焼きの肉や魚は、熟成酒の燗が進む。締めの土鍋ご飯は、山わさび×和牛しぐれ煮という、食材合わせのセンスが面白い。「今は漬物とレバーペーストのつまみを考えていて」と目を輝かせる若大将。うんうん、それもすごく酒に合いそうだ。
19歳で居酒屋に目覚め、20代は焼肉店、焼鳥店、炉端焼き店とさまざまな店で腕を磨いた。「日本酒の師匠に、試飲するときは料理を思い浮かべて、口の中を食べている最中と同じ状態にもっていけ、と言われていました」と、独特な方法で舌を鍛えたエピソードもある。

宮田さんが長年温めてきた居酒屋イズムを詰め込んだ、夢の台所。今夜は何が味わえるだろうか。

文:井上麻子 撮影:三東サイ